地震予知は本当に不可能なのか
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地震予知は本当に不可能なのか

マグニチュード(M)7・3の「本震」発生から1カ月が経過した熊本地震は、震源域を広範囲に拡大させ、異例づくしの推移をたどる。「これまでの経験則が通じない」と気象庁も匙を投げた一連の巨大地震。専門家による調査研究が進んでいるとはいえ、地震の「予知」はやっぱり不可能なのか。

マグニチュード(M)7・3の「本震」発生から1カ月が経過した熊本地震は、震源域を広範囲に拡大させ、異例づくしの推移をたどる。「これまでの経験則が通じない」と気象庁も匙を投げた一連の巨大地震。専門家による調査研究が進んでいるとはいえ、地震の「予知」はやっぱり不可能なのか。

解けない「方程式」

割れる地殻

地震予測から災害予知へ

40年前に夢見た地震予知

 地震予知について、多くの国民は成功してもらいたいと思っていることだろう。もし、天気予報のように「明日午前の○○地方の震度△の起こる確率は×%でしょう」となったら、人命が助かるかもしれない。同じ気象庁がやっているのだから、何とかしてほしいという願望があってもおかしくない。
 実は、かつて筆者はそうしたことを夢見ていたことがある。1980年当時、大蔵省(現・財務省)に採用される前、文部省(現・文部科学省)の統計数理研究所のある研究室で見習いをしていたのだ。
前兆をとらえられれば、被害は最小限で抑えられる。地震予知分野の確立が待たれる
前兆をとらえられれば、被害は最小限で抑えられる。
地震予知分野の確立が待たれる
 所内の各種研究会に参加しながら、指導教授から研究課題を見つけろと言われていた。ある日、地震のメカニズムと統計分析についての研究会があって、興味深かったので、指導教官に地震分析をやりたいと言った。半年ぐらいしたら正式に採用されるので、必死に文献を読み、即戦力になるように準備をしていた。
 当時の時代背景として、78年に大規模地震対策特別措置法(大震法)が成立した直後である。いつ東海大地震があっても不思議ではないという雰囲気で作られた法律で、地震「予知」は可能との前提があり、「予知」は気象庁の業務とされ、「予知」のための予算措置もある。筆者の参加した研究会も、おそらく予算がついていたのだろう。
 ところが、勉強すればするほど、地震の「予測」はできそうにないことがわかってきた。そして、半年くらいたった後に、採用の話はなかったことにしてくれと言われた。本来であれば、落胆していたはずだが、できそうもない地震「予測」をやるくらいなら、もっと他のことをやりたいと思って、採用されないことをポジティブに受け入れた。
 これは、40年も昔の話であり、その後、地震分析が進んでいるはずなので、見当違いの点もあるかもしれない。ただし、地震「予知」は、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災、そして今回の熊本地震でも成功しなかった。その他の大きな地震の「予知」もほとんど成功していない。しばしば聞かれる地震「予知」に成功したという話も、日本で頻発している地震を「予知」したもので、今日都内で交通事故が起こりますという程度のものだ。
 かつての経験から振り返ると、実験をやりにくい地震では、まずモデルを作り、過去データとの整合性をチェックしてモデルの正しさを確認し、将来予測を行っていた。モデルは周期性を前提とするが、なにより過去データがあまりに少なすぎた。
 例えば、一地方を壊滅させる「カルデラ噴火」は日本で過去10万年に12回起きている。日本全体ならある程度の周期性はあるが、地域を限定すると明確な周期性は見られず、日本のどこかでいつかは起こるはず、という程度にしかわからない。
 当たり前だが、統計分析ではめったに起こらないことを予測するのは難しいのだ。このため、地震では、モデル・過去データを使用して根拠のある「予測」とはいわずに、根拠を必ずしも必要としない「予知」という用語を使っているのだと思う。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一 ZAKZAK2016.05.07

本震が前震に変わる

熊本地震、西原村で縦ずれの正断層確認

 4月14日にマグニチュード(M)6・5の前震、2日後の16日には活断層型地震として国内最大級となるM7・3の「本震」が襲った熊本地震。震度1以上の余震は過去最多の1400回以上を数え、震源域も100キロを超えて広がるなど異例の推移をたどる。「これまでの経験則が通じない」。気象庁も余震確率の発表を見送り、今後の活動はいまだ見通せない状況だ。そんな観測史上例のない巨大地震の解明のため、発生直後から多くの専門家が現地に入り、調査研究が進んでいる。4月24日、地震地質学を専門とする東北大地震研の遠田晋次教授らの研究グループが現地調査し、筆者が同行取材した。(iRONNA編集部、川畑希望)

俵山で見つかった正断層 
(熊本県西原村)
俵山で確認された正断層 (熊本県西原村)
 向かったのは熊本地震の16日未明の本震で震度7を観測した熊本県西原村。遠田教授らは益城町の方から続いている布田川断層帯の「右横ずれ断層」の延長部を調査。右横ずれ断層は「大畑切ダム」を横切っていることが分かり、1.5メートルの断層のずれを確認した。大畑切ダムは16日の地震直後に決壊の恐れがあるとして周辺住民に避難指示が出されている。
 同村の俵山に場所を移動し、調査を進めると山の斜面に「正断層」と呼ばれる縦にずれる断層が分布していることが新たに分かった。
 正断層は、左右に引っ張る力が働き、縦にずれる断層。震源のあった布田川断層は大分県の別府から長崎県の島原にかけて伸び、九州を南北に引っ張っている 「別府-島原地溝帯」の南縁に位置。布田川断層は70から60度、北に傾斜しており、正断層的にずれ落ちるのはおかしなことではないという。

スリップパーティショニング
スリップパーティショニング
(東北大学 災害科学国際研究所HPより)
 この「正断層」と、前述の2キロ北に位置する「右横ずれ断層」は並走するように分布しており、遠田教授によると、この2つの活断層は地下でつながっていて、地表に向かって分岐し、地下では斜め滑り、地表では横ずれと縦ずれが起きる「スリップ・パーティショニング」という現象によるものだと推察。日本での確認は初めてである可能性が高いという。
 「このように、地表では別の活断層に見えても、地下ではつながっている可能性がある。活断層は長いほど地震の規模は大きくなる。地下ではつながっている場合、思わぬ被害を受けてしまう可能性もある」と遠田教授。活断層から起きる地震を評価する場合、活断層を単体で見るのではなく、地表では動きの違う複数の活断層をまとめて総合的に見ていくことが必要な場合があることがわかった。
 さらに、俵山のふもとを調査すると、断層崖が斜面上方を向く「逆向き低崖」が見られ、地表地震断層の可能性が高いという。この場所はこれまで地図に活断層線が引かれていなかった。
 日本全国で2000あるともいわれる活断層だが、まだ未知なる断層は無数にあるとされる。次なる巨大地震に備える上でも活断層の把握は極めて重要であり、科学技術が進歩した現代でも地道な現地調査がその手掛かりになるのは言うまでもない。わが国で地震学の基礎研究や観測が始まってから130年余り。「想定外」を超えた巨大地震への調査研究が一歩でも前進することを切に願う。

「完全な予知は無理」

地震予知なんか無理や!

 こらこらアカンがな! 緊急地震速報というやつ。防災に屁の突っ張りにもならんどころか、被災者をいらだたせるだけやないか。東京のスタジオでノー天気に好き勝手なコメントこいとる有名ジャーナリストの皆サマとちごうて、こっちは地震発生初日から現場入っとんのや。
 地震発生以来、速報何回鳴らした? たまに直後、しょぼーい揺れ感じることはあったけど、ほとんどなにも起こらんかったやないか。それでも懲りずに鳴らしまくるって「オオカミ少年」か。
 そのくせ、初日のM6・9の地震の後、専門家のセンセイ方は何こいた? 「余震に注意してください」やて? そんなノーガキ、小学生でも言えるど。しかも(震度6弱の余震は)20%の確率やて。何やその20%という中途半端な数字は? それで夜中のM7・3の本震の確率は残り80%に含まれるてか。その速報も地震の後やろ、後出しじゃんけんか!
強い揺れで、ホテルのロビーに
避難した宿泊客ら=4月16日
午前1時35分、熊本県阿蘇市
(村本聡撮影)
 ワシは熊本市内のホテルの7階で眠りもせず、この連載のネタ考えとったんや。何せM7・3の直下型や。東日本大震災の余震より大きく感じたというより、天井パネルは落下するわ、カメラは床を跳ね回るわ、「もうアカン」と死を覚悟したぐらいや。その後も震度5、6クラスの余震が断続的に続き、まだ、さっむい屋外で恐怖の一夜を過ごした。
 だからワシは本連載でも、いや機会がある度、口を酸っぱくして言い続けるんや。「地震の予知なんか無理や、止めや」と。「そんなヒマとゼニあるんやったら備えよ」とな。
 日本列島は地震列島や。どんなにわが国の科学が進歩しようと、あと数世紀、わが国は大なり小なりの地震に襲われる。その際に被害をできるだけ少なくするように力を注ぐべきなのである。怪しげな特殊法人や研究所に莫大(ばくだい)な予算つけるぐらいなら、建築・土木の耐震技術の研究に予算費やせ。
 真水の浄水装置に、半永久的に保存がきき、しかも美味な食料品の開発もすぐにやれ。防疫も大切や。水不要の簡易トイレもすでに自衛隊のPKOで実証済みや。自治体は乾パンや水だけでなく、下から出すもんも考えとかなアカン。ホンマ日本人は阪神大震災に東日本大震災と、いったい何学んできたんや。何で懲りんのや。
 地震が起こってから、えらそうに「何たらプレート」やの「何たら断層」やのノーガキこく学者のうち何人が今回の熊本の地震の予兆を見抜いた? ゼロや。
 よっしゃ、このワシが気象庁のお役人や地震学者のセンセイに代わって今回の地震、命名したろ。「くまもんもびっくり地震」…。40人以上の犠牲者に失礼やて。そのとおりや。それじゃ「速報、オオカミ少年地震」…。いや「無責任地震や」。(宮嶋茂樹 ZAKZAK2016.04.21)

予知から予測とは姑息過ぎる

地震予知は本当に不可能なのか

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