はっきり言って「撮り鉄」がウザい!
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はっきり言って「撮り鉄」がウザい!

公共交通である鉄道を周囲の迷惑も顧みず、わが物顔でカメラに収める「撮り鉄」のトラブルが後を絶たない。一部の不心得者による傍若無人な振る舞いとはいえ、最近は世間からも白い目で見られがちな撮り鉄。「趣味」と言えば聞こえはいいが、マナーも守れないバカに、鉄道ファンを名乗る資格などない!

公共交通である鉄道を周囲の迷惑も顧みず、わが物顔でカメラに収める「撮り鉄」のトラブルが後を絶たない。一部の不心得者による傍若無人な振る舞いとはいえ、最近は世間からも白い目で見られがちな撮り鉄。「趣味」と言えば聞こえはいいが、マナーも守れないバカに、鉄道ファンを名乗る資格などない!

なぜ薄気味悪く感じるのか

個人の資質が問題

遠慮は無用だ

鉄道会社の苦悩は続く

 まずは動画をご覧いただきたい。撮影者の方にどんどん近づいてくる列車。すると突然、ムービーカメラを構えた男性が撮影者の前に現れ、そのすぐ横を列車が通り過ぎた。あまりの突然の出来事に列車の運転手は警笛を鳴らすこともできない。列車往来中に男性が無断で軌道施設内に立ち入ったのであれば、往来危険妨害の罪に当たる可能性は高いが、残念ながらこの動画からは男性の位置が十分に確認できず、断定するのは難しい。とはいえ、皆さんはこの男性の行為をどう受け止めるだろうか。
 ここ数年、「撮り鉄」の悪質マナーをめぐるトラブルが後を絶たない。鉄道ファンのマナーの悪さは別に今に始まったわけではないが、冒頭のような動画の拡散やSNSの普及によって、悪質な撮り鉄が晒されるケースは増えており、実際に刑事処分の対象になった人もいる。こうした一部の不心得者による傍若無人な振る舞いは、メディアでもたびたび取り上げられ、今や社会問題にもなっているが、きちんとマナーを守っている大多数の撮り鉄にとっては、鉄道写真の撮影が「趣味」というだけで世間から白い目で見られてしまうことも多いらしい。彼らにしてみても、甚だ迷惑この上ない。
 ただ、撮り鉄問題が大きくなるにつれて、鉄道会社もさまざまな対策を講じてはいるものの、悪質な撮り鉄に毅然とした対応で臨む事例は皆無に等しい。
 そんな中、栃木県のローカル鉄道「真岡鉄道」のある対応が、ファンの間だけではなく、世間の注目を集めた。今年4月、同社の公式フェイスブックに、踏みつけられた菜の花の写真3枚とともに、次のような文章が投稿された。
 「どう感じますか? 踏みつけられた菜の花。何を撮影したいのですか? たかが菜の花? 綺麗に咲いている菜の花を踏みにじって何も感じないのでしょうか? 地元の方たちが手をかけて咲かせていることをわからないのでしょうか? この投稿を見て、もしも該当するような事をされてしまった方がいらっしゃいましたら今後はそのような事を絶対にしないでください。関係無い、今迄通り好き勝手やる、そう思った方はもう来ないで下さい」
 この場所は、鉄道ファンの間では有名な「お立ち台」と呼ばれる撮影スポットだったという。この件について、iRONNA編集部も同社に取材を申し込んだが、「反響があまりに大きく、取材の申し込みが殺到しているため、今回はご遠慮させてください」と回答があり、取材は断られた。鉄道会社としては、どんなに悪質な撮り鉄であっても「お客様」であるという気持ちもあったのだろうか。真意を確かめることはできなかったが、今回の真岡鉄道の対応はネット上でも議論のネタになった。「撮り鉄ってこんなやつらしかみたことない」「即通報でいい」などと厳しい意見が目立った一方、「鉄道利用者に対してその物言いはいかがなものか」と鉄道事業者の対応を批判的に受け止める意見もあった。(iRONNA編集部)

邪魔な物は撤去?

撮り鉄だけじゃない

なぜ日本人は鉄道を信仰の対象とするのか

 地方の衰退、地域の衰退がいわれるようになって久しい。とくに、地方の、鉄道が廃線になってしまったようなところでは、人口減少が進み、高齢化も進んでいる。とくに、国鉄末期からJR初期にかけて利用客の少ない赤字路線を廃線にし続けてきた北海道では、札幌への人口の一極集中が進んでいる。さらに昨年、「JR北海道再生のための提言書」がJR北海道再生推進会議により提出され、その中で運行本数も少なく、乗客も少ない路線の廃止が課題となっていた。実際に、地元住民は自動車を利用することが多く、鉄道は長距離の移動のために使うことが多い。しかし、鉄道の廃止は、なおいっそう過疎化を推進させる。鉄道は地域を活性化できるのだろうか?
 昨年、チョー・イクマン著『鉄道への夢が日本人を作った』(朝日選書)という本が刊行された。この本の中では、近代日本人が鉄道敷設への夢を抱くこと自体が近代日本と日本人をつくったと主張している。「『鉄道への夢』は、この国が『近代の夢』を見ることと、『日本というネイション』成立への夢そのものと同義である」「外からこの国を見れば、なにもレールを敷かなくとも、日本の鉄道という甘美な夢は永遠につづき、覚めないかに思われる」という。
 この国を近代国家にしたのは鉄道であり、それゆえに日本人は鉄道に愛着を持ち、ときには「信仰」の対象とする。
 鉄道を舞台とした物語を、多くの人は好んでいる。西村京太郎のトラベルミステリーは再刊を繰り返し、初期の名作『寝台特急(ブルー・トレイン)殺人事件』はブルー・トレインがなくなったいまでも読まれ続けている。書店に行くと鉄道関連の本や雑誌は多く売られており、人々の鉄道への関心はますます高まっている。ニュースサイトでも、鉄道関係の記事はよく読まれている。
 ふだんは鉄道を使わなくても、鉄道がないと困る、というのはあるのではないか。この国の人々を「統合」するための存在として、鉄道はある。それゆえに、路線の廃止や列車の廃止は批判され、新幹線開業に伴う第三セクター化にも疑問の声がある。レールで統合された国のあり方が、望ましいと考えている人たちもいる。
 しかし、現実には乗客がいないと、鉄道は維持できない。そのためにさまざまな取り組みがなされている。鳥取県の若桜鉄道(山田和昭社長)では、昨年4月にSL実証実験を行い、実際には乗客を乗せず、撮影スポットの使用料や記念弁当、その他イベントで収益をあげられるかを試した。約13,500人が現地を訪問し、1,800万円の経済波及効果があった。同社の社長は早稲田大学鉄道研究会出身の鉄道ファンであり、ファンの視点からどうすれば集客できるかを考えている。
 昨年刊行された那須野育大『日本鉄道業の事業戦略 鉄道経営と地域活性化』(白桃書房)では、鉄道会社の集客策としてしなの鉄道の企画列車(イベント列車)やIGRいわて銀河鉄道の地域医療ラインを取り上げた。著者の那須野氏によると、「しなの鉄道はイベント列車を単発で終わりにせず、過去の成果をフィードバックして企画列車のノウハウをためており、いい循環ができている」と話している。
 同書では、地域の鉄道が生き残る策として、「上下分離方式」を提案している。運行は鉄道会社が行い、線路は公的機関や公共企業体が保有する。それによって、安定した鉄道の運行を守る。那須野氏は「公共的に維持する必要がある鉄道には、世界的に上下分離をすすめる潮流がある」と語っている。なお、那須野氏も早稲田大学鉄道研究会出身であり、鉄道を愛する人である。
 若桜鉄道でもすでに「上下分離方式」が行われており、ことし4月からは車両も地元自治体の八頭町・若桜町に譲渡する。
 地元の足であるだけではなく、地元とこの国のあらゆるところをつなぐネットワークとしての鉄道を守るために、現場では工夫がされている。鉄道なくして、この国はない。だからこそ、鉄道が地域を活性化させなければならず、さまざまな工夫が求められている。(ライター・小林拓矢、THE PAGE 2016.01.02

「お客様」なのか?

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