政治は「嫌老社会」を阻止できるか
743

テーマ

政治は「嫌老社会」を阻止できるか

「嫌老社会」。作家、五木寛之は近い将来、超高齢化が進む日本で若者が老人を嫌う社会がやって来ると予言した。むろん背景にあるのは「世代間格差」である。「若肉老食」と揶揄される日本社会の先には何が待っているのか。政治はこの不毛な世代間対立に終止符を打てるのか。

「嫌老社会」。作家、五木寛之は近い将来、超高齢化が進む日本で若者が老人を嫌う社会がやって来ると予言した。むろん背景にあるのは「世代間格差」である。「若肉老食」と揶揄される日本社会の先には何が待っているのか。政治はこの不毛な世代間対立に終止符を打てるのか。

誠実に検討された一票のために

 2週間以上にわたった選挙戦が終わり、参院選は投開票日を迎える。
 公示以来、18歳選挙権が初めて適用されることからメディアはこぞって「若者と政治」というテーマに固執してきた。「政治好き」を売りにするタレント、たかまつななさんや春香クリスティーンさん、シールズの奥田愛基さんや斎木陽平さんらを前面に出し、政治に関心を持つことの重要性を彼らに語らせてきた。
 彼らは「選挙は楽しまなければ損」「シルバー民主主義の打開」、挙げ句の果てには「世代間闘争」を繰り返すばかり。実に不明瞭である。政治とは社会が抱える問題を解決し、人々が安全かつ幸福に暮らすためのものであり、選挙自体は楽しまなくても損はしないし、必ずしも楽しいものではない。また、高齢者には高齢者の不満があり、若者には若者の不満があって当然であるが、選挙を通してわれわれ国民が世代間闘争を繰り広げる必要性は一体どこから生じるのだろうか。
 政治に参加することの合理的な理由を持たない同年代の人から、「選挙に行ってください」と言われ続けた選挙期間がひとまず収束すると思うと、開放感と不安とが綯い交ぜになった妙な感情がこみ上げてくる。一若者として私は、投票行動を促す彼らには、「SEALDsなんて大っ嫌い!」などと汚い言葉で互いに罵り合って人々を惹きつけるのではなく、各党のイメージを解りやすく解説したり、争点となっている政策を紐解いて欲しかった。無闇矢鱈な投票率の向上よりも、少しでも知的に誠実に検討された一票を増やす試みがあってもよかったのではないだろうか。
 実際に「どこに投票すればいいのか分からない!」、そう考えている人は多いはずだ。今回初めて投票にいく人が、より具体的なイメージをもって党や政策の判断を下せるよう、本企画では自民党・民進党・共産党それぞれの現職議員にインタビューしている。「各党のビジョンとイメージ」「シルバー民主主義の功罪」「政策や価値観の異なる民進党と共産党が手を組んでいる理由」など、素朴な質問からアベノミクス批判や安保法制まで多岐にわたる。投票前に参考にしていただき、多少なりともお役に立てれば幸いに思う。(山本みずき)

小林史明・自民党青年局次長学生部長

馬淵澄夫・民進党特命副幹事長

藤野保史・共産党前政策委員長

「老人VS若者」の階級対立

 「下流老人」「老人漂流社会」―。今、高齢者が大きなテーマになっています。その一方で、100歳の老人が元気に走る姿や趣味に興じる様子が報じられています。いずれも真実ですが、そこに隠されたもっと切実な問題はないでしょうか。
 僕が伝えたいのは、高齢者をめぐる目に見えない空気です。最近、働く青壮年のなかに、高齢者に対する無言の反発や抵抗感が静かに広がりつつあるような気がします。
 「若肉老食」などという言葉もでてきました。現在、若い世代が減少し、圧倒的に高齢者が増えつつあります。年金や社会保障の負担は、現役世代の肩に重くのしかかってくる。国富の大半は高齢者の富裕層が所有して、一方で貧困にあえぐ多くの老人がいる。こうした老人への冷たい視線は弱まるどころか、強まっているように感じます。この居心地の悪さはなんだろうと、僕は考え続けてきて、「これは嫌老感ではないか」と思い至ったのです。戦後70年に、「嫌老社会」が出現しつつあるという予感に、僕自身、ショックを禁じ得ません。
 いずれ老人VS若者の階級対立にまで発展しかねません。しかし、これは一面しか見ていない議論です。高齢者のなかにも、富裕層と貧困層がいます。老若の格差もあれば、老老にも格差がある。これが現実です。
 僕は、日本も個人もこれからは「成長」ではなく「成熟」をめざすべきではないかと語ってきました。高齢者こそ、成熟した知恵の持ち主です。例えば、富める高齢者は年金を返上する。選挙権は委譲して、政治は青壮年に任せる。補聴器や膝の動きを助ける補助器具など、世界の高齢者が必要としている技術開発を高齢者自身が担っていく。
 ただ、具体的な処方箋はそう簡単には出てこないでしょう。大事なのは「嫌老社会」が出現しかねないという現実を認識することなのではないでしょうか。(作家・五木寛之 SankeiBiz 2015年12月5日)

投票で若者をフォローせよ

現役高校生が覚える違和感

「私は中立」が一番タチが悪い

10代に刺激され20代も?

大人にこそ主権者教育が必要

 なぜ20歳近くにならないと有権者になれないのか。それは「投票は自己の利益の最大化のためにするものではなく、国民(市民)として、未来の社会への責任を果たすためにするものである」ということを理解するにはそれなりに人生経験、社会経験を積まなければいけないからだろう。
2016年の参院選から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられることをPRするポスター=大阪市中央区の大阪府庁
2016年の参院選から選挙権年齢が
18歳以上に引き下げられることをP
Rするポスター
=大阪市中央区の大阪府庁
 功利的動機ではなく公共的視点に立って自分の1票を投じる先を選べるようになるほどに人間的成熟が達成されるには、少なくとも思春期や反抗期を過ぎている必要がある。
 その意味で市民教育(最近よく「主権者教育」という言葉が使われるが、決して投票という行動だけに関わることではないので市民教育のほうがしっくりくる)とは、個人の欲望を満たすことよりも市民としての責任を果たすことができる人間を育てること。
 現在、高齢者(全員ではもちろんない)が自分の利益最優先で投票してしまいいわゆる「シルバー民主主義」みたいな状況になっていること自体、これまでこの国(よそでも似たようなものとは思うが)で市民教育が十分に機能していなかったことの証左だと言える。18歳に選挙権が与えられたからといって何を今さら「主権者教育(市民教育)が必要」と騒ぐのか。
 市民教育を受けなければいけないというのなら、いまだに「投票は自己の利益の最大化のためにするものではなく、国民(市民)として、未来の社会への責任を果たすためにするものである」ことを理解していなかったり、そもそも投票に行かなかったりするすべての大人が先だろう。(育児・教育ジャーナリスト、おおたとしまさ 2016年7月6日

迷走する若者向けアピール

政治は「嫌老社会」を阻止できるか

みんなの投票

日本で広がる「世代間格差」について今後どうなっていくと思いますか?

  • ますます広がる

    631

  • 徐々に解消される

    69

  • どちらでもない

    43