ポケモンの原点 ~ファミコンブームの社会学
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ポケモンの原点 ~ファミコンブームの社会学

世界中を虜にする『ポケモンGO』がついに日本上陸した。ゲームにハマる大人が続出し、各地でトラブルも後を絶たないが、この社会現象ともいえる熱狂ぶりに、30年前の「ファミコンブーム」を重ねた人も多いのではないだろうか。ポケモン列島と化した今、あえてその原点であるファミコンブームを考えたい。

世界中を虜にする『ポケモンGO』がついに日本上陸した。ゲームにハマる大人が続出し、各地でトラブルも後を絶たないが、この社会現象ともいえる熱狂ぶりに、30年前の「ファミコンブーム」を重ねた人も多いのではないだろうか。ポケモン列島と化した今、あえてその原点であるファミコンブームを考えたい。

ファミコンブームとは何だったのか

 のっけから私事で恐縮だが、筆者が小学5年のとき、故郷の市民会館にファミコンブームのレジェンド、高橋名人がやって来た。母親に頼み込んで弟と3人で会場を訪れ、筆者と同世代なら誰でも知っているであろう、高橋名人の特技である「16連射」の実演に目を輝かせた。
昭和60年1月、ファミコンソフト
『エキサイトバイク』をプレイする女性
 ステージ上の実演では、たしか13連射止まりに終わり、子供心にショックを受けた記憶もあるが、それでもあの高橋名人に会えたことが何より嬉しく、以前にも増して勉強そっちのけでファミコンにのめり込んだ。以来、「あんなイベントに連れていかんかったら良かった…」とぼやき続けた母親の姿が、今となっては懐かしい。
 あれから30年後。今度は列島に『ポケモンGО』旋風が吹き荒れた。配信初日の22日夜、東京都墨田区の錦糸公園を訪ねてみると、深夜にもかかわらずスマホ片手に公園内を歩き回る人の波に遭遇した。おそらく数百人はたむろしていたであろう、その光景は異様としか思えないほどだった。
 ポケモン世代ではない筆者も、さっそくアプリをダウンロードして挑戦してみたが、なるほどバーチャルとリアルをうまく融合した世界観に思わず没頭した。スマホに標準搭載されているGPSや地図、カメラ機能を活用し、モバイルに特化した単純な操作性も初心者には有り難い。
 ゲームの目的はイマイチよく分からないが、街を歩けばどんどん出現するポケモンを収集していくのは、ポケモンを知らない筆者のようなオッサンがやっても、十分おもしろい。スマホゲーム初心者が言うのもなんだが、モバイルゲームとしての完成度は高く、いま世界中がブームに沸き、老若男女がハマってしまうのも分かる気がする。
 ただ、誰もが危惧する通り、ゲームをやっている最中はどうしても「歩きスマホ」になってしまう。スマホ画面に集中しすぎて、階段を踏み外しそうになったり、通行人にぶつかりそうになった人は筆者に限らないだろう。
 まだゲームを始めて24時間しか経っていないが、このポケモンGОをめぐるトラブルが早晩、日本でも社会現象から「社会問題」になることは間違いない。爆発的に広がる利用者に注意を呼びかけたところで、もはや「制御」するのは不可能だろう。そう思えるくらい、いま街中ではスマホを片手に下を向いて歩く人があふれているのである。
 たとえ利用者のモラルに期待しても、この先トラブルが続出するのは確実だ。あのファミコンブームの時も「うちの子が勉強しなくなった」「ゲームのしすぎで目が悪くなった」と大きな社会問題になった。「たかがゲーム、されどゲーム」を安易に法律で縛ってしまうのもやはり違う。そうすると、もうサービスを提供する任天堂側が、深夜時間帯にはポケモンを出現できなくするとか、公園や広場といった少々混雑しても事故が起こりにくい特定のエリアでしかポケモンを収集できなくするとか、ゲームの面白さは半減するとはいえ、何らかの「自主規制」以外にトラブルを防ぐ方法はないのではなかろうか。
 「ポケモン狂騒曲」に沸く列島の熱狂ぶりをユーザーの皆さんはどうお考えでしょうか? ポケモンGОの社会現象については後日iRONNAでも取り上げる予定だが、まずはポケモンブームの原点となった「ファミコンブーム」の社会学と題して、あのファミコンブームとは何だったのか考えてみたい。(iRONNA編集長、白岩賢太)

子供たちの羨望を集めた男

遊びはみんなでやるものだった

凋落のきっかけは「大作化」

スーパーマリオの衝撃再び

 ファミコンが出た時、ぼくは大学生で、家庭教師先の黒坂くんが、休み時間に「先生、やりましょう」と持ってきた。それで、黒坂くんと、「10分だけね」とやったのが、スーパーマリオブラザーズで、実際腰を抜かすほど面白かった。
 あれから、さまざまなコンピュータゲームが出たけれども、やはり、ファミコンの「スーパーマリオブラザーズ」を最初にプレイした時の衝撃を超えるものはなかなかない。斬新さと、オリジナリティと。時代は、案外、繰り返さない。
 昨日、街を歩きながら合間に「ポケモンGO」をやってみて、「スーパーマリオブラザーズ」の衝撃を思い出していた。位置情報を活かして、AR(拡張現実)を用いるゲム、はこれまでもあったが、ようやく、マスに届くものが生まれたような気がする。
 多くの人がすでに指摘しているところだが、「ポケモンGO」をプレイしていると、周囲の空間に対する感覚が変わる。プレイしていない時にも、このあたりにはどんなポケモンが、と半ば無意識に考えるようになる。ポケストップやジムなどのランドマークも、つい探す。
 ポケモンが出現した時に、周囲の景観にポケモンが重ねられるAR(拡張現実)も、特別感がある。常にARなのではなく、ポケモンが出現して、捕獲のアクションに入った時だけに立ち上がるという仕組みが、おそらく良いのだ。そのことで、周囲の見慣れた現実に、魔法がかかるような気がする。
 おそらく、位置情報やARを活かしたゲーム、サービスは、これから無数出てくるだろうが、「ポケモンGO」は、かつての「スーパーマリオブラザーズ」のように、「そのジャンルで初めて」の画期的なゲームとして、これから長く記憶されることになるのだろうと思う。
 「ポケモンGO」のもうひとつの特徴は、仲間意識、一体感を生み出すことにあるのかもしれない。昨日、街で、あきらかにプレイしている人たちの姿を何人も見かけた。テレビなどのメディアがすでに作り出せなくなっている一体感を、新しい位置情報ゲームが、奇しくも生み出す結果となった。(茂木健一郎公式ブログ 2016.07.23

「ゲームボーイ」から誕生

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