「障害者を抹殺せよ」の衝撃
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「障害者を抹殺せよ」の衝撃

「私は障害者470人を抹殺することができる」。相模原市の障害者施設で入所者19人を殺害したとして逮捕された植松聖容疑者は、常軌を逸した身勝手な誇大妄想で尊い人命を次々に奪った。凄惨な事件の背景にあるのは、障害者に対する偏見と差別。事件が与えた衝撃を私たちはどう受け止めるべきか。

「私は障害者470人を抹殺することができる」。相模原市の障害者施設で入所者19人を殺害したとして逮捕された植松聖容疑者は、常軌を逸した身勝手な誇大妄想で尊い人命を次々に奪った。凄惨な事件の背景にあるのは、障害者に対する偏見と差別。事件が与えた衝撃を私たちはどう受け止めるべきか。

犯罪は社会を映す鏡

理不尽な逆転現象

普通の人にもある差別と偏見

人間らしい生活のない施設

「障害者が安楽死できる世界を」

衆議院議長大島理森様

この手紙を手にとって頂き本当にありがとうございます。
私は障害者総勢470名を抹殺することができます。
植松聖容疑者が大島衆院議長に宛てた手紙のコピー
常軌を逸する発言であることは重々理解しております。しかし、保護者の疲れきった表情、施設で働いている職員の生気の欠けた瞳、日本国と世界の為と思い、居ても立っても居られずに本日行動に移した次第であります。
理由は世界経済の活性化、本格的な第三次世界大戦を未然に防ぐことができるかもしれないと考えたからです。
私の目標は重複障害者の方が家庭内での生活、及び社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です。
重複障害者に対する命のあり方は未だに答えが見つかっていない所だと考えました。障害者は不幸を作ることしかできません。
今こそ革命を行い、全人類の為に必要不可欠である辛い決断をする時だと考えます。日本国が大きな第一歩を踏み出すのです。

世界を担う大島理森様のお力で世界をより良い方向に進めて頂けないでしょうか。是非、安倍晋三様のお耳に伝えて頂ければと思います。
私が人類の為にできることを真剣に考えた答えでございます。
衆議院議長大島理森様、どうか愛する日本国、全人類の為にお力添え頂けないでしょうか。何卒よろしくお願い致します。

文責 植松 聖

作戦内容

職員の少ない夜勤に決行致します。重複障害者が多く在籍している2つの園を標的とします。見守り職員は結束バンドで見動き、外部との連絡をとれなくします。職員は絶体に傷つけず、速やかに作戦を実行します。2つの園260名を抹殺した後は自首します。
作戦を実行するに私からはいくつかのご要望がございます。逮捕後の監禁は最長で2年までとし、その後は自由な人生を送らせて下さい。心神喪失による無罪。新しい名前(伊黒崇)本籍、運転免許証等の生活に必要な書類。美容整形による一般社会への擬態。金銭的支援5億円。
これらを確約して頂ければと考えております。
ご決断頂ければ、いつでも作戦を実行致します。日本国と世界平和の為に、何卒よろしくお願い致します。
想像を絶する激務の中大変恐縮ではございますが、安倍晋三様にご相談頂けることを切に願っております。

植松聖(住所、電話番号=略)かながわ共同会職員

「生きる価値」を国家が決めるな

産業と介護だけでは見えない隔たり

愛国、右翼思想の行き着く先

 あまりに論外で理不尽だが、この手紙の内容は、記録されなければならないだろう。
警察車両で相模原・津久井署に
入る植松聖容疑者=7月27日午後
 相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」の19人死亡するなどした事件で、殺人未遂容疑などで逮捕された植松聖容疑者(26)が、大島理森衆院議長に渡そうとしていた手紙の内容は、安倍首相の進める愛国心や右翼思想が、時に、過激な宗教と同様の現象を引き起こし、テロや暴力的に暴発する可能性を示している、と思う。
 植松容疑者の行った今回の大量殺傷事件は、単なる殺人事件というよりも、その動機だけ見れば、ローンウルフテロの色彩が濃厚であり、だからこそ大量殺りく事件が敢行されたともいえる。
 世界を見れば、昨今のISやISに触発されて引き起こされたテロ事件や、EUや米国の、右翼思想に触発されたテロ事件との親和性すら感じさせる。
 愛国心や右翼思想の行き着く先は、米国大統領候補のトランプの思想を見るまでもなく、そもそも排外主義や排除の論理と結びつきやすく、その過熱化は危険である。現にナチス政権は、このような過程でこそ、成立し得た。
 安倍首相や、愛国心や右翼思想を論じる人たちは、真に日本を愛するなら、その思想の行き着く先が、テロや暴力容認の危険思想にも通ずる危険性があることを十分に自戒すべきである。
 そうでないと、今のままリミッターなく、愛国心や右翼思想が語られると、論者や識者がたとえ暴力容認ということではなくても、欧米にみられるように、第2、第3の今回のような「テロ」が誘発される可能性がある。(弁護士、紀藤正樹ブログ2016.07.27

障害者と社会 理想の関係は

凄惨な事件でも「レッテル張り」したがる人々

 「タクマの生まれ変わりなんじゃない?」。街中で誰かがつぶやいていた言葉が耳から離れない。あまりに荒唐無稽で不謹慎かもしれないが、相模原市の障害者施設で入所者19人が殺害された事件の一報に、15年前、大阪教育大付属池田小で起きた連続児童殺傷事件の宅間守元死刑囚が思い浮かんだ。
 刃物を使って次々と社会的弱者を襲う卑劣な犯行。その残虐性や供述の異常性、己の身勝手な主張を正当化し、自らが犯した罪に反省の念すら感じさせない猟奇的な犯行は、似て非なる部分も多いとはいえ、宅間元死刑囚を彷彿させる。
植松聖容疑者が事件直前に投稿したとみられるツイッター画像
 犯罪史上類を見ないこの事件で特筆すべきは、重度障害者に対する被疑者の強烈な偏見である。事件が起きた施設で職員として3年以上も働きながら、トラブルが原因で退職した今年2月以降、施設の周辺で障害者を蔑視するビラを配ったり、今回の犯行を「予告」する内容の手紙を衆院議長公邸に持参するなど、被疑者の感情がここまで「憎悪」に変わったのはなぜか。ただただ理解に苦しむ。あまりに深い心の闇の解明が待たれるが、なによりも凄惨な事件が社会に投げかけた問いを真剣に受け止める必要がある。
 事件の衝撃は海外にも広がった。ロシアのプーチン大統領は、安倍首相に宛てたメッセージの中で「無防備な障害者を狙って実行された犯罪の残忍さに動揺している」と哀悼の意を表した。欧米メディアもこぞって事件を伝えたが、かつてヒトラー率いるナチス政権下の優生思想に基づき、重度障害者を大量虐殺した「暗い歴史」とも重なったのか、関心度もかなり高かったらしい。
 ただ、一つ気掛かりなのは、被疑者の一方的な偏見と、国内外で広がりをみせる愛国思想や保守主義を同等に論じるメディアや識者がいることである。これまでの報道等で明らかになっている限り、被疑者の動機は誇大妄想にとらわれた偏見とみる方が自然であり、しかも個人的な恨みに似た感情を伴うものである。今年2月に措置入院した際には、大麻の薬物反応があり、中毒性の精神疾患との関係も否定できない。
 事件の真相解明がまだ始まったばかりにもかかわらず、犯人の誇大妄想と右翼思想を無理やり関連づけ、それがあたかも危険であるかのように論じることに何の意味があるのか。今般の痛ましい事件にまで「レッテル」を張ろうとする向きには強い嫌悪感を覚える。繰り返しになるが、この事件はまだ不可解なことばかりである。常軌を逸した被疑者の言動を安易に特定の思想信条と結び付けて論じる方が、はるかに「危険」であることも付記しておく。(iRONNA編集長、白岩賢太)
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