象徴天皇の意味と皇統の危機
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象徴天皇の意味と皇統の危機

天皇陛下が、自らのお気持ちを国民に向けて語られた。日本国及び国民統合の象徴としての責務を全うすることへの強い責任感をにじませたことに多くの国民が共感した。天皇の地位は、主権者である国民の総意に基づく。陛下のお気持ちを受け止めつつ、改めて象徴天皇の意味と皇室の未来を考えたい。

天皇陛下が、自らのお気持ちを国民に向けて語られた。日本国及び国民統合の象徴としての責務を全うすることへの強い責任感をにじませたことに多くの国民が共感した。天皇の地位は、主権者である国民の総意に基づく。陛下のお気持ちを受け止めつつ、改めて象徴天皇の意味と皇室の未来を考えたい。

譲位以外の解決策も検討すべきだ

竹田恒泰はこう見る

象徴天皇を政治利用する勢力

「ご意思」を否定する自民党改憲草案

 天皇陛下は、現在82歳である。そのお年にもかかわらず、多くの公務をこなされている。だからではないが、今のうちに皇太子さまに引き継ぎたいというお気持ちなのだろう。天皇陛下は、戦後60周年にサイパン、70周年にはパラオへの慰霊の旅をされた。ご自身のなかで一区切りついた、という思いもあるのかもしれない。これがいち企業の経営者だったら、何の問題もない。だが、天皇陛下はそうはいかない。退位に関する規定が「皇室典範」にないのだ。だから騒動になった。「皇室典範」では、「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する」(第4条。皇嗣〈こうし〉=皇位継承者の第一順位にある者)と定めてあるだけなのだ。天皇陛下の生前退位を実現するためには、国会で「皇室典範」改正の議論が必要になる。
自民党の憲法改正草案を手に記者会見する
谷垣禎一総裁=2012年4月27日、自民党本部
(酒巻俊介撮影)
 7月14日、宮内庁の風岡典之長官は「生前退位の意向」報道を否定した。 もし、天皇陛下が生前退位を望んでいるとすれば、「皇室典範」改正を望むことにつながる。「政治に関与した」と言われかねない。だから、宮内庁は否定せざるを得なかったのだろう。ところが、同じ日の「毎日新聞」朝刊は、次のような報道をしていた。天皇の意向を受けた宮内庁の幹部たちが、生前退位について今年5月以降、水面下で検討を進めていた、と。 この「幹部」には、もちろん風岡長官も入っている。風岡長官は報道を否定しながらも、水面下では調整を重ねていた、ということになる。 
 政府は、天皇陛下の意に沿うべく、なるべく早く国会審議を始めるべきだ、と僕は思っている。ただ、ひとつ、気にかかることもある。自民党をはじめとする右派は、生前退位を認める動きに反対しているのだ。かつての戦前の日本であったように、天皇の意見や姿勢が合わないという理由で、時の権力者が天皇に譲位を強要する危険性があるというのが理由のようだ。そもそも彼らは、現在の日本国憲法が定めた「天皇制」に反対で、天皇の位置づけを変えていこうと考えているのだ。 
 自民党が野党時代の2012年に発表した「日本国憲法改正草案」に、その思惑がうかがえる。現在の日本国憲法第7条では、「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ」とある。 一方、自民党の改正草案第7条には、「内閣の助言と承認により」という部分が、すっぽり削られていて、「天皇は、国民のために、次に掲げる国事に関する行為を行う」とあるだけだ。自民党の憲法改正草案は、天皇の政治的機能を高めようとしている。つまり、権力を強化しようとしていると言っていいだろう。このように考える人たちが、陛下の生前退位のご意思を否定しているわけだ。
 だがしかし、天皇陛下がご高齢であることや健康状態を考えると、生前退位もやむを得ない。現在の象徴制のまま、「皇室典範」に条件をつけて生前退位を認めれば、何も問題はないのではないか。 元号について問題があるという声もある。それなら、大正時代の「摂政」のような役職を設ければいい。日本国憲法の理念を変えずに対応できる話だ、と僕は思う。一部の人々の思惑ではなく、天皇陛下のご意向が尊重されることをただ願う。(田原総一朗公式ブログ 2016.08.09

絶ち切れない天皇と国民の絆

天皇は未来の人類にとっても福音

三浦瑠麗はこう考える

諸外国の君主制はどうなのか

世界にも伝わる陛下の苦悩

国民目線で寄り添う陛下

 天皇陛下が国民にビデオメッセージでおことばを述べられました。生前退位までの気持ちの推移がNHKスペシャル「象徴天皇 模索の歳月」でその過程が放送され、まさに平成の玉音放送だったのでしょう。
 宮内庁筋から「象徴としての務めを十分に果たせないなら退くべきだ」と今上天皇陛下がお述べになられたと言われています。即位の際、現代に適した皇室をと話されていた今上天皇陛下らしいおことばです。天皇は公務を行う象徴。公務ができなくなれば象徴には値しない。公務に軽重はなく、すべてを完璧にこなせなければ退位すべき。今上天皇陛下はそう感じられています。最初から象徴天皇として即位された今上天皇陛下。「象徴のあるべき姿」をご自身で模索し続けた唯一のプロフェッショナルであるからこそ出てくることばです。
 「これまで天皇の務めとして、何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが、同時に事にあたっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました 」。初めて国民と同じ目線で寄り添う天皇。人(現人神?)として尊敬できるお方です。
 「天皇が国民に、天皇という象徴の立場への理解を求めると共に、天皇もまた、自らのありように深く心し、国民に対する理解を深め、常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じて来ました」。国民に恥じない行動をと自分を律しながら、国民へ皇室の広報という部分です。自分に厳しいおことばです。
 「天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、これまでにも見られたように、社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます」。自分が即位した時の経験と自分が患った病の経験。そこから出てきたその時の悪しき古き習慣を改善しようというまさに前向きな分析です。
 「ここに私の気持ちをお話しいたしました。国民の理解を得られることを、切に願っています 」。個人的意見への賛同を請う心からのことばです。これから様々な法律を含めて議論が必要になります。でもこの方のおことばならそんなに反対される方は少ないのではないかと期待します。80代の仕事を冷静に分析し退位を希望する。プロフェッショナルとして尊敬します。(中村幸嗣公式ブログ 2016.08.08

陛下の「お言葉」の重み

象徴天皇の意味と皇統の危機

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