NHK「貧困女子騒動」はここがおかしい
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NHK「貧困女子騒動」はここがおかしい

NHKのニュース番組が取り上げた「貧困女子高生」をめぐるバッシングが止まない。当該女子高生のツイッターが特定され、ネット上では「またやらせではないのか?」との憶測が広がり、片山さつき議員までも参戦する騒ぎに発展した。さてこの騒動、いったい何がどうなっているのか。

NHKのニュース番組が取り上げた「貧困女子高生」をめぐるバッシングが止まない。当該女子高生のツイッターが特定され、ネット上では「またやらせではないのか?」との憶測が広がり、片山さつき議員までも参戦する騒ぎに発展した。さてこの騒動、いったい何がどうなっているのか。

カタルシスを欲しがる私たち

外見ではわからない貧困

一億総中流の幻想

暴かれた「貧困女子高生」の私生活

 NHKがニュース番組で報じた、「子どもの貧困」特集が騒ぎになっている。実名で出演した高校3年生の女子生徒が、パソコンも買えず、エアコンも使えないなどと自身の貧困を訴えたが、ネット上で“豪遊情報”が飛び交っているのだ。未成年を巻き込んだ騒動を心配した自民党の片山さつき参院議員が、NHKに対して説明を求めた。「私はたまたまニュースを見ていて、彼女の『専門学校に進学したい』という夢をかなえてあげたいと思いました。NHKが取材するきっかけとなったイベントの名前をメモして、知り合いでもある県知事に相談しようと思ったのです」。片山氏は、注目したきっかけを、こう語った。
(写真はイメージです)
 騒動となっているのは、NHKが18日夜に放送した特集。アルバイトの母親と2人暮らしという女子高生が、つましい生活を余儀なくされていることを訴え、経済的理由で専門学校への進学を諦めざるを得ないことを紹介した。ところが、この女子高生がコンサートや外食を楽しみ、キャラクターグッズを購入していたことをネットで公開していたことが発覚し、大騒ぎとなったのだ。片山氏の目にも、ネット上での批判や中傷が入ってきた。完全な炎上状態で、住所や家族写真など、女子高生のプライバシーも暴かれていた。
 ネット社会では、こうした危険は十分にあり得るが、NHKは女子高生のSNS(会員制交流サイト)などのチェックを怠っていたようだ。なぜ、このようなことになったのか。片山氏はNHKに説明を求めた。担当者が23日に片山事務所を訪れ、こう説明したという。《典型的な貧困問題として取り上げたのではなく、経済的理由で進学をあきらめざるを得ない女子高生が実名と顔を出して話したことを伝えたかった》
 NHKは、イベントがマスコミにフルオープンだったため、この女子高生を取り上げたようだ。ならば、イベントでの発表のみで足るはずで、あえて自室内の様子までさらす必要はあったのか。ただ、若者が経済的な理由で進学を断念せざるを得ないことは問題だ。
 政府は2日、「未来への投資を実現する経済対策」を閣議決定した。同対策では、給付型奨学金は「2017年度の予算編成過程を通じて制度内容について結論を得、実現する」。無利子奨学金は「速やかに残存適格者を解消するとともに、低所得世帯の子どもたちに係る成績基準を17年度進学者から実質的に撤廃し、必要とするすべての子どもたちが受給できるようにする」と明記された。片山氏は「『無利子まででいいのではないか』という意見もありましたが、あらゆる若者が将来に希望を持てる社会を作ることこそ政治の役割だと思い、さらに踏み込みました。そういう現実こそ、きちんと報道していただきたいですね」と語っている。 (ジャーナリスト・安積明子 ZAKZAK 2016.08.26
■「貧困女子高生」めぐりNHKに謝罪 ビジネスジャーナル「『回答』は架空」(JCASTニュース 2016.09.01)
■ビジネスジャーナルが「お詫びと訂正」した「NHK貧困JKバッシング」記事が「廃刊級」にひどすぎる件(NAVERまとめ 2016.09.06)

人間は生まれながらに「不平等」

制作者の主観がつくった貧困女子

背景に「反NHK」イデオロギー

「かわいそう」では終わらない

「貧困女子高生」叩きは報道潰し

 自らの貧困生活を語った女子高生に対し、ネットの住民たちがその女子高生の私生活を暴いたことは、その女子高生のプライバシー侵害のみならず、放送局には報道番組を製作する上でも大きな圧力が掛かることになります。貧困状態にある子どもが6人に1人とも言われている中で、それをどのように伝えていくのかが報道機関に課せられた責務ともいえます。特に現実に貧困状態に置かれた当事者の声というものは、非常にインパクトがあります。テレビや新聞でも、実際に置かれた状況というものを伝えていくことが重要ではあるのですが、しかし、実際に取材に応じてもよいという人たちは決して多くはありません。「テレビに出られる!」と言って喜べるようなものではなく、尻込みするものです。
 かつてヤミ金融が全盛の時代のことですが、私のところにもよくマスコミからヤミ金被害者の声を直接、聞きたいという要望が来ていました。実際にヤミ金に借りたときの様子、取立の様子などはご本人が語るのが一番であることに間違いありません。当事者として声を上げていくということでもあります。ただ現実には依頼者にマスコミからの依頼ということで取材の打診はしてもほとんどの方から断られます。応じても良いという場合でも顔はモザイク、声は変えるという条件になったりします。
 今回の女子高生叩きというのは、その対象が未成年であるということだけでも悪質なのですが、このように叩かれるということになると誰も声を上げることができなくなってしまいます。今回のネットの住民たちによる誹謗・中傷は、こういった報道番組への圧力であり、ファシズムそのものです。そして何よりも今回の件で一番の問題は片山さつき議員(自民党)がこのネットの住民たちの不当な圧力に便乗するという議員にあるまじき行為をしたことです。さっそくNHKを問い質すというのです。与党議員がNHKに対して圧力を掛けようというのですから、ひどいものです。その結果がこの報告ツイッターです。「本日NHKから、18日7時のニュース子どもの貧困関連報道について説明をお聞きしました。NHKの公表ご了解の点は「本件を貧困の典型例として取り上げたのではなく、経済的理由で進学を諦めなくてはいけないということを女子高生本人が実名と顔を出して語ったことが伝えたかった」だそうです。
 NHKの回答内容自体はもっともなもので、結局、この片山さつき氏のやったことは、ネットの住民たちに便乗しただけの行動であって、そこに恥ずかしさを感じないのでしょうか。それ以上に、NHKは回答を拒否すべきだったという見解もありますが、確かに、このような一番組の取り上げ方に対して与党議員が介入してくることに対しては、その介入自体が不当であると抗議すべきことです。片山さつき氏は以前から貧困問題と生活保護に関しては異様な執着を持っています。その背景にあるのは、日本国憲法の天賦人権思想へのあからさまな敵意です。こういったバッシングに便乗する政治家など言語道断であるし、ネット上で自分も便乗した人たちの行為は、こういった政治や社会への疑問の声を潰すことだけを目的とした悪質な行為です。ナチ党の支持層がこういった社会への疑問を持った層を攻撃したのと全く同じ構造です。
 報道番組は屈してはなりません。NHKに配慮が足りなかったのではないかという批判もあります。しかし、取材にあたって生の声はどんどんと取り上げていくべきだし、ネットの住民たちに叩かれる可能性は説明すべきことですが、それはネットの住民たちから隔離することでありません。マスコミの取るべき行動は、このようなネットの住民たちを断固として批判し、実名報道に協力してくれた人たちを守ることであって、それこそが、その勇気に答えることだし、報道機関の使命とされるべきものです。(猪野亨公式ブログ 2016.08.25

「貧困女子」騒動の闇

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