終わりなき「原発論争」を考える

終わりなき「原発論争」を考える

政府は今年9月、福島県沿岸部の放射線量が高い帰宅困難区域を通る国道6号の交通規制を3年半ぶりに解除した。福島第一原発からわずか3キロ。この区間の全面開放は、未曾有の事故からの復興の第一歩でもある。だが、原発の是非をめぐり国論を二分する原発論争は今も続く。この論争に終わりは来るのか。

山本みずきが見た福島

 双葉町は、福島第一原子力発電所からわずか3キロ圏内にあり、原発事故の前には約7千人の町民が暮らしていた。山間に田畑があり水が豊かな日本らしい田舎で、冬でも雪がほとんど降らないためカーネーションの栽培が盛んな町だった。

 ところが、原発事故の発生後、政府によって「帰還困難区域」に指定された(写真1)。

 この町に繋がる国道6号線は規制され、ここに元々居住していた人たちも家に戻ることができなくなってしまった。彼らは父祖伝来の故郷を半永久的に喪失した。

 私は先月28日、双葉町を訪れた。言うまでもなく、原発事故から3年半が経過したいま、双葉町はゴーストタウンと化している。3・11以降、人々が住んでいた家々、店などがそのまま残っていながらも、人は誰一人として住んでいない。無機質で不気味な風景が続いている。

 今年9月15日、政府が国道6号線の規制を解除したことで誰でも通行できるようになった。とはいえ、6号線から枝分かれする脇道はバリケードによって入り口を封鎖され、警察官がいたるところで目を光らせている。この地域での居住は未だに許されないものの、通行証があれば元々の住人は一時的に家に戻り、荷物を取ることができるという(写真2)。

 現在、原発の危険性、放射性物質のもつ威力、福島第一原子力発電所付近の状況をめぐる我が国の言論空間は複雑怪奇の一語に尽きる。インターネット上の情報や、関連する多数の著書をみても、推進派と反対派で全く反対の事実が述べられていることすらある。

 今回、どうしても原発付近のリアルを知りたかった私は、実際に双葉町を訪れることを決めた。しかし正直なところ、この地を視察しようと決心した時から、抑え難い好奇心と、福島第一原発から3キロ圏内に入るということへの恐怖が綯い交ぜになった複雑な心持ちだった。(文・写真 山本みずき)

原発論争に終わりはあるのか

  • 原発論争の「情と理」

    原発論争の「情と理」

    東日本大震災から3年半たった今も白黒がはっきりとつけられない原発論争。それでも原子力工学の未来を信じようという考えがあるのであれば、国内の情に配慮した議論を積み重ねる以外に方法はないのではないだろうか。

日本のエネルギー問題の是非を考える上で欠かせない再生可能エネルギー。国内の太陽光導入政策がなぜ破綻に瀕しているのか。
月刊Wedgeが真相を追及してきた「太陽光導入 破綻の真犯人」(2014/10/22公開)も合わせてお読みいただきたい。

「美味しんぼ」騒動にみる原発論争

美味しんぼ原作者の雁屋哲氏
 今年4月、小学館の漫画雑誌「週刊ビッグコミックスピリッツ」の5月12、19日合併号(4月28日発売)に掲載された人気漫画「美味しんぼ」で、福島第一原発を訪れた主人公らが原因不明の鼻血を出す場面が描かれ、大きな論争を巻き起こした。「科学的な根拠に乏しく、福島の風評被害につながる」「多様な意見の一つであり、本質的な問題を提起している」。日本中で賛否が渦巻いたが、「漫画」という視覚的に訴える表現方法での原発批判だっただけに、その後もしばらく物議を醸した。
 安倍晋三首相は一連の問題に関連して「根拠のない風評を払拭をしていくためにも、国として全力を挙げて対応していく必要がある」と異例のコメントを発表。一方、原作者の雁屋哲氏はブログで「福島を2年かけて取材をして、真実をありのままに書くことがどうして批判されなければならないのか」と反論したが、小学館側が「表現のあり方を今一度見直す」との編集部見解を発表し、連載を一時休載したことで事態は収束した。

美味しんぼ「鼻血問題」 福島出身の弁護士はどう見たか?(2014/6/5 弁護士ドットコム)

  • 「美味しんぼ」論争 科学者からの反論

    「美味しんぼ」論争 科学者からの反論

    非科学的な“風評加害”は許せません──。福島の風評被害につながると議論を呼んだマンガ「美味しんぼ」論争。誤認されやすい放射線と放射能の実態を理学博士の高田純・札幌医科大教授が徹底解説する。

原発輸出は是か非か

安倍晋三首相は原発輸出を成長戦略の要と位置づけ、新興国へのトップセールスにも積極的に出向いている。核不拡散条約(NPT)に加盟せずに核実験したインドへの原発輸出に必要な原子力協定の締結交渉も進んでおり、内外の反核団体からは「核武装の意図があるのでは」との声まで上がる。福島第一原発の事故を教訓としなければならないわが国にとって、「原発アレルギー」に陥った多くの反対派の声を押し切って原発輸出が本当に実現できるのか。今後、原発輸出をめぐる論争も大きな火種となりかねない。

原発再稼働の真の目的は?安倍政権が原発輸出に固執する恐ろしい理由(2014/9/23 リテラ)

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福島第一原発の内部映像

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