ネットメディアは今も「回転ずし」なのか
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ネットメディアは今も「回転ずし」なのか

「ネットメディアはしょせん回転ずしみたいなもの」。そう思っている人も案外多いのではないだろうか。新聞や雑誌、テレビと比較すると、どうしても格下扱いされがちだが、なぜネットメディアはいまだ「すきやばし次郎」になれないのか。iRONNA編集部が自戒を込めて、あえてこのテーマをお届けする。

「ネットメディアはしょせん回転ずしみたいなもの」。そう思っている人も案外多いのではないだろうか。新聞や雑誌、テレビと比較すると、どうしても格下扱いされがちだが、なぜネットメディアはいまだ「すきやばし次郎」になれないのか。iRONNA編集部が自戒を込めて、あえてこのテーマをお届けする。

粗製乱造が事故を生む

衰えゆく日本の情報空間

「信頼性」という壁

独り立ちするネットメディア

「ネットは裏社会」と鳥越氏

 東京都知事選で野党統一候補として出馬し、落選したジャーナリストの鳥越俊太郎氏がネットニュースサイトに答えたインタビュー記事が波紋を広げている。公式サイトから都知事選への記述が削除されたことを問われると、「(ネットは)しょせん、裏社会」などと回答。新聞記者出身ながら「ペンの力なんか全然信用していない」とも述べる迷走ぶりで、「まるで暴走老人だ」との声もあがっている。
鳥越俊太郎氏
 インタビューを掲載したのはハフィントンポスト日本版。選挙戦の結果を問われた鳥越氏は「まあこういう結果だったな」などとあっさり。週刊誌に「女子大生淫行疑惑」を報じられながら、説明責任を果たさないと批判された点については「(疑わしいと思うのなら)『勝手に思え』と思って全部切った」などと語った。
 その厚顔ぶりが際だったのはネットメディアに対する“見識”だった。動画配信サイト「ニコニコ生放送」の候補者討論会に出席しなかった理由を問われると「ニコ生は基本的にメディアとして認めていない」。公式サイトから都知事選の記述が消えたことについては自身の“関与”を否定したものの、「ネットにそんなに信頼を置いていない。しょせん裏社会だと思っている」などと言ってのけた。
 これには、選挙で支持母体だった民進党内からも批判の声が上がった。板橋区議の中妻穣太氏はブログで、「Twitterを見て応援してくれた方々も裏社会の人間ですか」と呆れた様子。選挙活動に最低限必要なのは礼節、誠実、真摯、感謝とチームを引っぱろうとする姿勢だとし「そういうものがない候補者が負けるのは、当然のこと」などと突き放した。
 ネットメディアをこき下ろした鳥越氏だが、批判の矛先は自身の出身母体にも向けられた。立候補した背景について問われた質問で、「僕はペンの力なんか全然信用していません。だから、選挙の中で訴えるという一つの手がある(と思った)」と語ったのだ。
 元新聞記者、週刊誌元編集長という肩書のほか、韓国の市民参加型ネット新聞「オーマイニュース日本語版」の元編集長という経歴もある鳥越氏。新旧メディアに身を置き、情報発信してきた人間のこの発言をどう受け取ればいいのか。(ZAKZAK 2016.08.15

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紙メディアVSネットメディア

iRONNAは「本物の握り」も食べられる「回転ずし」を目指します

 「僕から見れば、ネットメディアなんてのはしょせん回転ずしみたいなものなんですよね」。先日、あるベテラン雑誌編集長と打ち合わせをした際、やにわに投げかけられた言葉がずっと胸に突き刺さっている。
 その編集長ははっきりとは口にしなかったが、雑誌を含む紙媒体のことをさしずめ東京・銀座の高級寿司店「すきやばし次郎」になぞらえたかったのだろう。そう、ネットメディアは紙媒体よりもずっと格下のメディアであると言いたかったのである。
 実を言うと、その気持ちはよく分かる。筆者自身、3年半前まで新聞記者をやっていたが、よもやこのiRONNAというメディアを立ち上げることになろうとは当時は思いもしなかった。新聞社にいれば、「生涯一記者」という生き方は誰もが一度は憧れる。いま思い返せば、自分もその一人だったと思う。
 しかも、記者時代は「新聞こそメディアの本流であり、世間に最も信頼されているメディアである」との自負もあった。それだけに心のどこかでネットメディアを卑下していなかったと言えば嘘になる。
 なぜネットメディアは「回転ずし」で紙媒体は「すきやばし次郎」なのか。今さら言う必要はないかもしれないが、一言で言えば記事の質の違いにある。取材記者が書いた記事は現場のキャップやデスクが目を通し、さらには編集長や編集局長までもがゲラを確認する。しかも、記事の誤字脱字や事実確認のチェックを専門に行う校閲という部署まである。つまり、一つの記事が世に出るまでにかけるマンパワーが圧倒的にネットメディアとは違うのである。その過程が質の差につながっていることは間違いない。
 むろん、それだけではない。取材記者も含めた紙媒体にかかわる人たちの多くは「プロ意識」が高い。極端すぎるほどミスを恐れ、たとえ自分が取材し書いた記事であってもそれが本当に正しいかどうか、何度も疑う。筆者が知っている限り、優秀な記者や編集者と呼ばれる人ほど、とにかく怖がりで疑い深い人が多かった。このプロ意識の差も記事の質を大きく左右していると思う。
 ただ、iRONNAを立ち上げてから2年がたち、ネットメディアに対する自分自身の考え方も随分変わったのも事実である。ネット上にあふれる情報は相変わらず玉石混交だが、それでも確実に変わったと思えるのは、情報の受け手であるユーザーの質の変化だろう。いや、記事の質や真偽を見極める彼らの目が肥えたとでも表現する方が正しいかもしれない。
 氾濫する情報の中でそれを取捨選択するユーザーのリテラシーが高まり、彼らの多くが「回転ずし」ではなく「本物の握り」を求めるようになった。言い換えれば、情報の出し手たる我々もまた、「ネットだから」という卑下した感覚ではもはや通用しなくなったという意味でもある。
 周知の通り、ネットメディアやソーシャルメディアが炎上する事態は今も後を絶たない。しかも以前にも増して、ユーザーが情報を消費するスピードも速まっている。情報発信する側にしてみれば、ある意味「受難」の連続だが、これも新興メディアの「宿命」なのかもしれない。
 おかげさまでiRONNAも3年目に入り、着実にユーザーを増やしている。iRONNAがこれからも目指すのは、紙媒体に見劣りしない本物のメディアであることに変わりはない。ただ、我々は決して「回転ずし」の客を卑下したり、ましてや差別もしない。我々は紙媒体では決してできない、本物の握りも食べられる「回転ずし」を目指せばいいのだから。(iRONNA編集長、白岩賢太)
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