ボブ・ディランの文学性に疑義あり
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ボブ・ディランの文学性に疑義あり

今年のノーベル賞の話題をさらった人といえば、誰もが文学賞に選ばれた米ミュージシャン、ボブ・ディランを挙げるだろう。受賞決定後も沈黙を続ける彼の動向に今も注目が集まるが、そもそも反戦、反体制を貫くディランの歌詞に高い文学性などあったのか。選考過程のみならず、文学賞の価値そのものに疑義ありだ。

今年のノーベル賞の話題をさらった人といえば、誰もが文学賞に選ばれた米ミュージシャン、ボブ・ディランを挙げるだろう。受賞決定後も沈黙を続ける彼の動向に今も注目が集まるが、そもそも反戦、反体制を貫くディランの歌詞に高い文学性などあったのか。選考過程のみならず、文学賞の価値そのものに疑義ありだ。

選出は「苦肉の策」か

「らしさ」にとらわれない神様

陽水、谷村、さだだって

革新的選考には批判が伴う

ウォールアーティスト、
エドゥアルド・コブラが描いた
ボブ・ディランの壁画
=米ミネアポリス(ロイター)
 賞の生命は、その「選考」過程にある。世間の評価を追認したり、既存の価値観に従うだけだったり、あるは業界内の「年功序列」の積み上げだったりすれば、そのような賞は一部の人たちに便利に使われるだけで、実質的な意味を失っていく。
 ノーベル賞が、「世界で最も成功したビジネスモデルの一つ」と言われるのは、その選考が優れていたからである。たとえば、田中耕一さんのように、同じ業界の中でも十分に知られていないような業績を掘り起こして受賞者に選ぶことで、「さすがノーベル賞」とその価値を高めてきた。
 今回のノーベル文学賞がボブ・ディランさんに決まったことは、「選考」の実質的な意味ということで、賞の価値を高めるだろう。選考委員会は、ボブ・ディランさんの「詩人」としてのすぐれた資質、業績を挙げたが、そのような「本質」を見据える視点、見識がまず素晴らしい。
 また、ポップ・ミュージックという、従来、小説や詩などの文学に比べればより大衆的だとみなされていた分野におけるボブ・ディランさんの業績に対して、価値観やヒエラルキーの枠を超えて、評価した点において、画期的な選考だと私は考える。
 もちろん、革新的な選考には批判が伴う。英語のメディアを見ていると、ボブ・ディランさんの受賞に対して疑問を呈したり、批判する識者もいる。しかし、英国の美術賞、ターナー賞を見てもわかるように、批判されないような選考は、本来、革新性に欠けるのである。
 世の中にはたくさんの賞があるが、ノーベル賞に学ぶべきは、選考にかけるエネルギー、手間、そしてそこに込められた実質を見据える視点であろう。ノーベル賞という既成の「権威」を何も考えずにありがたがる態度では、なぜノーベル賞というビジネスモデルが成功したのか、その本質に到達できない。(茂木健一郎公式ブログ 2016.10.14

「既読スルー」を徹してほしい

みうらじゅんが教えてくれた魅力

受賞に適した作家がいない

ディランの方が一枚上手

 今年のノーベル文学賞に選ばれた米シンガー・ソングライターのボブ・ディラン氏が、受賞について沈黙を続けていることに対し、選考主体のスウェーデン・アカデミーのメンバーが「無礼かつ傲慢だ」と批判しました。一方、受賞する・しないは本人の自由であり、アカデミーの方こそ無礼だという意見もあります。ボブ・ディラン氏とはどのような人物で、なぜノーベル賞を受けないのでしょうか。
ボブ・ディラン
ボブ・ディラン
 スウェーデン・アカデミーは10月13日、2016年のノーベル文学賞をボブ・ディラン氏に授与すると発表しました。歌手が受賞するのは初めてのことであり、オバマ大統領も「ふさわしい」と賞賛するなど米国では祝賀ムード一色となりました。
 ところが、選考委員会がディラン氏に連絡を取ろうとしても連絡がつかない状況が続き、本人からも何ら公式なメッセージは発信されませんでした。21日には、同氏の公式サイトからノーベル文学賞受賞という表記が消されていたことから、本人が受賞を望んでいないという共通認識になりつつあります。その間、ディラン氏はコンサート活動なども行っていることを考えると、あえて無視している可能性は高いでしょう。
 こうしたディラン氏の態度について、選考委員の1人は、スウェーデンの公共放送とのインタビューで「無礼で傲慢だ」と述べ、ディラン氏を批判しました。
 ただディラン氏を知るファンなどからは「想像の範囲」との声が多いようです。ディラン氏は1962年にフォーク歌手としてデビューし、ベトナム反戦運動や公民権運動の高まりを背景に反体制音楽の象徴としてカリスマ的人気を博しました。
 アップル創業者で元ヒッピーのスティーブ・ジョブズ氏がディラン氏に心酔していたのは有名な話です。カリスマであるにもかかわらず、時にやる気がなさそうに演奏するなど、本人はニヒルな性格ですから、今回の受賞に対する反応もうなずけるというわけです。
 もっとも、ディラン氏を批判した選考委員も「彼ならあり得ること」とも発言しており、ある程度想定の範囲内だったことを伺わせます。ディラン氏はすべての賞を拒否しているわけではなく、2012年にはオバマ米大統領から最高位の「大統領自由勲章」を授与されています。
 ただノーベル賞は非常に堅苦しく権威主義的な賞ですから、あえてこれを無視するという態度に出ることで、最高の演出効果を狙ったのかもしれません。ディラン氏に賞を授与することでノーベル賞の権威をより強いものにしようとの思惑があったのかもしれませんが、ディラン氏の方が一枚上手だったというところでしょうか。(The Capital Tribune Japan、THE PAGE 2016.10.26

ディラン受賞の波紋

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