トランプショックでも勝機あり
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トランプショックでも勝機あり

政治や社会秩序だけではない。世界の金融市場も「トランプショック」の行方に怯える。トランプ氏の掲げる米国第一主義が、世界経済の後退を招く「劇薬」であるからに他ならない。自由経済と基軸通貨ドルを武器に君臨した米国はどこへ向かうのか。先行きは不透明だが、それでも日本には勝機がある。

政治や社会秩序だけではない。世界の金融市場も「トランプショック」の行方に怯える。トランプ氏の掲げる米国第一主義が、世界経済の後退を招く「劇薬」であるからに他ならない。自由経済と基軸通貨ドルを武器に君臨した米国はどこへ向かうのか。先行きは不透明だが、それでも日本には勝機がある。

トランプは円安を許さない

思想も理念もない化石人間

ちらつく80年代の悪夢

トランプは「レーガンの再来」か

 11月17日、米国を訪問した安倍晋三首相は、トランプ次期大統領と会談した。およそ1時間半の会談をとおして、両者は互いに好感を持ったようである。米次期政権においても両国関係は、まずは順調といったところだろう。
 トランプが大統領選で勝利した理由は、多くのアメリカ人が「変化」を求めたからだ、と僕は思っている。ヒラリーでは現状を変えられないとの判断が下されたのだ。とはいえ、トランプがもたらす「変化」によって、アメリカがよくなるか、悪くなるかはわからない。しかし、ともかくアメリカ国民はトランプに賭けたわけだ。
 トランプは主に2つのことを主張している。1つは保護主義、反グローバリズムだ。グローバリズムは、一部の大企業などには恩恵をもたらしたが、その他の企業や産業には、むしろ不利にはたらいた。そのせいで格差が広がったと考えるアメリカ人が少なくないということだ。だからこそトランプは、TPPに参加しないなどという、保護主義を主張するのだ。しかし、アメリカは農業やIT産業などの輸出大国である。それを踏まえて、トランプは、どのような政策を打ち出してくるのだろうか。
「ロン・ヤス関係」と呼ばれる親密な関係を築いた
 レーガン米元大統領と中曽根康弘元首相
=1983年11月11日
「ロン・ヤス関係」と呼ばれる親密な関係を築いた レーガン米元大統領と中曽根康弘元首相 =1983年11月11日
 彼のもう1つの主張は、「世界の警察」をやめるということだ。日本や韓国は、アメリカに頼らず、「自分たちの手で自国を守れ」と言うのだ。
 以前、書いたことがあるが、ビジネスの世界でのトランプは、極端な主張をしておいて、交渉で有利な条件にもっていくのがうまい。また、大勢での交渉は苦手だが、1対1の交渉に強かったそうだ。
 すると、トランプは多国間交渉は不得手でも、二国間交渉では強さを発揮しそうだ。貿易についても、TPPではなく、二国間交渉でアメリカ有利に持っていく可能性もあるだろう。安全保障の面でも、何か落としどころを考えているかもしれない。
 選挙戦中、あれほど批判し合っていたオバマ大統領と、そつなく会談をこなすなど、早速トランプは、したたかさを見せている。
 ところで、「トランプはレーガンの再来か」「トランプはレーガンになれるか」と、トランプとレーガンを比較したり、レーガンになぞらえたりする記事を目にする。たしかに、たとえば減税など、政策面で似ているところはある。だが、レーガンはグローバリズムと「世界の警察」を一貫して掲げていた。2人の主張は、大枠ではむしろ真逆なのだ。ただ、2人とも政治家として未知数という点で共通している。
 大統領就任後、トランプはどう「化ける」のか。こんなにも目が離せないアメリカ大統領は、僕にとっても初めてかもしれない。(田原総一朗ブログ2016.11.28

石炭産業復活なるか

モノづくり国家の宿命

自由貿易は弱い者いじめ

厄介な交渉相手になる米国

 アメリカがTPPから抜けても現状のままなんだから、そう変わらないはずだ、などと現在の事態を捉えておられる方もおられるようだが、アメリカの大統領が変われば何にしてもアメリカは大きく変わる、と見ておくべきだろう。どうせ変わるのだから、今は何をやっても意味がない、などと仰る方は、どうも国の指導者としては消極的過ぎて頼りにすることが出来ない。叶わないまでも、とにかく変わろうとする相手を出来るだけいい方向に変えていくための努力はしなければならない。
TPPの首脳会合に臨む安倍首相ら=11月18日、マニラ
TPPの首脳会合に臨む安倍首相ら=11月18日、マニラ
 TPPの推進が本当に日本にとっていいことかについては、色々異論があるところで、いいところと悪いところ、どうでもいいところなどが混在していたのだと思う。政府はTPP推進に舵を切っていたが、妥協の産物とは言え、TPPについてはこの点はどうも、という部分があることは事実である。私などは、ISDSは外した方がいい、たとえ特殊な分野であっても日本の司法権、裁判権が及ばないような制度を導入するようなことは止めた方がいいのだが、という立場だったが、そういうことがあっても日本の将来の経済発展を考えればTPPを推進した方がいい、と国会が決めるのであればそれはそれで仕方がないのかな、などと実に中途半端な状態でいた。
 アメリカがTPPから離脱することになれば、とりあえずはTPPに関する議論が先送りになるのだから、それはそれでいいのかな、ぐらいの感覚で受け止めているところである。問題は、トランプ氏がTPPに代わって二国間交渉を主張しているところだ。アメリカ・ファースト、アメリカ一国の経済的利益のみ主張してくるアメリカは、交渉相手としては少々厄介だろうな、と思っている。アメリカが力づくで何でも日本に押し付けてきたらどうしたらいいか、アメリカが力づくで日本に無理難題を押し付けてくることがないようにするためにはどうしたらいいだろうか、などということを懸命に考え始めたところである。
 アメリカの窮状にも十分同情しながら、しかし、双方にそれなりの利益をもたらすような道を探らなければいけなくなるな、というのが私の理解である。どうせ変わるのだから、出来るだけいい方に変わるように日本として努力するべきだろう、というのが私の意見である。私自身は具体的な提案が出来るような立場にはないが、こういう時に頼りになる人が必要だろうというのが私の感想だ。
 安倍さんの希望するような方向には行かなかったが、安倍さんはそれなりによく動いたじゃないか。あれやこれやケチをつける人が出てくるだろうが、ケチをつける人は何も出来ず、現に何もしない人。安倍さんは、結果は出せなかったが、まずはよくやった。これからの努力次第でトランプのアメリカをいい方向に変えていくかもしれないじゃないか、というのが、現時点での私の評価である。(早川忠孝公式ブログ 2016.11.24

トランプの公約は実現困難?

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