「完全自動運転」のとんでもない未来
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「完全自動運転」のとんでもない未来

自動運転車革命の時代がいよいよ幕を開ける。世界各国の自動車メーカーが技術開発に注力する中、日本でも国を挙げてのルール作りや普及を後押しする動きが本格化した。ただ、お察しの通り、自動運転車の実用化にはさまざまな死角もある。「完全自動運転」社会の到来は、本当に明るい未来なのだろうか。

自動運転車革命の時代がいよいよ幕を開ける。世界各国の自動車メーカーが技術開発に注力する中、日本でも国を挙げてのルール作りや普及を後押しする動きが本格化した。ただ、お察しの通り、自動運転車の実用化にはさまざまな死角もある。「完全自動運転」社会の到来は、本当に明るい未来なのだろうか。

組立メーカー「転落」の危機

事故の責任はどこに向けられるのか

方法論の一つに過ぎない

「自動運転」のニーズに疑問

テスラ・モーターズの自動運転車の
運転席=4月7日、米サンフランシスコ
 「自動運転」モードで走行していたテスラが、高速道路の分岐点で左折しようとしたトレーラーの下に潜り込むように突っ込んだ死亡事故については、このブログで取り上げましたが、また中国で「自動運転」による死亡事故が起こったようで、「自動運転」の開発競争に警鐘を鳴らしているように感じます。「自動運転」は、スマートフォンに匹敵するような大きなイノベーションが枯渇してしまったせいか、官民あげて開発のイニシアティブをとろうとするチャレンジが起こっていますが、安全性の担保には細心であって欲しいものです。
 「自動運転」には、技術的にも、法律や施設などの社会インフラの整備という点でも、まだまだ課題が多いはずですが、テスラのように、安全や負担軽減などのための「運転支援」にすぎない技術を「自動運転」とうたったり、シンガポールのように自動車部品メーカーのデルファイトと政府で自動運転車を使ったタクシーの実験プログラムを進める動きが起こってきています。
 確かに、「安全性」を高めたり、「運転負荷」を軽減するための機能は社会的にも、またユーザーにもニーズはあります。追突防止や歩行者の巻き込みを防ぐ安全機能などは法的にも適用を全車種に広げたほうがよさそうですし、昔の一定速度を保つオートクルーズはたいして役にたたなかったのですが、今ではセンサーで前の車を自動追従して車間距離を保ってくれ、ずいぶん高速道路の運転が楽になりました。こういった技術は価値を感じます。
 しかし、果たして「自動運転」そのものにニーズがあるのかは疑問です。運転が楽しくなさそうですし、どれだけ信頼できるかも疑問です。ましてどこかのCMにあるように運転を自動運転に任せてミーティングする必要性がどれだけあるのでしょう。もしかすると、「自動運転」技術は、液晶テレビの最初の夢だった「壁掛けテレビ」と同じ道を歩むのかもしれません。結局は電卓や時計などで「液晶技術」を積み上げていった日本のメーカーが技術を確立し、結果として「壁掛けテレビ」も実現したのです。
 「自動運転」は、走行条件などのデータを蓄積し、人工知能で実現するだけでなく、ひとつひとつの制御の品質、たとえば歩行者や障害物をセンサーが探知して確実に止まることなどがともなってはじめて実現できます。そろそろ、どれだけ確実に安全機能が働くのかの公的なテストの実施と、結果の公表が必要になってきているのではないでしょうか。(「大西宏のマーケティング・エッセンス」 2016.09.16

高精度3Dの高い壁

東京五輪までに自動運転?

ベンチャー、ZMP社長の戦略

やらかしてしまったZMP社

2014年5月、ロボットタクシー事業に
意欲を示すDeNAの中島宏執行役員(左)と
ZMPの谷口恒社長
 すでに二階建でネタになってますが、自動運転技術(ただし自称)のZMP社が上場延期になってました。大変ですね。
 ただ、ZMP社についてはこのままアカンことになってしまうのではないかとそっち方面でいろいろ話しておりました。要するに主要株主の一つであるインテルキャピタルとの株主間契約のようなものの中に「2016年中(つまり今月)までに上場しなければ株式を引き上げる」という要項が入っており、企業を存続させるためにも是が非でも上場を強行しなければならなかった事情があったのでしょう。
 それまでは主幹事が野村證券だったわけです。が、以前どこかの誰かがAppBankやGumiで盛大に燃やしたため、責任者がお客様センターに飛ばされるなどして、どすえどすえ言ってるお客の相手をしなければならなくなったことに懲りて、ZMPの件での強行上場は降りてしまいました。そこでババを掴みに行ったのがSMBCということになります。
 今回は申請後に発覚した情報漏洩のかどで見送りになったわけですけれども、上記インテルキャピタルのネタと併せて某大口取引先が来年1月にZMP社との取引を終了するという話がありまして、これがまた目論見書の重要なリスク情報として記載されていないわけであります。そうなると、どこぞのGumiのように上場即下方修正とかいうふざけた事態になるわけで、はめ込まれた個人投資家その他がリスクにさらされるばかりか、またしても市場の信認が失われる結果になったかもしれません。
 そういう地雷のような案件をやってしまう証券会社や監査法人ももう少しやりようがあったんじゃないのと思う一方、 中身が無い上場予定企業の選別はもう少し細やかにやるべきです。事情を知らない投資家が損をさせられるだけですからね。
 ここで上場できないとZMP社はなかなか厳しいかとは思いますが、前を向いて頑張っていってほしいと思います。(「やまもといちろうオフィシャルブログ」2016.12.13

完全にムード先行か

「完全自動」で消える200万人

 40年前の星新一さんの「SFショートショート」に、あらゆる仕事はロボットがするようになり、人間は栄養補給と生殖だけをするようになるという話があった。その頃は、人間の仕事全部がロボットにとって代わるなど夢物語だった。最近では、どんな仕事・職業がどの位の確立でなくなるかが具体的に予測されるようになった。英オックスフォード大のオズボーン准教授らの論文「雇用の未来-コンピューター化によって仕事は失われるのか」(2014年)によると、10~20年後、現在ある職業の約半分はなくなるという。そのリアリティーは強まってきた。
 例えば、現在わが国には、約200万人のトラックやタクシーの運転従事者がいるが、車の運転が完全に自動化することになれば、残念ながら彼らの仕事はなくなる。人間による車の運転は危険を伴うものであり、年々減少傾向にあるといっても15年中には約54万件の人身事故が発生し、約4000人が命を落とした。
 このような多数の犠牲者が不可避的に生じる自動車運転が許容されてきたのは、自動車による人の移動や物流がもたらす便益が極めて大きいことに求められてきた(法的には「許された危険」などという)。自動運転によって事故が起こらなくなった時点からは、社会的便益を持ち出して、危険性を伴う人間による運転を許容する根拠は失われる。自動運転技術を使わず、人間自ら運転する行為は、他人に危害を加える可能性があると認識しながら、あえてそのような危険な行為を行ったものとして強い非難を受けることになるだろう。
 自動運転を使っていれば交通事故で家族を失うことがなかったという被害者が現れるようになれば、いかに車の運転を楽しみにしているドライバーが多くても、人間が公道で車両を運転することを法的に許容することは難しいと思う。
 そして、完全な自動運転は近い将来確実にやってくる。最近の車には、前方の車両を追尾する機能や、道路の白線を認識し、走行車線の左右に車が寄っていくと反対側のタイヤの回転数をわずかに落として車線の中央に車両を戻す機能が搭載されるようになってきた。実際にそのような車に乗ってみると、高速道路では、運転手は前方の車両をロックしたらハンドルを押さえているだけで、運転操作らしきことはほとんどやる必要がない。
 運転従事者200万人の雇用が短期間で失われるだけでも、消費に大きな影響がでるだろう。他方で、200万人を雇用していた企業の側は、人件費が激減し、いったん利益率が大幅に引き上げられる。その後、良好な業績と消費の低迷を背景に価格競争が生まれ価格はさらに下がって、再び強いデフレ傾向になっていくように思う。わが国の5700万人の被雇用者の半分の仕事がなくなる「雇用の未来」。国も個人も早期に対策を考えるべき問題だと思う。(弁護士・古田利雄、フジサンケイビジネスアイ 2016.11.01
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