韓国大混乱、実は朴槿恵の方がマシだった?
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韓国大混乱、実は朴槿恵の方がマシだった?

韓国の朴槿恵大統領の弾劾訴追はあっけなかった。日本でも連日ワイドショーをにぎわし、まるで韓国政界の混乱を楽しんでいるかのような報道ぶりが目立った。ただ、朴氏のこれまでの政治家としての評価まで無視していいのか。日本のテレビ報道を見る限り、本質的な議論が決定的に抜け落ちてはいないだろうか。

韓国の朴槿恵大統領の弾劾訴追はあっけなかった。日本でも連日ワイドショーをにぎわし、まるで韓国政界の混乱を楽しんでいるかのような報道ぶりが目立った。ただ、朴氏のこれまでの政治家としての評価まで無視していいのか。日本のテレビ報道を見る限り、本質的な議論が決定的に抜け落ちてはいないだろうか。

安倍宏行の視線

 連日テレビを賑わす「崔順実(チェ・スンシル)ゲート」。「大統領をも操る女帝」の登場と、100万人市民デモの映像のインパクトは、韓国に対するフラストレーションを晴らすかの如く、日本の視聴者をくぎ付けにしている。
 しかし、待ってほしい。朴槿恵政権は日本にとってそんなに悪い政権だったのか? 何故、韓国国民はこれほどまで現職大統領を引きずり降ろそうと躍起になっているのか? 北朝鮮はこの騒動をどう見ているのか? わかるようでわからないことばかりだ。テレビ報道に決定的に欠けている視点は何なのか、考察する。(Japan In-depth編集長)

無責任な論評ばかり

国民は保守を見放した

足並み乱れる日米韓同盟

流動化「韓国情勢」の先にある懸念

2009年5月、韓国の盧武鉉元大統領の
国民葬に出席した金大中元大統領
(手前右)。同左は金泳三元大統領
=ソウルの景福宮(共同)
 与党セヌリ党の朴大統領の失脚は、当然ながら、野党勢力の伸長を促し、今後、多くの韓国ウォッチャーが懸念する通り、韓国の急速な“左傾化”が憂慮されている。言いかえれば、北朝鮮勢力との接近である。今回の反朴デモにも、多くの北朝鮮工作員がかかわっているのは自明だが、私が思い起こすのは、あの金大中時代から盧武鉉時代(1998年~2008年)のことである。
 韓国が、10年の長きにわたって続いたあの「太陽政策」の失敗を、再び繰り返さない保証はどこにもない。それは、極端な見方かもしれないが、韓国に「軍事クーデター」さえ呼び起こしかねない“不安定な政治状況”をもたらすだろう。核弾頭の小型化に向けて急ピッチの研究開発がつづく北朝鮮。果たして韓国は、アメリカの「THAADミサイル(終末高高度防衛ミサイル)」導入が、激しい中国の反発を生んでいる中で、“ポスト朴”政権が誕生しても、腰砕けせずに、この導入方針を「維持」できるのか、予測がつかない。
 おまけに、アメリカには、さらに先行き「不透明」なトランプ政権が誕生し、朝鮮半島をめぐる米・中の綱引きがどう展開するのかもわからない。日本の尖閣支配に対して、中国国家海洋局海監東海総隊が「日本の実効支配打破を目的とした定期巡視」をおこない始めて、丸4年。いつ、どのタイミングで、尖閣に中国の武装漁民が上陸し、それを守るために、中国の4000トン級の新型多機能海洋法執行船がどう出るのかも予断を許さない。
 不安定要素を増す東アジア情勢で、韓国が、まさに「太陽政策」の金大中・盧武鉉時代の「再来」となるのなら、これは日本人も“他国の出来事”などと笑っていられる場合ではない。
 来年は、フランスでも大統領選があり、ドイツでは連邦議会選挙もある。「2017年は、世界情勢が一挙に流動化する」という観測が流れる中、習近平・中国国家主席や、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が“高笑い”するような事態が東アジアに現われることだけは避けなくてはならない。(門田隆将「ブログ『夏炉冬扇の記』 2016.11.30

米韓「拡大抑止」は続くか

戦略的優位を阻め

「親日勢力」も清算せよ

 11月23日付本欄で私は、反朴デモの首謀者は親北極左勢力で、彼らは崔順実スキャンダルを問題にしているのではなく、韓国の自由民主主義体制を否定する「革命」を目指しており、野党もその勢力に便乗していると指摘した。
 問題の本質は、朴大統領のスキャンダルと朴政権が行ってきた正しい政策-韓米同盟強化、高高度防衛ミサイル(THAAD)配備決定、暴力革命を目指す極左政党解散、左傾化した教科書修正、北朝鮮自由化努力など-とを区分し、後者については継承する次期保守政権を作ることができるかどうかだ。その結果はまだ分からない。失敗すれば半島全体が核を持つ反日勢力の手におちるという最悪のシナリオさえ想定される。
韓国国会近くで開かれた
朴槿恵大統領の退陣要求集会に
参加した最大野党「共に民主党」の
文在寅前代表=6日(聯合=共同)
 まず、野党のリーダーらがこの間、「革命」を目指すような過激な発言を繰り返していることを紹介する。11月26日の反朴デモで現在支持率が高い次期野党大統領候補の文在寅氏はこう語っていた。「大統領が条件なしの退陣を宣言するときまで国民とともに全国的な退陣運動をしていく。大統領の退陣を超え時代を交代し国の根本を一気に変えなければならない」
 また、有力野党候補の一人である朴元淳ソウル市長は次のような過激発言を行った。「朴大統領一人を下野させるためにロウソクを持って集まったのか。特権腐敗勢力、親日勢力、朴大統領背信勢力(もともと朴大統領支持だったが世論を見て裏切った非朴系与党議員や保守新聞などを指す)、セヌリ党(与党)、政経癒着勢力をいっぺんに清算しようと集まったのではないか。朴大統領が退くだけでは満足できない。新しい世の中、国を作らなければならない」
 なぜここで「親日勢力」が清算の対象になっているのか。それが韓国で過激な左派が力を発揮している秘密なのだ。私は繰り返し主張してきたが、韓国がおかしくなった元凶は、1980年代に急速に拡散した親北民族主義にもとづく自虐史観のためだ。ソウル大学の李栄薫教授はその史観を次のように要約している。「宝石にも似た美しい文化を持つ李氏朝鮮王朝が、強盗である日本の侵入を受けた。それ以後は民族の反逆者である親日派たちが大手を振った時代だった。日本からの解放はもう一つの占領軍であるアメリカが入ってきた事件だった。すると親日派はわれ先に親米事大主義にその姿を変えた。民族の分断も、悲劇の朝鮮戦争も、これら反逆者たちのせいだった。それ以後の李承晩政権も、また1960~70年代の朴正煕政権も彼らが支配した反逆の歴史だった。経済開発を行ったとしても、肝心の心を喪(うしな)ってしまった。歴史においてこのように正義は敗れ去った」
 朴大統領とセヌリ党、そして朝鮮日報などの保守新聞はすべて「親日派が姿を変えた親米事大主義者」だから清算すべきだ、という危険な思考方式がいまも韓国の各界各層に深く浸透している。だからこそ、朴政権は歪(ゆが)んだ歴史観を正すために歴史教科書の国定化復活という“劇薬”を使わざるを得なかったのだ。
 朴大統領がこのタイミングで談話を出したのは、過激な左派が政権を握ることへの危機感が背景にあったと思われる。朴大統領は国民の信頼を失ったことへの深い謝罪を行い、しかし私益を追求したり私心を抱いたりしなかったという弁明をしたあと、「私は私の大統領職の任期短縮を含む進退問題を国会の決定に委ねます。与野党が論議して国政の混乱と空白を最小化し、安定して政権を移譲できる案を示してくださればその日程と法の秩序に従って大統領職から退きます」と語った。(産経ニュース「正論」東京基督教大学教授・西岡力 2016.12.01

市民を焚き付ける大統領候補

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