有馬記念、キタサンブラックは伝説になれるか
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有馬記念、キタサンブラックは伝説になれるか

年末の風物詩、「有馬記念」がやってくる。普段は競馬をやらない人でもこのレースだけは買うという人も多いだろう。奇跡、衝撃、番狂わせ…ファンは数々のドラマに酔いしれた。もちろん、今年の主役は「北島三郎+武豊」という人気者がタッグを組んだキタサンブラックで異論はない。有馬は再び「伝説」を生み出すか。

年末の風物詩、「有馬記念」がやってくる。普段は競馬をやらない人でもこのレースだけは買うという人も多いだろう。奇跡、衝撃、番狂わせ…ファンは数々のドラマに酔いしれた。もちろん、今年の主役は「北島三郎+武豊」という人気者がタッグを組んだキタサンブラックで異論はない。有馬は再び「伝説」を生み出すか。

この馬の強さは説明がつかない

競馬が好きでマジメに損してきた男

「虚しさ」がたまらない有馬記念

 有馬記念というのは、やはり、日本の暮れ、それも冬の寒さの中で予想してこそ意義があるレースで、熱帯でしても意義がないと思う。いくらグローバル化が進んでも、競馬はやはりその土地、地域の気候風土や文化や伝統の中で行われるものだからだ。それに、有馬記念は日本独特のG1である。
 さて、学生時代に競馬を始めてから40数年、有馬記念を買わなかったことは1度もない。ほかのG1レースは忙しかったりして買わなかったこともあるが、有馬記念だけは必ず買った。自分で買えなかったときは、友人、知人に頼んで買ってもらった。昔は電話投票もネット投票もなく、競馬場か場外に行かなければ馬券は買えなかったのに、それでも買い続けた。海外にいたときも、日本の友人に連絡を取って必ず買った。
平成2年12月23日、第35回有馬記念を制したオグリキャップが
ウイニングラン。17万人のファンから大歓声を浴びた
 なぜ、有馬記念だけはなにがあっても買い続けたのだろうか? それは、有馬記念が「今年の総決算」「ドリームレース」とされてきただからだろう。本当にそうかどうかはわからないが、そのように私は思い込まされてきた。有馬記念を的中させることが、ほかのどんなレースを的中させることより意義がある。そう信じさせらてきたのだ。だから、有馬記念が近づくと、胸が高鳴った。どうしても的中させたいと、出走馬の動向をくまなくチェックし、早くから狙いを定めた。
 30代の頃は、競馬マスコミに関わっていたこともあったから、実際に取材もしたし、関係者の話を聞き回ったこともある。そうして、当日となれば、有馬記念のこと以外には頭が回らなくなった。暮れで忙しいというのに、ほかの取材をしていても、記事を書いていても、有馬記念のことが頭から離れなかった。
 これは、もう中毒と言っていい。だから、有馬記念が終わって、とくに馬券を外したあとは、寒風が身にしみた。その「虚しさ」がたまらなかった。
 これまで有馬では、さまざまなドラマが起こった。古くは、ニットウチドリ、ストロングエイトの行ったきりの決着。終わったはずのオグリキャップのラストラン勝ち、トウカイテイオーの1年ぶりの復活、あっと驚いたダイユウサクの強襲など、思い出せばきりがない。そのほとんどで、私は負け続け、言い難い「虚しさ」を味わった。この経験から私は、有馬記念がなにか特別のレース、ほかのレースとはまったく違うレースと、ますます思うようになった。
 だから、今年もまたドラマを期待している自分がいる。なにか予想外のことが起こることを、心のどこかで期待している。勝ったことより、負けたことのほうが多いのだから、これは当然だ。このような私の期待を裏切って、じつは、最強馬が最強馬らしく勝つことのほうが多いのが有馬記念である。(ジャーナリスト・山田順「A ROAD TO HEAVEN」2015.12.27

「眼力」がある?

有馬記念「世紀の一戦」

 作家の高橋源一郎さんと初めて飲んだとき、これまで見たなかで一番の名レースはという話になって、お互いにメモに思うレースを書き、同時に見せたら、まったく同じレースだった。「昭和52年 有馬記念」。やっぱりそうですよねえと笑い合ったのを覚えている。
 これがそのときのメンバーである。天候は晴れ。舞台は中山の芝良2500メートル。8頭立て。

 馬番 馬名       騎 手
◯(1)番トウショウボーイ 56武 邦彦
 (2)番トウフクセダン  56宮田 仁
◎(3)番テンポイント   56鹿戸 明
 (4)番シンストーム   55横山富雄
△(5)番プレストウコウ  54郷原洋行
▲(6)番グリーングラス  56嶋田 功
 (7)番スピリットスワプス56中野栄治
 (8)番メグロモガミ   54東 信二

昭和52年12月18日、第22回有馬記念はマッチレースの末、
テンポイント(右、3番)がトウショウボーイ(中央、1番)を下す
 人気はテンポイント(単勝支持率37.9%)と、トウショウボーイ(同33.7%)が分け合うかたち。以下、大きく離れてグリーングラス、プレストウコウだった。
 スタートは驚きだった。誰もが、逃げるのは逃げ馬スピリットスワプス、これを追って人気の両馬と考えていたのに、ゲートが開くや、いきなりトウショウボーイ先頭、2番手テンポイント、この両馬が他馬を後方に押しやって、競り合いを始めたのである。これはマッチレースをやるつもりなんだと、瞬時に誰もが分かった。背筋がゾクゾクっとした。どっちが強いか、ここで決着をつけようじゃないかという勝負師魂のぶつかり合い。結局両馬はゴールまで先頭を争ってマッチレースを敢行し、1着テンポイント、2着トウショウボーイ(3/4馬身差)でゴール。JRA60周年を記念した月刊誌『優駿』の「永遠に語り継ぎたい名勝負」で、堂々の1位になったのもこのレースだった。
 秋2連勝中のテンポイントに、一騎打ちを仕掛けたトウショウボーイ(前走天皇賞7着)にまたがっていたのが、勝負師武邦彦。8月12日の訃報に接し、天下の名勝負をしてみせた手腕にあらためて敬意と、そして心からの弔意を捧げたく思う。(競馬コラムニスト・井崎脩五郎、産経WEST 2016.08.17

今年は波乱?それとも…

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  • モーリス

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