「ガキ大将」はどこへ消えた?
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「ガキ大将」はどこへ消えた?

もう何年も前の話で恐縮だが、「ノッポさん」の愛称で知られる俳優、高見のっぽさんが、朝日新聞の「いじめている君へ」という特集記事の中で「ガキ大将は、友だちにたいする優しさを、どこかに持っていました」と意見を寄せていた。いま再び社会問題化したいじめ。昔のガキ大将はどこへ消えたのか。

もう何年も前の話で恐縮だが、「ノッポさん」の愛称で知られる俳優、高見のっぽさんが、朝日新聞の「いじめている君へ」という特集記事の中で「ガキ大将は、友だちにたいする優しさを、どこかに持っていました」と意見を寄せていた。いま再び社会問題化したいじめ。昔のガキ大将はどこへ消えたのか。

ガキ大将は暗黙のルールを知っていた

今も昔も過酷な学校生活

物事にはウラがある

「ガキ大将」の存在はヒントになる

いじめを受けていた男子生徒が
平成27年夏に書いた手記
 「いままでなんかいも死のうとおもった。でも、しんさいでいっぱい死んだからぼくはいきるときめた」。昨年11月に公表された中学1年の男子生徒の手記に衝撃を受けた人は多いのではないだろうか。
 男子生徒は小学2年のとき、東京電力福島第1原発事故で福島県から自主避難した横浜市で転入後、名前に「菌」をつけて呼ばれるなどのいじめを受けた。小5になってからは、加害児童から原発事故の賠償金を理由に、総額150万円も脅し取られたとされている。
 学校と市教育委員会はこのとき生徒側から相談を受けて事実を把握していたにもかかわらず、放置していたことが分かり、「学校側が1年半以上もいじめを放置したのはひどい」「男子生徒の手記を読んで悲しくなった」などと市教委には抗議の電話も殺到した。
 横浜市で表面化し、全国的な反響を呼んだ「原発避難いじめ」。各地では子供たちだけでなく、教師によるいじめも発覚した。昨年12月には新潟市に自主避難している小4の男子児童が担任教諭から「菌」を付けて呼ばれていたことが分かった。他の児童からのいじめを相談した直後から呼ばれるようになった。ショックを受けた児童は欠席が続いているという。他にも、東京都千代田区や川崎市でも同級生に菓子代1万円分をおごったり、「近づくな」と言われて避けられたりする事案も発覚するなど、原発避難いじめの実態は次々と明らかになっている。
 転校生がいじめや仲間外れの対象になりやすいというのは、今に始まったわけではない。学校生活では昔からよくあった話である。でもそんなとき、普段から威張っているガキ大将のような存在が彼らにそっと手を差し伸べる。そんな経験や体験談を耳にしたことぐらいは誰しもあるのではないだろうか。今や「ガキ大将」という呼び名すら死語になりつつあるが、実は再び社会問題化した教育現場のいじめを考える上で、このガキ大将の存在が「解決」のヒントになるのではないか。そういう思いで本日のテーマをお届けしたい。(iRONNA編集部)

大人の質が悪すぎる

「正義派」が消えた校内

事なかれ主義から脱せよ

犯罪化する現代型のいじめ

 いじめ、体罰、自殺に関連した出来事が、次々報道されています。いじめは、被害者に大きな心の傷を残し、体罰は違法であり、自殺は、止められる死であり、止めるべき死です。
(左から)ドラえもん、しずか、
のび太、ジャイアン、スネ夫
 昔のいじめは、ジャイアンがのび太をいじめるようなスタイルです。スネ夫のような取り巻きもいますが、守ってくれるしずかちゃんもいるし、正義の味方の出木杉(できすぎ)くんもいます。このようないじめであれば、のび太は、「ドラえもん~、ジャイアンをやっつけてくれよぉ」となります。ところが、現代型のいじめは、クラス全体で、一人の子を長期的にいじめます。出木杉くんのような優等生タイプも、いじめのターゲットになり得ますから、正義の味方は出にくくなります。子どもは、クラス中からいじめられると、世界中からいじめられていると感じます。こうなってしまうと、いじめ被害者は、いじめっ子をやっつける発想ではなく、自分自身がダメな人間だと感じてしまうでしょう。
 最初は、「いやがらせ」のレベルだったことが、本格的な「いじめ」に進んでいます。さらに放置されれば、恐喝や傷害とも呼べるような犯罪的な「いじめ非行」へと進んでいきます。いじめは、いじめっ子の心理的問題から発生しやすくなりますが、掃除をやらせたり、金銭を得られたりするようになると、心理的満足感に加えて実際上の利得を得られるようになり、いじめがさらに深刻化、犯罪化していくでしょう。佐賀県の中学1年の男子生徒が、昨年4~10月の約半年間にわたって、同学年の男子生徒少なくとも13人から暴行されたり、総額約70万円を脅し取られたりするいじめ(犯罪被害)を受けていたとの報道もありました。
 いじめたい心、体罰を加えたい気持ちになっただけでは、継続的ないじめや体罰は起こりません。いじめたい、体罰をしたいと思った人が、いじめ許容環境、体罰許容環境に置かれたとき、行動が生まれます。クラス中からいじめられていると感じているときですら、実際は違うでしょう。いじめっ子(加害者)がいて、はやし立てる取り巻き(観衆)がいて、そして見て見ぬふりをする人々(傍観者)がいます。
 悪いのは、もちろん加害者ですが、実は「傍観者の存在」が加害者の行動を後押しします。たとえば、私がゴミを室内に捨てたとします。正義の味方が直接注意しなくても、みんなが非難の目で見れば、私はそれ以上ゴミを散らかさないでしょう。ところが、みんなが見て見ぬふりをすれば、私はまたゴミを捨てます。すると、一緒になって無造作にゴミを捨てる人々が表れます。しだいに部屋中がゴミだらけとなり、そうなってしまうと、正しくゴミ箱にゴミを捨てる人の方が、気まずく感じるほどになるでしょう。(新潟青陵大学大学院教授・碓井真史「Yahoo!ニュース個人」2013.03.22 一部抜粋)

進む残虐化と陰湿化

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