ついに始まった人口減少クライシス
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ついに始まった人口減少クライシス

96万2607人。この数字は、過去5年間で減少した日本の総人口である。かたや、昨年生まれた子供の数は、1899年の統計開始以来初めて100万人の大台を割った。2つの数字は、日本が本格的な人口減少時代に突入したことを意味する。私たちは未来を揺るがすこの危機とどう向き合えばいいのか。

96万2607人。この数字は、過去5年間で減少した日本の総人口である。かたや、昨年生まれた子供の数は、1899年の統計開始以来初めて100万人の大台を割った。2つの数字は、日本が本格的な人口減少時代に突入したことを意味する。私たちは未来を揺るがすこの危機とどう向き合えばいいのか。

徹底的な悲観論で説く

地域医療の崩壊はここまで来た

失われる「一生涯一企業」

見習うべきはフランスの対策

 日本は合計特殊出生率が1.4。このため、人口減少と少子高齢化が急速に進んでいる。同じ先進国でもフランスは同1.9と、日本よりぐんと高い。この差はどこから来るのか。内閣府経済社会研究所の報告によると、まず、家族手当が手厚い。第2子以降に所得制限なしで20歳になる直前まで家族手当を給付する。また、子どもが3歳になるまで育児休業または労働時間短縮が認められ、第2子以降の育児休業手当は3歳まで受給可能だ。さらに、保育ママ、ベビーシッターの利用に関する補助金も利用でき、多様な保育サービスがあるという。
 このほか、子供を持つ家庭の所得税制も手厚い。35時間労働制で男女とも労働時間も短いから夫婦共稼ぎでも、子供を育てる時間的余裕がある。同棲による婚外子に対しても同様の手当てなどがあって、出産を後押ししている。日本だと、母親が出産や育児で仕事を続けられなくなることが未だに多い。子育て期に収入がなくなり、好きな仕事も諦めなくてはならない。
昭和47年12月に撮影された高島平団地。家族連れなどでにぎわっていた
昭和47年12月に撮影された東京・
高島平団地。家族連れなどでにぎわっ
ていた
 子供手当ての充実策については、このブログでも書いたことがあるが、フランス並みに充実させれば、出生率が高まるのは必定。逆に言うと、先進国ではフランス並みにやらないと、出生率は上がらないということだ。私は現在1億2800万人程度の日本の人口が1億人ぐらいにまで下がってもいいと思っている。世界の人口もそれと同等程度、つまり今より2割程度減るくらいが地球環境を維持するのに望ましいと思っている。
 だが、急速な人口減少はいただけない。高齢者や子供を支える働き手の負担が重過ぎて社会を維持するのが困難になるからだ。出生率を2以上にして人口を増やさなくてもいいが、フランス並みに1.9程度まで回復させ、ごくゆっくりと西暦2200年ぐらいに人口が1億人に減る程度のシナリオにしてもらいたい。それには手厚い子育て政策が不可欠で、その財源の1つとしては高齢者の社会保障政策を今よりも抑制することが肝心だろう。高齢者の支持を得ようと、老人優遇策ばかりに注力する政治はやめるべきだ。
 病院が高齢者のサロンのようになる医療制度を改め、高額の栄養剤や医薬品によって植物状態の寝たきり老人をいたずらに延命させるのを中止すべきである。年金や生活保護も今よりも少しずつ減らして、子育て充実の資金源をふやす政策に切り替えるべきだろう。一前期高齢者として、少しぐらいの社会保障の削減なら受け入れる気持ちを持ちたい、と思っている。(井本省吾「鎌倉橋残日録」2014.11.02

失業より労働力不足

日本人は思い違いをしている

人手不足が会社と社会を変える

 人手不足の時代である。単に短期的に求人が売り手市場になっているだけではない。人口が減っていく。地域や業種によっては、すでに深刻な問題となっている。そういえば、9月25日に放送されたNHKスペシャル「縮小ニッポンの衝撃」によると島根県の人口は大正時代を下回ったのだそうだ。大学教員をしているが「2018年問題」も、目の前に迫ってきた。2018年から18歳人口が急激に減り、2023年まで減り続ける。人口減少社会を私達は生きている。
 少子化対策、多様な人の活躍、AIやロボットを活用などが叫ばれる今日このごろ。この局面では、可能な限りたくさんのアイデアを出すことが必要だ。だが、ちょっとひいた視点、さめた見方もオプションとして残しておきたい。人手不足が社会を変えるという見方もあるのではないか。
人口減時代に突入している日本社会=2016年2月16日、東京都渋谷区
人口減時代に突入している日本社会
=2016年2月、東京都渋谷区
 以前「ブラック企業」「ブラックバイト」と叩かれた企業のホワイト企業化が話題になったりする。もちろん、イメージ低下、業績の悪化や、採用の苦戦などの深刻な問題が起こり、対策を行うことが合理的になったからという理由であり、これもまた現場主導ではなくトップ主導だったりもするのだけれども。それだけでなく、人手不足の時代においては、職場を魅力的なものにしなければ人材を獲得できないということが、今後の中長期的な動きなのではないかと私は解釈している。
 「働き方改革」なるものも、何か新しいことを始めるだけでなく、「いかに人口減少を受け入れるか」「いかに一生懸命働かないか」と一見すると意識が低く見える、身も蓋もないような視点が必要なのではないか。人手不足社会によって、人が人に優しくなること、「機械」とより健全なパートナーシップを構築することが促される可能性だってある。
 街でAmazon Prime Now号を見かけて、切なくなった。本当に24時間営業は必要なのか、夜中に飲食店が空いていることは良いことなのか、いつ届いても構わない商品を即日配達する必要はあるのか、わざわざ夜中にチャットする必要があるのか、などなど。人手不足時代の生活を問い直す42歳の朝。(常見陽平「陽平ドットコム~試みの水平線~」2016.10.08

チャンスでもある人口減少社会

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