「24時間仕事バカ」のどこが悪い
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「24時間仕事バカ」のどこが悪い

「好きで仕事をやっている人は仕事と遊びの境目なんてない」。長時間労働などで労働基準監督署の是正勧告を受けたエイベックス・グループ・ホールディングス社長、松浦勝人氏のブログが物議を醸した。とかく働きすぎが叩かれる昨今。「仕事バカ」はそんなに悪いのか?

「好きで仕事をやっている人は仕事と遊びの境目なんてない」。長時間労働などで労働基準監督署の是正勧告を受けたエイベックス・グループ・ホールディングス社長、松浦勝人氏のブログが物議を醸した。とかく働きすぎが叩かれる昨今。「仕事バカ」はそんなに悪いのか?

高須院長に聞いてみた

まずやるべきは謝れ

労働専門の弁護士が徹底反論

労基法は時代に合わない!

 「時代に合わない労基法なんて早く改正してほしい」。社員に長時間労働をさせたなどとして東京・三田労働基準監督署から昨年12月9日付で是正勧告を受けたエイベックスの松浦勝人社長が同月22日のブログで労働基準法批判を展開した。
 松浦氏は「それぞれの業界にはそれぞれ特殊な事情がある」とした上で、「好きで仕事をやっている人に対しての労働時間だけの抑制は絶対に望まない。好きで仕事をやっている人は仕事と遊びの境目なんてない。僕らの業界はそういう人の『夢中』から世の中を感動させるものが生まれる。それを否定して欲しくない」と主張している。
ロックバンドGLAYのボーカル、TERU氏のツイッターより
ロックバンドGLAYのボーカル、TERU氏のツイッターより
 女性新入社員が過労自殺した電通をはじめ、三菱電機、関西電力といった大企業の違法残業が相次いで明るみになり、社会問題化する中で、松浦氏の主張はネットを中心に大きな注目を集めた。「人をタダ働きさせている奴に経営者の資格はない」といった批判のほか、人気ロックバンドGLAYのボーカル、TERU氏は「仕事の内容によって適応する制度になれば良いんですが、そうなると線引きが難しい。今は大手企業が槍玉にあげられてますが、僕らの会社も労働基準法のまま仕事をするとなるとコンサートなんてできるはずもなく…。難しい問題ですね」と同調するなど賛否が分かれた。
 また、松浦氏は「社員が希望する公正な評価制度や働き方改革」を行うと発表しており、同月28日のブログでは下記のように綴っている。
 「日本では労働基準法に守られていて、簡単に解雇することはできないけど、海外の企業だったらとっくにクビになってもおかしくない人が紛れこんでいる。だから、給与体系を大きく変えようと思っている。パフォーマンスの悪い社員は、どんどん降格させるし、給与も法で定められた範囲でガンガン下げられるようにする。一方で、実績をだした社員の給与はどんどん上げていけるようにする」
 今回の騒動とともに改革の内容を詳しく聞くため松浦氏に取材を申し入れたが、エイベックスの広報担当者は「是正勧告を受けた直後のためしばらくは取材を受ける状況にない」としており、叶わなかった。
 働き方改革を看板に掲げる安倍首相は長時間労働の是正に向けて「残業時間上限法案」の早期国会提出を目指している。上限を月平均で60時間とし、繁忙期は最大100時間とする方向で検討しているが、上限の100時間について労働組合が反発しているほか、対象となる職種の検討など課題も多い。立場の違う「トップ」と労働者の壁は高いが、互いを理解しWin-Winの関係を築くことは果たして可能なのだろうか。(iRONNA編集部)

会社員100人に聞いた

インセンティブ次第で価値が変わる

懐疑的だった「一律規制」

 10月に電通で過労死の労災認定がなされて、その後は厚労省による強制捜査という異例の事態になった。自分も新卒から18年間広告会社で働いていたし、現在でもビジネス上や私的な関係もある。またキャリアに関わる仕事をしているだけに、いろいろと感じることがあったのだ。
 まず、いろいろと議論になった「長時間労働“だけ”が原因なのか」ということについて、改めて整理しておきたい。こうした不幸な事件が起きると、超過勤務の量が問題になるけれど、それを制限すればいいのか?という疑問は耳にした。ただし、この疑問にしても人によってニュアンスが異なる。「時間だけ制限しても、いわゆる“サービス残業”になってるでしょ」という声。これは、一般的なサラリーマンの感覚のようだ。また「そもそも長時間労働だけが、原因なのか?」という疑問もある。これは、その通りで、たしかに労働時間が短くても追い詰められることもある。
 ただし、広告業界にいた人などは、ここから別のロジックを語ることがある。「長時間労働でも平気な人もいるし、一律の時間制限や消灯などは無意味じゃないか」という意見だ。たしかに、「平気な人」もいる。ただし、いろいろな声を読んでみたが、こういう意見の人自身が「平気な人」なのだ。ちなみに、僕は長時間労働が「平気な人」ではない。それが社内転職した事情の一つであることはこちらに書いて、いろいろな人から「わかります」という声をもらった。
 当たり前のことを書くと、長時間労働に対する耐性は人によって異なる。これが個人事業主なら、好きなように働ければいいだろう。ところが広告を含めたメディア産業は、「この業界は忙しいぞ」ということを、先輩たちがハッキリ言うし、それに対して「覚悟してます」という学生が飛び込んできたのだ。私的な会話だけではない。会社案内のバックナンバーを見れば「社員の一日」なども、「多忙だけど充実」を謳っている。
 だから「一律規制」については、懐疑的な意見もある。そして、かつての在職者の声を聞くと、「大変だけど、それだけのやりがいあったしな」という人もいて、それはどちらかというと「寂しさ」に近いものもあるだろう。
 僕も、一律規制には懐疑的だったのだが、こうした議論を聴いているうちに考えが変わった。総時間規制は必要だと思う。理由は、幾つかある。まず、長時間労働「だけ」がこうした労災案件の原因ではないにせよ、多くのケースを分析すれば長時間労働と一定の関係が認められるからだ。気になったのは「自殺の原因」の議論をする人が多かったことだけど、それ以外にも山ほどの「適応障害」があって、それはもちろん過重労働と深く関係する。
 また、長時間労働が平気な人の基準を認めたら、それを拒む人の声が届くのかが疑問だ。「時間的に頑張る人」が結果的に評価されているとすれば、過重労働は悪者になりにくい。そうなると、時間を目安にすることはベストではなくてもやった方がいいだろう。そして、かつて「長時間でも大丈夫だった」人は実は特殊な条件で働いていたのではないだろうか。きわめて同質性が強く、過酷な努力に対しも一定の成果や報酬が期待できる――そういう時代を生きた人が「時には頑張ることも必要なはずだ」と言っているように感じるのだ。ただし、それは現在において通用しないと思う。(山本直人公式ブログ 2016.12.21

働き過ぎの是正につながるか

電通は今こそ「鬼十則」精神で

全館消灯した電通本社ビル=2016年12月1日夜
 高橋まつりさんの自殺で、電通が集中砲火を浴びている。確かにまつりさんは気の毒だ。母子家庭で育ったが、明るく、活発な女の子で、母を楽させる為に仕事についたという。親孝行な子だったのだ。お母さんが手記で、知らせを受け、病院に駆けつける時のきもちを綴っていたが、涙無くしては読めない。
 電通が仕事の仕方を見直すのはいい。残業を減らすのも当然だろう。しかし、社長が辞める必要があるのか。電通という会社、これまで批判されたことがほとんどなかったから、過剰に反応したとしか思えない。
 吉田秀雄4代目社長によって作られた「電通鬼十則」が集中砲火を浴びて、電通が手帳に載せるのをやめるというのも納得いかない。あれはビジネスマンにとって実に有益な心構えを説いた十則で、かってぼくは手帳に貼っていたくらいだ。
 「鬼十則」でもっぱらメディアが取り上げ、非難されたのは5の「取り組んだら放すな。殺されても放すな。目的完遂までは……」だった。しかしこの「鬼十則」、読んでみれば職業人として当然のことばかりだ。例えば………。
1、「仕事は自ら作るべきで、与えられるものではない」
2、「仕事とは先手先手と働きかけていくことで、受身でやるものではない。
3、「大きな仕事と取り組め、小さな仕事は、おのれを小さくする」
4、「難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げる時に進歩がある」
 以下略すが、これが問題だと思う人がいるだろうか。そんな人がいたら、真面目に仕事に取り組んでるとは思えない。電通はなぜこんな素晴らしい社訓を取り下げるのか。逆に今こそ、すべての電通マンがこの精神で仕事に取り組むべきだろう。それなくして電通の復活はない。
 今回の事件、主たる原因は上司にある。新人を厳しく鍛えるのはいいが、そこには手厚いフォローが必要だ。それを怠ったばかりか、パワハラまがいの行為を繰り返していたことに遠因がある。(花田紀凱「Yahoo!ニュース個人」2017.01.04
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