ここが変だよ、「クールジャパン」輸出
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ここが変だよ、「クールジャパン」輸出

「クールジャパン」という言葉が使われはじめて久しいが、本当に世界各国に日本の“カッコいい”は浸透しているのだろうか。日本の“クール”な農産物やコンテンツはどうすれば売れるのか考えてみた。

「クールジャパン」という言葉が使われはじめて久しいが、本当に世界各国に日本の“カッコいい”は浸透しているのだろうか。日本の“クール”な農産物やコンテンツはどうすれば売れるのか考えてみた。

「あとは、よろしく」では上手くいかない

 一人当たりGDPが日本を抜いてアジアで1位のシンガポールや、富裕層の多い香港は、日本の農産物の輸出先として大きなターゲットとなっている。例えば、コメの輸出では、1位香港、2位がシンガポール(2015年)である。ただし、金額ベースで見ると約22億円、数量でも7640トンで、MA(ミニマムアクセス=GATT・ウルグアイラウンドで決められたコメの最低輸入量)米としてアメリカから毎年36万トンを輸入していることに比べても、いかに日本のコメ輸出の規模が小さいか分かるだろう。
 実際、シンガポールや香港では、日本のコメ同士での食い合いが起きているそうだ。「右にならえ」で皆が同じことをする日本人らしい話だ。しかも、冒頭のエピソードのように、海外の展示会に参加しても、商談をまとめるよりも遊ぶほうが主目的なのか? と思わされるようなエピソードまで聞こえてくる。
 輸出において重要なことは、商社やコンサルタントに丸投げするのではなく、経営者自らが自分の足で現地に出かけ、ニーズをキャッチし、その上で商品の輸出に踏み切るということだ。中間業者に商品を渡しておいて、「あとは、よろしく売っておいて」では、上手くいかない。これまで取材して輸出が上手く行っている企業というのは、経営者が自分で足を動かしていた。
 一方で、コンテンツの輸出という点では、韓国の戦略というのも参考になる。3年ほど前になるが、ミャンマーを訪問したときに、街場の食堂にいると、客も従業員もテレビに釘付けになっていた。何をやっているのかと言えば、「韓流ドラマ」である。何のアニメだったか、忘れてしまったが、日本のアニメなのに音声は中国語というものもあって驚かされた。
 ドラマの効果というのは、侮れない。というのも、中国の広州で取材したときに、「韓流ドラマで映る韓国車を欲しがったり、俳優の髪型やファッションを真似したりする若者が多い」と聞いた。さらに、日本のテレビ局の関係者によれば、韓流アイドルのコンサート、ドラマの開始、そして現代自動車の新車発表を同時期にぶつけることで、現地に「ミニ韓国ブーム」を作るといった戦略までとっているという。
 これは日本勢にも参考になる話であって、コンテンツと物品が共闘して、海外市場を開拓するという試みがもっとあってもいいのかもしれない。市場規模が縮小していくなか、より付加価値の高い物の消費を増やしていくか、新たな販路を開拓していくしかない。そうしたなかで、“クールジャパン”が世界市場を席巻する日を心待ちにしている。(WEDGE Infinity編集長 友森敏雄)

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高級炊飯器に学ぶマーケティング

 ニーズが多様化し、市場が細分化されてくると、できるだけ付加価値の高いカテゴリーでポジション取りを目指すというのもマーケティングの王道のひとつです。しかし、それを実現するためには、開発の根っこの部分としてのコンセプトづくりから発想の転換が必要になってきます。ネットという「買い場」が広がったことも、エッジの立った製品を成り立つ背景になっています。「この指止まれ」型のマーケティングといえるのかもしれません。
 その代表例のひとつが、「世界一、素材本来の味を引き出す鍋」としてメイドジャパンの高級鋳物ホーロー鍋で話題になったバーミキュラです。数万円と高額にもかかわらず人気の高い鍋です。今は簡単に手に入りますが、少し前までは予約して1年以上待たなければなりませんでした。そして、物によっては2,000円程度でも買えるオーブントースターで、その10倍の価格、25,000円で登場したバルミューダのスチームオーブントースターも同じで、大ヒットししています。
2015年6月に発売されたバルミューダの「バルミューダ ザ・トースター」=東京都新宿区
2015年6月に発売されたバルミュ
ーダの「バルミューダ ザ・トースタ
ー」=東京都新宿区
 「バーミキュラ」と「バルミューダ」。マーケティング・スタイルも名前も似ています。いずれも、会社そのもの、開発の姿勢、そして製品にも物語があり、使う人たちの心にあたたかいサムシングを伝えてくれています。とくにバルミューダのトースターは、パリッと美味しく焼けるというだけでなく、焼きあがるまでの体験を膨らませてくれる仕掛けがあり、それが価値をさらに高めています。
 「売りたいのはトースターではなく、美味しいトーストを食べるという体験」、「消費者はモノにカネを払うのではなく、体験にカネを払う」という発想です。それがネットで伝わり広がっていくことにつながってきます。その両社が、家電のなかの激戦区の炊飯器にチャレンジしはじめました。日本は、炊飯器のレベルが高く、中国や韓国の人たちからも高い評価を受けていることは言うまでもないのですが、そこに体験価値、台所から食卓を豊かにするという「コトの価値」をどう実現するのかです。
 鋳物ホーロー鍋の炊飯器「バーミキュラ ライスポット」は価格が79,800円。先行予約開始から約1カ月半で、受注数がはや15,000台を突破したそうです。BALMUDAのキッチン家電第3弾「BALMUDA The Gohan」は41,500円(税別)で2月下旬からの出荷です。
 どちらにも保温機能がありませんが、それは、狙うライフスタイルを絞っていることの証でしょう。物語で競い合うこの2つの炊飯器ですが、規模を狙わず、ターゲットを絞ることで、尖った価値の実現を追求する開発やマーケティングが新鮮です。(大西宏のマーケティング・エッセンス 2017.1.17

文化伝播のメカニズム

「匠の技」こそブランド力

すべては売り方次第

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