安倍晋三「独裁亡国論」を読む
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安倍晋三「独裁亡国論」を読む

前回、iRONNAがお届けした「こんなにもいた世界の独裁者大図鑑」では、各国に君臨する強権的な指導者たちを紹介した。実はわが国でも、高い支持率を背景に長期政権を目指す安倍首相を「独裁者」と揶揄する声が野党やリベラル陣営から聞こえてくる。彼らが言う「独裁亡国論」の信憑性やいかに。

前回、iRONNAがお届けした「こんなにもいた世界の独裁者大図鑑」では、各国に君臨する強権的な指導者たちを紹介した。実はわが国でも、高い支持率を背景に長期政権を目指す安倍首相を「独裁者」と揶揄する声が野党やリベラル陣営から聞こえてくる。彼らが言う「独裁亡国論」の信憑性やいかに。

憲法違反を堂々とやる危うさ

選択肢のない日本の政治

5年前とは変わってしまった

自衛隊称える「拍手」の何が悪い

 女史 あのさあ、国会で安倍晋三首相の所信表明演説のとき、自民党議員が拍手したことを朝日新聞や野党が批判していたよね。でも、民主党政権のときは鳩山由紀夫首相の演説終了間際に民主党議員が拍手して、朝日新聞も批判どころか、むしろ好意的に書いてたじゃん。ダブルスタンダードだよね。 
 先生 あいつら何を批判したいんだ? 拍手は領土、領海、領空を守る海保と警察、自衛隊に「敬意を」と安倍首相が呼びかけたんだろ。朝日は9月28日付の天声人語で「多くの職業のなか、なぜこの人たちだけをたたえるのか」と書いたが、実際、がんばっているのは海保と警察、自衛隊だぜ。
2016年9月26日、衆院本会議で安倍首相(右)の所信表明演説中に
起立して拍手する自民党議員
 教授 命を危険にさらして、国に尽くす人を讃えるのは当たり前のことだと思いますけどね。
 先生 しかも、軍人は海外では名誉ある仕事なんだぞ。英国王室の王子も軍人になるだろ。よく「士農工商」なんていうけど、昔なら自衛官は「士」だよ。でも、この頃、日本で豊かな暮らしをし、威張っているのは経済人、特に外資の人ばかりで、現場の自衛官や警察官、海上保安官は辛い思いをしても安月給で働いている。今の日本は「商工農士」だよ。(笑)
 女史 批判した人たちは安倍政権が全体主義的だといいたいんでしょ。インターネット上の批判は、もともとナチスのヒトラーを思い浮かべるとか、そういう発想だったけど、さすがに、朝日がそう書いたら、ヤクザのインネンになっちゃうから、わけの分からない書き方をしたんじゃない。
 先生 ま、自民党も拍手するだけじゃなく、国会議員なんだから領海・領空を守るための法整備、もっといえば憲法改正発議をしっかりやってほしいけどね。しかし、10月2日放送のTBS系サンデーモーニングもひどくて、自衛隊を賞賛することに疑問を投げかけ、青木理が「一歩コントロールを政治が誤ると、非常に危険な組織」だといって、「政治の劣化」「気持ちが悪い」と批判していたな。番組は最後に障害者や高齢者への事件などで「また弱者が標的に」というテーマで議論したんだが、東大教授の西崎文子が「歴史の中で繰り返されている。19世紀末ぐらいに社会進化主義があって、適者生存の思想が広まって…」と言うと、青木は「ヘイトスピーチもそう」、ヒゲの岸井成格は「不機嫌の時代、不寛容の時代になった」と言っていた。しかし、本当にそんな時代になったかね。
 編集者 障害者や高齢者を傷つけるのと、ヘイトスピーチは関係ありますかね。共通点はどっちもダメということだけでしょう。そこに「適者生存」「不寛容の時代」なんて大袈裟じゃないですか。
 先生 「弱者」「弱者」というが、適者生存でいうと、いま人間に「弱者」と見える人だって、実は「強者」かもしれない。
 編集者 どういう意味ですか?
 先生 適者生存は種の単位で起こることで、恐竜のような時代・環境の変化に適応できない種が滅びていくことだよな。種が生存するには、それぞれの種の中には多様性がないといけない。時代・環境が変わったら、例えば人類のように弱者とみられていた者が強者となって、それが種をつなぐのかもしれないからだ。しかしそれは今、分からないんだ。そういう意味で真の「弱者」「強者」は神にしか分からないのに、それを「弱者」と決めつけ、「適者生存」をいうのは人間の傲慢だろ。それはともかく、いまだに日本では相変わらず軍事アレルギーが強すぎる。9月28日のNHKクローズアップ現代は「“軍事”と大学」について取り上げて、日本の科学者達が基本的に軍事目的の研究は行わないという現状の是非を論じていたんだが、基本的に軍事はダメだという視点だった。番組で、ノーベル物理学賞の益川敏英が批判的に説教していたし。(産経ニュース「メディア裏通信簿」2016.11.12

本当は誰一人信じていないのか

議会制民主主義は死んだ

ブレーキが効かない安倍政権

 日本では通常国会が始まり、アメリカではトランプ新大統領の就任式が行われました。日米両国の議会では、いずれも与党が多数になっています。まるで、ブレーキなしの暴走車が走り出したようなものです。しかも、前に向かっての暴走というよりも、後ろ向きで逆走を始めようとしているようなものですから大変です。通常国会は6月18日までの150日間の会期です。安倍首相は施政方針演説を行いましたが、民進党への敵意丸出しで、実態と大きく乖離する自画自賛の「ポスト真実」演説でした。
衆院本会議で施政方針演説を
する安倍首相=1月20日午後
 施政方針演説では最初に天皇の退位問題について触れましたが、まだ論点整理も行われていず何も議論されていないうちに、一代限りでの退位を可能とする特別法案の提出を表明しました。一種の世論工作にほかなりません。最も多くの時間を割いたのは外交問題で、内政や経済問題は後回しでした。アメリカでのトランプ新政権の発足によって日米同盟がどうなるか分からないことへの危機感の現れです。
  「働き方改革」の実現や子育て支援の充実を進めていくことも表明しましたが、お題目にとどまらず、どこまで実効性のある対策を立てられるかが問われることになります。一方で長時間労働の是正に言及しながら、他方で「残業代ゼロ法案」を提出したり裁量労働制を拡大したりするという矛盾をどう取り繕うつもりなのでしょうか。
 最後に、今年が日本国憲法施行から70年の節目を迎えることを踏まえ、具体的な憲法改正論議の深化と「新しい国造りへの挑戦」を呼び掛けました。改憲に向けての安倍首相の執念を見せた部分です。しかし、現行憲法はすでに70年にわたって歴史の試練に耐え、その有効性を証明してきました。だからこそ、変わることなく維持されてきたのです。
  「新しい国造りへの挑戦」が「壊憲」によって国の形を変え、特定秘密保護法や安保法、共謀罪などによって自由と民主主義、平和主義を圧殺する「戦争国家」への変貌をもたらすことのないように、しっかりと監視していかなければなりません。再び、戦争の惨禍によって次の世代を苦しめることのないように。
 逆走を始めた暴走車にブレーキをかけてストップさせるのが、これからの課題です。本来であれば議会がそうするべきでしょうが、「安倍一強」の下での「多数専制」によってほとんどブレーキが効かなくなってしまいました。そのブレーキの効き具合を良くするのは市民であり社会運動の力です。都議選や解散・総選挙を展望しながら、通常国会での論戦と力を合わせて安倍政権を追い込むことができるか、市民と野党との共同の真価が試されることになるでしょう。(「五十嵐仁の転成仁語」2017.01.21

世界の最高権力者を超えた?

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