石原慎太郎はなぜ追い詰められたのか
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石原慎太郎はなぜ追い詰められたのか

東京・築地市場の豊洲移転をめぐる小池百合子都知事と石原慎太郎元知事の因縁バトルがヤマ場を迎えた。きょう都議会百条委員会に喚問される石原氏の発言にも注目が集まる。今や向かうところ敵なしの「小池劇場」。とはいえ「モノ言う知事」として存在感をみせた石原氏は、なぜここまで追い詰められたのか。

東京・築地市場の豊洲移転をめぐる小池百合子都知事と石原慎太郎元知事の因縁バトルがヤマ場を迎えた。きょう都議会百条委員会に喚問される石原氏の発言にも注目が集まる。今や向かうところ敵なしの「小池劇場」。とはいえ「モノ言う知事」として存在感をみせた石原氏は、なぜここまで追い詰められたのか。

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 つい「豊洲問題」と言ってしまうが、本当は豊洲市場に問題はない。私は徹底取材したが、安全面はもちろん、石原知事時代の土地購入を含む、移転の経緯と決裁、手続きに瑕疵(かし)はない。調べれば調べるほど、石原氏は遅々としていた案件を前進させた功労者としか思えない。その過程で「不正ないい思いをした者」がいたのなら、都は証拠を添えて刑事告発すればいい。そうであっても、完成した施設を空き家にしておく理由にはならない。
都議会の予算特別委員会で、
質問に答える小池百合子都知事
=3月14日(寺河内美奈撮影)
 一方、小池氏はどうだろう。20年にわたって多くの都職員が尽力し、専門家が知見を寄せ、都議会の承認も得た末に、石原氏が決断(裁可)したプロジェクトを、自らの「感性」で止めた。誤解している人が多いが、この延期は小池氏の選挙公約に明記されていない。重要な「延期」を決める際、議会に諮ることすらしなかった。つまり独断したのだ。小池氏のガバナンスには大いに問題がある。
 石原氏を「無責任」とたたいたメディアは不思議と、この小池氏の独断、独裁性をまったく問題にしない。小池氏は、豊洲市場や石原氏に、重大な問題や疑獄があるかのような風評を立てて追い込む。そして、自らを巨悪と闘うジャンヌ・ダルクのように見せ、メディアがそれをはやし立てる。これが、小池「風評」劇場の正体である。小池氏は、日本の民主主義システムの敵、破壊者になりかけているのではないか。
 小池都政について重大な問題提起をしておく。開会中の都議会では、補正予算として50億円が、市場移転延期に伴う業者への補償金として計上された。市場会計(独立採算事業である市場の勘定)から支出される予定だが、この会計は築地だけでなく、東京の全市場のものだ。当然、他の市場関係者からは不満の声が漏れ始めている。加えて、50億円は暫定で、今後膨らむ恐れも大だ。となれば、血税である一般会計で負担せざるを得なくなる。
 謹んで小池氏に申し上げるが、一刻も早く目を覚ましていただきたい。そして、日ごろ「権力監視が使命」とうそぶくメディアには、あなた方が監視すべき権力は、一老作家が暮らす閑静な住宅街にではなく、都庁の中にあることを思い出してもらいたい。(ジャーナリスト、有本香 ZAKZAK 2017.03.14

私には真っ当に見えた

「科学」を敵にした小池知事の誤り

 豊洲の移転問題について、殆ど興味がなかったのだが、マスコミがこぞって石原慎太郎批判を展開しているので、興味をもって石原慎太郎の記者会見の全文を読んだ。結論から言えば、石原慎太郎を悪魔化しようとしても、それは無理筋だということだ。
 小池都知事は政治家として、なかなか戦略的な人物で、つねに大衆を人気を得ようとして戦略的に振る舞っている。彼女には自身の基盤となる政党の支持がないので、大衆の支持だけが頼りになるのだろう。彼女の一貫した戦略は、大きな敵を作り出し、自分が巨悪、敵と戦う正義の政治家だと演出する戦略だ。古代より「敵」を作って内部を結束させ、支持を得る戦略が存在した。
 マキャヴェリは『君主論』の中で、次のように指摘している。

「賢明な君主は、機会があれば奸策を弄してでも、わざと敵対関係をこしらえ、これを克服することで勢力の拡大をはかる」

記者会見する石原慎太郎
元都知事=3月3日、
日本記者クラブ(古厩正樹撮影)
 古代の君主たちが用いた戦略は、民主主義社会の中で、さらに力を発揮することになった。最も究極的なのはヒトラーで、彼は「ユダヤ人」の脅威を煽り立てて国民を恐怖させ、支配者となった。
 小池都知事は、当初、内田茂氏を「都議会のドン」という「敵」に仕立て上げ、千代田区長選挙で代理戦争を演出し、血祭りにあげた。ここまではうまくいった。勝利を喜ぶと同時に、彼女は勝利に焦ったはずだ。「敵」が消え去れば、巨悪と戦う政治家として演出する戦略が不可能になるからだ。そこで「敵」となる次なる獲物が石原慎太郎だったのだろう。だが、石原慎太郎を「敵」にしようとする方法があまりに露骨で、論理が粗雑に過ぎた。記者会見の全文を読んでみれば、石原慎太郎を「悪魔化」することが非論理の極みであることは明らかだろう。
 豊洲の移転に関して石原慎太郎は言う。

「行政の組織、都庁全体が専門家含め検討し、しかも議会が了としたものを私は裁可せざるを得なかった」

 恐らく、今回の問題に対する最大の答えがここにある。組織で動いてきたこの問題を石原慎太郎個人の罪として追及するのは、論理的に考えれば、無理な話なのだ。石原の説明を「恥さらしの説明」と決めつけ、「日本男児の愛国者を標榜」する石原は責任を取らないのかという挑発的な質問に対しても冷静に答えている。

「あの土地をあのコストで購入したのは、私が決めたわけではありませんよ。そのための審議会が専門家を含めて決めたことですから。私は恥とは思ってませんね。」

 私もこんなことを恥だとは思わない。審議会が専門家を含めて決めたことを首長がひとつずつ拒絶していたら、行政機能は麻痺してしまうだろう。私が最も重要だと感じたのは次の指摘だ。

「風評に負けて豊洲がこのまま放置されるっていうことは、結局科学が風評に負けたということになる。これはまさに国辱だと。日本が世界で恥をかくことになるという忠告をいただきました。」

 これはまさにその通りだ。使いもしない地下水の問題を喚きたてる理屈はまさに非科学的だし、単に「風評」被害をでっち上げているだけの話だ。科学が風評に負けてはならない。
 以前、教えていた福島県出身の学生が、福島ナンバーの車で旅をすると、タイヤをパンクさせられたりすることがあり、本当に嫌な思いをすると話してくれたことがある。「福島から来るな」という意味が込められているのだという。当初、考えすぎではないのかと思っていたのだが、ニュースでも福島県出身の子供が公園で虐められた話等々が報道されているのをみると、本当に「福島県から来るな」「福島県出身者のそばに行くと『被爆』する」などという全く非科学的ないじめが存在していると思わざるを得ない。無知なる風評が科学を無視していじめとなっているのだ。
 科学が風評に負けてはならない。小池都知事の誤りは石原慎太郎を「敵」としようとしたあまり、「科学」を敵にしてしまった点だ。(「岩田温の備忘録」2017.03.05

慎太郎と百合子の「因縁」

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