北朝鮮空爆「Xデー」の裏側を読む
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北朝鮮空爆「Xデー」の裏側を読む

米軍による北朝鮮空爆は有り得るのか。緊迫を増す朝鮮半島情勢。4月15日は故金日成主席の生誕105周年に当たり、6度目となる核実験への懸念も広がる。「ワシントンの戦略的忍耐は終わった」。単独攻撃を示唆したトランプの本気度、そして秒読み段階に入った「Xデー」の裏側を読む。

米軍による北朝鮮空爆は有り得るのか。緊迫を増す朝鮮半島情勢。4月15日は故金日成主席の生誕105周年に当たり、6度目となる核実験への懸念も広がる。「ワシントンの戦略的忍耐は終わった」。単独攻撃を示唆したトランプの本気度、そして秒読み段階に入った「Xデー」の裏側を読む。

北朝鮮を追い詰める「石油禁輸」

対中金融制裁で命運を断つ

金正恩体制はトマホークで崩壊する

弾薬投入能力は3日で2千トン

米朝の開戦危機は最高レベル

 「原子力空母『カール・ビンソン』を中心とする第1空母打撃群が、当初のオーストラリアへの寄港をとりやめ、朝鮮半島に近い、西太平洋に向かって航行している」。米海軍当局が8日、こう突然発表した。弾道ミサイル発射を繰り返し、国連安保理決議を無視して、近く「6回目の核実験」を行う構えを見せる、無法国家・北朝鮮をけん制するためだ。第1空母打撃群とは、カール・ビンソンに最新鋭戦闘機など約90機を搭載し、ミサイル巡洋艦やミサイル駆逐艦、原子力潜水艦などを従えた米海軍最強の攻撃艦隊だ。
2月12日、北朝鮮の新型中距離弾道ミサイル
発射に立ち会い、軍関係者らに囲まれる
金正恩朝鮮労働党委員長(中央)
(朝鮮中央通信=共同)
 旧知の米軍関係者は「北朝鮮が5日にミサイルを発射したとき、レックス・ティラーソン米国務長官は『もうこれ以上、言うことはない』と吐き捨てた。核実験をやれば『米国は先制攻撃する』という死刑宣告だ」といい、続けた。「トランプ氏はすでに、正恩氏の『斬首作戦』(殺害)を含めた計画の最終選定に入った。特殊部隊は正恩氏の居場所、移動式ミサイル発射台の隠し場所など、詳細なデータを作成している。正恩氏の側にいる協力者、スパイ衛星のデータもある。正恩氏は『日米韓を火の海にする』と言うが、火の海は向こうだ」
 いつ、米朝軍事衝突が起きても、おかしくない危険な状況といえる。極秘情報がある。「中国も危ない」というのだ。以下、複数の米軍関係者、米情報当局関係者から得た情報だ。「中国のインターネットで7日午後、『中国人民解放軍旧瀋陽軍区(現北部戦区)の部隊が、北朝鮮との国境、鴨緑江に進軍中』という情報が、映像つきで拡散した。ところが、政府当局は慌てて削除して隠した」
 実は、旧瀋陽軍区は習氏の政敵、江沢民一派の牙城で、管轄域には100万人以上の朝鮮族が居住している。「人民解放軍最強」の部隊で、習氏ですら口出しが難しい。朝鮮人民軍とは「血の盟友」といえ、経済制裁を無視して、生活物資、軍事関連物資を秘密裏に支援している。北朝鮮が危機のとき、駆け付けるのもこの部隊だ。その旧瀋陽軍区の部隊が「北朝鮮と組んで暴発する危険がある」という。
 原因は、米フロリダ州パームビーチで6、7日に開かれた、トランプ氏と習氏による初めての米中首脳会談だ。最大の課題は北朝鮮問題だったが、中国側の成果はゼロ。習氏は北朝鮮の後見国としての毅然とした姿勢をとらなかった。習氏は今秋、中国共産党最高指導部(中央政治局常務委員)の新人事を決める党大会を控えて、権力闘争の中にいる。「米国と決裂すれば責任追及される」とおびえたのか、すべて笑顔で逃げた。自国メディアには北朝鮮問題に触れさせず、ひたすら首脳会談成功と報道させた。極秘情報はこう続く。「トランプ氏は、習氏に対し、北朝鮮への圧力強化と、米軍が先制攻撃する際に黙認することを迫った。習氏は拒否しなかった。さらに夕食会の最後にシリア攻撃を伝え、シリアの極悪非道を訴えると、習氏は反論もせず、『そうした対応は必要だ』といった。米国側も驚いた」
 シリアは、北朝鮮の盟友である。米国のシリアへの攻撃は、北朝鮮に対する警告、脅しだ。中国が、米国の先制攻撃を非難せず、シリアへの攻撃を認めることは、北朝鮮に対する裏切りといえる。習氏の態度に、北朝鮮と旧瀋陽軍区の部隊は「習氏は裏で同盟国を売った。トランプ氏と密約した」と激怒した。進軍情報は習氏に対する脅し、とみられるのだ。朝鮮半島危機が、中国に直撃し、習氏の権力基盤が危うくなっている。私は一連の連載で、米朝軍事衝突のXデーは、韓国で「従北」「反日反米」の次期大統領が誕生する、大統領選(5月9日投開票)前と報告してきた。これは、北朝鮮の核実験次第で確実に早まるだろう。(「スクープ最前線」ジャーナリスト、加賀孝英 ZAKZAK 2017.04.11

カール・ビンソン空母打撃群の実力は


「友好関係構築」の内実

核・安全保障の専門家が探る

変わり始めた北朝鮮「脅威」の質

4月7日、散歩するトランプ米大統領(左)
と中国の習近平国家主席(AP=共同)
 トランプ米政権が行った本格的な軍事行動は、シリアの空軍基地に対するトマホーク巡航ミサイルによる限定的攻撃だった。日本や欧州各国は支持や理解を示したが、中国は微妙な立場に立たされた。国連安保理ではシリアのアサド政権を支持して米欧の制裁案に拒否権を行使してきたが、米中首脳会談の最中のミサイル攻撃だったため、断固反対とはいえなかった。首脳会談のテーマの一つが、中国による北朝鮮への制裁強化だったことから、習近平国家主席は明確な態度を表明するのが困難であった。シリア問題と北朝鮮問題は繋(つな)がっているのである。
 ただし、シリアと北朝鮮の軍事力は基本的に異なる。シリアの軍事力は国内のゲリラ勢力を封じ込める程度で、量・質とも周辺諸国を攻撃できるものではない。他方、北朝鮮は核と弾道ミサイルを持ち、地上部隊の規模も大きく、すでに韓国内に特殊部隊を潜入させている可能性がある。朝鮮戦争を再開するだけの戦力を持っており、戦争が発生した場合の破壊規模は大きく、範囲は朝鮮半島だけにとどまらない。
 現在、米韓両国は合同軍事演習「キー・リゾルブ」と野外機動訓練「フォールイーグル」を行っている。加えて、カール・ビンソン空母打撃群が朝鮮半島周辺に向かっている。マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)は、「脅威を除去するため、あらゆる選択肢を示すよう指示されている」と述べ、北朝鮮に対し、目標を限定した軍事的選択肢もあり得ることを示唆した。米国には情勢を見定めるタイムラインがある。中国は5年に1度行われる共産党大会を秋に控えており、習近平主席はまず国内を固める必要がある。それまでの間、米国は中国が北朝鮮への制裁をどの程度まで行うかを確かめる。また、5月に行われる韓国大統領選挙の結果、新政権が北朝鮮に対し、どのような安全保障政策をとるか見極める必要もある。
 北朝鮮の弾道ミサイル開発は着々と進んでいる。固体ロケット燃料を使い発射準備期間を短縮する一方、コールド・ローンチ技術を完成させ、潜水艦からの水中発射を可能にした。移動式の発射装置を利用して、偵察衛星では識別が難しい複雑な場所から発射できるようになった。また、通常より高く打ち上げて高高度から落下させることで、迎撃を難しくするロフテッド軌道を選択できることも明らかになっている。
 われわれは北朝鮮の戦力を3つの時代に分けて考えなければならない。朝鮮戦争があった金日成時代の46年間は通常戦力だけだったが、金正日時代の17年間は核実験2回、ミサイル発射16発、金正恩時代は現在までに核実験3回、ミサイル発射40発超と、急ピッチで戦力を整備し実戦化している。重要なのは北朝鮮の「脅威の質」が全く異なっていることに対応することである。ある日突然、弾道ミサイルが飛来することがあり得ると考え、備えておくことが肝要なのである。(「正論」帝京大学名誉教授、志方俊之 産経ニュース 2017.04.13

日本人はどう生き抜くべきか

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