ルペン旋風、ポピュリズムを侮るなかれ
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ルペン旋風、ポピュリズムを侮るなかれ

「ポピュリズム」という言葉を耳にして、どんな印象を抱くだろうか。きっと多くの人が愛国主義や排外主義といったマイナスイメージに受け止めるだろう。世界が注目したフランス大統領選。ポピュリストを自認するマリーヌ・ルペン氏の敗北に安堵感が広がった。ポピュリズムは本当に「絶対悪」なのか。

「ポピュリズム」という言葉を耳にして、どんな印象を抱くだろうか。きっと多くの人が愛国主義や排外主義といったマイナスイメージに受け止めるだろう。世界が注目したフランス大統領選。ポピュリストを自認するマリーヌ・ルペン氏の敗北に安堵感が広がった。ポピュリズムは本当に「絶対悪」なのか。

フランスには素地がある

愛国者こそが国を救う

グローバリズムに対する逆流

杉田水脈が現地で見た

 私が現地取材で感じたのは、日本メディアのフランス大統領選の報道が、「フェイク(嘘)ニュース」とまではいかなくても、「少しズレている」ということだ。ルペン氏を、ドナルド・トランプ米大統領と並べて「極右」「ポピュリスト」と表現する報道が多くみられた。だが、マクロン氏の方が、保守から革新まで取り込む選挙戦を展開するなど、ポピュリズム(大衆迎合主義)に支えられていた。
ルペン氏(左)とマクロン氏、
決選投票候補者のポスターが並ぶ(AP)
 マクロン氏の立ち位置を日本で例えると、あえて左右を明確にせず、ワンイシューで人気を集めた小池百合子都知事や、彼女が事実上率いる地域政党「都民ファーストの会」、かつての「大阪維新の会」に近いと思う。
 そういう意味では、「EU(欧州連合)離脱」「反移民」という強硬路線で戦い抜いたルペン氏が決選投票に残ったことの方が、日本の感覚では「あり得ない現象」ではないだろうか。
 ルペン氏が熱烈に支持されるくらい、移民・難民の大量流入でフランスの治安は悪化し、人々の生活が脅かされている。ルペン氏の主張は「愛国」というよりも、「合理的対処」「現実主義」のように感じた。
 日本が、フランスのような状態になったときは手遅れだろう。そうなる前に「移民・難民問題」に真剣に取り組まなければならないと、強い危機感を感じた。
 日本の保守陣営の方から「ルペン氏を『極右』というのはおかしい。『愛国者』ではないか」という意見も聞いた。これは、半分正しく、半分間違っていると思う。取材の感想でいうと、第1回投票に立候補した全員が「愛国者」だった。候補者集会では、どこでも国旗「トリコロール」がはためき、参加者は国歌「ラ・マルセイエーズ」を大合唱していた。候補者全員が「フランスのために!」を何度も連呼していた。
 日本のように、「国旗・国歌」を忌み嫌う政治家や政党が存在するなんて、フランスでは考えられないのではないか。
 決選投票での大逆転は分からない。ただ、フランス国民が強いリーダーを求めるのであれば、マクロン氏よりルペン氏だろう。それは演説を聞けば明確に分かる。マクロン氏とルペン氏、どちらが大統領になっても大変なのは議会との関係だ。マクロン氏の政治団体「前進!(En Marche!)」は政党ではない。ルペン氏の国民戦線も、議会で十分な議席数を獲得していない。大統領と議会とのねじれが出てくることは必至といえる。ここが日本や米国とは違うところだ。(元衆院議員・杉田水脈、夕刊フジ 2017.05.02

「勝利宣言」ブーイングの理由

フランス人はアメリカ人ではない

ヘーゲルを学んだ手強いヤツ

マクロン氏圧勝のワケ

フランス大統領選で当選が決まり、
支持者の前で演説するマクロン氏
=5月7日、パリ(ゲッティ=共同)
 フランス新大統領にエマニュエル・マクロン前経済相が決まった。弱冠39歳。若さがみなぎるし、ルックスもいい。期待が集まっている。極右政党・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン氏が新大統領になったら、フランスのEU離脱も現実的となるし、移民との対立も予想されただけに、マクロン氏の選出にほっとする欧州各国政府や金融市場関係者は少なくない。
 しかしフランス経済は極めて厳しい状況にある。失業率は10%前後、特に若年層の失業率は30%近くになる。労働コストが非常に高く、製造業は落ち込む一方だ。パリの街は華やかなイメージがあるが、実態をみると、街は汚れ、沈滞ムードが漂っている。それでも人はパリに憧れるわけで、それがパリの底力だとも言えなくはないのだが…。
 フランス経済を支えてきたのは、軍需産業と金融業といっていい。フランスは世界第3位の武器供給国であり、最先端の技術を誇る。フランスの軍事兵器を担うだけでなく、アラブ首長国連邦、ブラジル、ギリシャ、インド、パキスタン、台湾、シンガポールといった外国にも輸出をしている。また金融業も強い。主要金融機関として、クレディ・アグリコル、BNPパリバ、アクサ、ソシエテ・ジェネラルがある。日本でも名前の知られる世界的な金融機関だ。マクロン氏自身、投資銀行員としての成功が、現在のチャンスに繋がった。彼はフランスの金融資本主義の勝ち組なのだ。こうした分野ではフランスは世界のトップクラスにあり、生産性も高い。ある意味、「おいしい分野」に特化してきた国だ。
 世界のトップクラスの軍需産業、金融産業の一方で、製造業を中心としたその他の産業は停滞していくことになる。これが貧富の差を生み、その格差は拡大している。フランスの労働コストは非常に高く労働効率は低い。ユーロ経済も停滞の兆しの中で、フランス経済浮上の展望は描けていない。失業率、特に若年層失業率が高止まりしている。国民の中には、フランス国内の若年層や低所得層の雇用を移民が奪っているという不満がある。この不満や怒り、閉塞感が、主要政党に属さないマクロン氏やルペン氏の台頭を生んだのだ。
 マクロン氏とルペン氏との選択となれば、主要政党支持者は組みすることができるマクロン氏しかいないといえる。彼らは、ルペン氏に独自路線を突き進むリスクを感じたのだ。これが決選投票でのマクロン氏の圧勝に繋がった。
 ただ問題は、これからだ。期待は大きくてもフランスの経済低迷は構造的なもので、利権で雁字搦めになっている。改革は容易ではない。これから注目されるのはフランス国民議会選挙だ。マクロン氏は国民議会選で577の全選挙区で候補者を擁立するとしている。とはいえ、一気にマクロン氏が下院で過半数を確保するのは難しいだろう。おそらく党派を超えた連立形成となるのではないか。改革には主要政党の支持が必要だが簡単には得れないだろう。主要政党の支持を得れば、改革はすぐに頓挫するだろう。主要政党の議員をまとめるだけのリーダーシップが備わっているかどうか。
 極めて早い段階で、成果を出さなければ、期待が一気に失望に変わる可能性は高い。待ち受けているのは今回敗れたルペン氏だ。(社会貢献推進機構理事長・児玉克哉「Yahoo!ニュース個人」2017.05.08

「EUはユートピア」

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