日本のテロ危険度は本当に低いのか

英マンチェスターのコンサート会場で起きた爆弾テロは世界に衝撃を与えた。イスラム教のラマダン(断食月)が始まり、過激派組織「イスラム国」(IS)によるテロの危険度は一層高まる。欧州に比べ、危険度が低いと言われる日本だが、テロの脅威を楽観視して本当に大丈夫なのか?

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日本は「テロ対策後進国」のままでいいのか 

爆発音がした会場から逃げる人たち=
ツイッター投稿映像(ロイター)
 英中部マンチェスターのコンサート会場で22日夜(日本時間23日午前)、自爆テロ事件が発生し、女児を含む22人が死亡し、59人が負傷した。犠牲となった方々と、ご遺族に心からの哀悼の意を表するとともに、けがをされた方々にお見舞いを申し上げたい。
 ここ数年、英国をはじめ、フランスやドイツ、ベルギーなど欧州各地でテロ事件が相次いでいる。今回の事件の詳細はいまだ不明だが、2001年9月11日の米国同時多発テロ(9・11)のように、国際テロ組織「アルカーイダ」や、過激組織IS(自称イスラム国)のような、国際的犯罪組織が関与した可能性は十分ある。
 通称「パレルモ条約」(正式名称『国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約』)は、組織的テロや人身売買、武器の密輸などを行う国際的犯罪組織の撲滅を目指した国際条約だ。この条約は9・11直後の11月15日、人身取引、密入国、銃器に関する3つの議定書とともに国連総会で採択された。
 日本は02年12月までに、これらの条約に署名した。だが、正式締約の前に、締約国は「重大な犯罪を行うことの合意(=共謀)」「犯罪収益の洗浄(=資金洗浄、マネー・ロンダリング)」「司法妨害」などを犯罪とする国内法を定め、「犯罪収益の没収」「犯罪人引き渡し」などについて、法整備と国際協力を行う義務を負っている。
 その義務を履行すべく本国会に提出されたのが、「テロ等準備罪」の新設に向けた組織犯罪処罰法改正案である。
 パレルモ条約を結ばないと、日本は国際的犯罪集団の情報について、他国と綿密なやり取りができない。日本が有益な情報を得られないデメリット以上に、国際的犯罪組織にとって日本が「抜け穴」になることが大問題なのだ。
 世界187の国と地域が締約したなか、G20唯一の未締約国である日本は、国際社会に迷惑をかけている。南スーダン、ソマリア、コンゴ、イランなど、日本を含む11カ国だけが未締約国である。民進党や共産党などは、日本を「テロ対策後進国」にしておきたいのか。
 東京新聞は24日朝刊に「共謀罪の対象となる277の罪」という一覧を掲げていた。対象が広すぎると言いたいらしい。私は277の犯罪内容を一通り見たが、犯罪の意思を持たない一般市民は同法案が成立しても何の不都合もないはずだ。
 同法案に反対するメディアは、公安監視対象団体に所属する愛読者や視聴者のご意向でも忖度(そんたく)したのか。
 ある民進党議員は、テロ等準備罪が成立したら本気で国外亡命を考えるとツイートしていた。彼が本当に亡命するようなら、それは日本の未来に貢献する善行だと思うので、ぜひ餞別(せんべつ)を贈りたい。(ケント・ギルバート「ニッポンの新常識」、夕刊フジ 2017.05.27

安易な人道主義は禁物だ

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ネットでつながる各国のテロリスト

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世界のテロ危険度マップ

 米国の保険関連企業、エーオンが毎年発表しているテロのリスクに関するレポートで最新の2017年度版が公開された。テロのリスクを表す世界地図では、英国やドイツが「テロの危険性が中程度にある」(薄橙色)に一段階引き上げられた。ノルウェーやフィンランドが最も安全な緑の「テロの危険性なし」とされ、赤色の「テロの重大な危険がある」は中東、アフリカ諸国に集中している。日本は豪州やカナダ、スペインと同じ「テロの危険性が低い」に分類されているが、今後、引き上げられる可能性は十分ある。