哲学なき小池百合子「都民ファースト」
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哲学なき小池百合子「都民ファースト」

東京都の小池百合子知事が自民党に離党届を出し、地域政党「都民ファーストの会」代表に就任した。「忖度だらけの古い都議会の刷新」を公約に掲げ、自民との対立姿勢を鮮明に打ち出すが、早くも期待外れとの声も聞こえる。再び小池旋風は起こるのか。都民ファーストの行方を占う。

東京都の小池百合子知事が自民党に離党届を出し、地域政党「都民ファーストの会」代表に就任した。「忖度だらけの古い都議会の刷新」を公約に掲げ、自民との対立姿勢を鮮明に打ち出すが、早くも期待外れとの声も聞こえる。再び小池旋風は起こるのか。都民ファーストの行方を占う。

「安倍自民」決別宣言

「理」をもって都政を制せ

「頭の黒いネズミ」がまた増える

都民ファーストは政局を動かすか

政治家か、それとも政治屋なのか

連合の第88回メーデー中央大会であいさつする
東京都の小池百合子知事=4月29日、東京・代々木公園
 「7月都議選、都民ファーストの会と連合東京が政策合意」という報道がありました。連合東京には当然ですが、 東京都の職員組合も所属しています。したがって、職員給与に関しては基本的に守るか、増やす方向であることは間違いなく、事業の民間委託や民営化にも反対であることは明白です。
 一方、元々小池百合子東京都知事を知事選挙で応援した「かがやけTokyo」の議員たちは、旧みんなの党のメンバーであり、職員給与の引き上げについては反対姿勢を取るとともに、都事業の民間委託などに前向きな姿勢を見せていたものと記憶しています。彼らの元所属政党である「みんなの党」は2013年都議会議員選挙時に「東京アジェンダ」を発表し、その中で「公務員の総人件費20%カット」を謳っていましたので、このような政治姿勢の転換はほぼ180度真逆の方向に舵を切ったと言って過言ではありません。
 したがって、仮に都民ファーストの代表が小池知事の野田特別秘書であったとしても、現在の都議会所属議員には連合東京との政策協定を結ぶことには責任があります。連合東京から支援を受けた都議候補者が自党から立候補することを黙認することは2013年の都議選挙の公約への事実上の裏切りでしょう。それとも、既に党名も内容も違う、または連合東京と一緒になっても公約は守れると嘯くつもりでしょうか? 元かがやけTokyoの都議会議員が「都民との公約」をまともに守るつもりがあるなら、「都民ファースト」から離党するか、連合東京との政策協定を撤回するように働きかけるべきです。
 自分達が推薦した都知事が連合東京と組むからといって自らの政治スタンスを180度転換する議員は、政治家ではなく政治屋でしかありません。地方議会は小池知事の私塾である希望の塾の都議選候補者選抜試験にもあったように「二元代表制」であるため、小池知事の方針に従って自党が連合東京と組む必要はありません。現在の都民ファーストの都議会議員らはこの事態を容認したのでしょうか。
 連合東京と政策協定を結ぶと言うならば、みんなの党⇒維新の党⇒民進党、と所属政党を変えてきた、旧みんなの党の都議会議員らと何も変わりません。自分達が受かりたいだけの都議会議員なら既に十分足りてますから、政策方針を転換するなら次の選挙に出馬するべきではありません。有権者にとっては改革派を僭称する勢力が存在することは紛らわしいだけで迷惑です。
 明確に申し上げておきますが、ここで黙って都民ファーストに残って政策協定を追認するようであれば、それは「政治屋」です。元かがやけTokyoに所属していた都議会議員は、政治家なのか、政治屋なのか、それが問題なのです。現在の政治的な党派性をとるのか、前回の選挙で自分を都議会に送ってくれた有権者を信頼するのか、どちらを選ぶべきなのかが問われています。(早稲田大学招聘研究員・渡瀬裕哉「切捨御免!ワタセユウヤの一刀両断!」2017.04.05

「小池劇場」空気は変わったか

知事への「忖度」都議会でいいのか

小池百合子知事が所信表明で
引き合いに出した元東京市長の後藤新平
 東京都知事の小池百合子氏は「兵法」が好きなようだ。本紙に執筆中の「女子の兵法」では連載3回までで既に2回、「孫子の兵法」から「彼を知り、己を知れば、百戦して殆(あやう)からず」を引用している。
 中国が人民解放軍必読の書とした「孫子の兵法」第三篇「謀攻」の中にこの言葉はある。その意味は謀攻、すなわち謀りごとをもって攻めることを至上の勝ち方とする考えだ。
 謀攻を説く小池氏は偉大な東京市長、後藤新平に匹敵する足跡を残したいと、あふれるような意欲を示す。
 大変に結構だ。そうした大望、野望の実現には優れた構想、節目節目の賢い決断、そして指導力がなくてはならない。都知事就任から10カ月、いまだ構想を示し得ず、決められない知事であり続ける限り、21世紀の後藤新平は見果てぬ夢ではないのか。(中略)
  さて、過日の6月1日、小池氏は自民党を離党し、「都民ファーストの会」代表に就いた。同党への支持率が低迷する中、7月の東京都議会選挙での議席拡大を狙っているのは明らかだ。
 この小池氏の手法を元宮城県知事の浅野史郎氏は「不健全」だと、以下のように批判する。
 議院内閣制の国政では、国民が選んだ国会議員が首班指名によって総理大臣を決定する。他方、地方自治体は知事と地方議員を住民が直接選挙で選ぶ二元代表制である。地方自治体では知事と議会はおのおの独立した存在で、議会全体が健全野党として知事をチェックするのが本来の姿だ。
 この二元代表制の下で、ファーストの会は、小池都政へのチェック機能を果たし得るのか。同会は公約で、都政最大の関心事、築地市場の豊洲移転について、「知事の立場を尊重する」とうたっている。小池氏への白紙委任宣言である。都議一人一人は何万人もの有権者の代表のはずだ。重要な責務を担うべき政治家集団が、科学的に安全な豊洲市場への移転さえ自ら決断できず、小池氏に従うというのか。ファーストの候補者は自ら考えられないのか。
 小池氏は、自民党政治を「忖度政治」だと非難した。だが、彼女の都民ファーストの会こそ、知事の顔色を見る「忖度都議会」そのものを目指しているのではないか。
 過日訪れた秋田県の人々が心底、怒っていた。都民ファーストと言うが、秋田県の子供たちは高校まで、秋田県が教育し育てる。高校を卒業して上京し、東京に住み、古里の秋田から人がいなくなる。東京は昔から地方の人間が流入して創り上げてきた町だ。それを、都民だけを考えて「都民ファースト」とはなんという恩知らずかと。
 6000億円かけて建てた豊洲を壊して更地にする考えも小池氏周辺から聞こえてくる。6000億円は秋田県の年間予算だ。それを壊すという発想は何と尊大か、と。小池氏に猛省を促すゆえんだ。(櫻井よしこ 美しき勁き国へ 産経新聞 2017.6.5)
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