ロシア疑惑、トランプはいつまで持つか
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ロシア疑惑、トランプはいつまで持つか

米連邦捜査局(FBI)長官の解任に始まったトランプ大統領の「ロシア疑惑」に注目が集まっている。最大の焦点は、トランプ氏の言動が弾劾訴追の対象となる「司法妨害」に当たるかどうかだが、次々と浮上するロシアとの深すぎる絆に憶測も広がる。追い詰められたトランプ政権。その命運やいかに。

米連邦捜査局(FBI)長官の解任に始まったトランプ大統領の「ロシア疑惑」に注目が集まっている。最大の焦点は、トランプ氏の言動が弾劾訴追の対象となる「司法妨害」に当たるかどうかだが、次々と浮上するロシアとの深すぎる絆に憶測も広がる。追い詰められたトランプ政権。その命運やいかに。

米と世界が失う「大統領の威信」

「決定打」を狙う米メディア

終わりが見えない「泥仕合」

どうなる「ロシア疑惑」

 トランプ政権とロシアとの関係をめぐる疑惑が米国で大きな話題になっている。情報機関に捜査への圧力をかけたなどと指摘されているが、米政権の外交や内政、経済政策にどのような影響が出てくるのか。そして、トランプ氏が大統領の座を追われる事態にまで発展する可能性はあるのだろうか。
 トランプ氏は共和党候補として大統領選に当選したが、共和党にとっては必ずしもイチ押しの候補ではなく、主流派と対立する異端の存在でもあった。共和党の大統領と議会多数派の共和党で政策が進められていくはずが、どこかまだギクシャクしている。その典型が「オバマケア」(医療保険制度改革法)の見直しだ。
 そうした状況の中、ロシアとの問題は、トランプ政権にとって致命傷となる恐れもある。
 まず、トランプ氏を議会で支えるべき共和党としては、政策で多少意見が合わない程度ならば問題はない。しかし、トランプ氏がロシアと通じていたとなると話は別だ。ロシアだけは許せないという共和党員は少なくない。
 今後もロシアに関する疑惑が出続けるようなら、共和党はトランプ氏と距離を置くだろう。すると、外交や内政、経済政策は、これまで以上にうまくいかなくなる。その先に大統領弾劾を見据えているからだ。
 弾劾については、合衆国憲法第2条で「大統領、副大統領及び合衆国の全ての文官は、反逆罪、収賄罪又はその他の重罪及び軽罪につき弾劾され、かつ有罪の判決を受けた場合は、その職を免ぜられる」とある。その手続きは、下院の過半数で訴追され、上院で裁判し、3分の2以上の同意で有罪となれば罷免される。
  現段階では、議会多数派の共和党議員だけでなく、大半の民主党議員からも、弾劾手続きを始める様子はみられない。一部マスコミや学者から「トランプ氏の行為は弾劾に値する」といった声が出ているだけだ。
 下院は過去に60回余りの弾劾手続きを開始したことがある。そのうち、実際の弾劾訴追になったのは、連邦判事15人、上院議員1人、閣僚1人、そして大統領では1868年のジョンソン氏と、1998年のクリントン氏の2人で、計19例ある。
 このうち有罪とされ罷免されたのは判事8人だけで、大統領罷免の例はない。ただし、74年のニクソン大統領の場合は、下院での弾劾訴追と上院での有罪が確実視されたので、辞任した。
 弾劾手続きは長いので、下院が弾劾訴追するのが見えてくると、政権運営は事実上困難になるだろう。そうなるとトランプ政権は死に体になる。
 繰り返すが、下院の過半数と上院の3分の2がないと大統領は罷免されないわけで、共和党が主導しないと罷免はあり得ない。ただ、相手が異色のトランプ氏なので、その可能性が全くないとは言い切れないのが実情だ。
 アイルランドのブックメーカー(賭け屋)は、米下院が2021年までにトランプ氏を弾劾訴追する可能性を33%としたが、果たしてどうなるのか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一「日本の解き方」ZAKZAK  2017.5.30

公聴会の敗者は誰だ

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混迷深めるトランプ政権

 トランプ大統領は最近になって急速に保守派回帰を選択するようになりました。元民主党員のクシュナー上級顧問、ムニューチン財務長官、コーン国家経済会議議長などを重視し、オルト・ライトの顔であったバノン首席戦略官を遠ざけ、レーガン保守派とも距離を取りつつあった方針を見直し、元々の自らの政権基盤を固める動きを強めています。その最も象徴的な事案が「パリ協定からの脱退」であり、貿易不均衡などの問題をフォーカスする一連の大統領令の連発、ツイッターを利用した入国禁止令(当初)を褒める発言や改めて壁の設置を確認する発言でしょう。外交的にも対イラン、IS(イスラム国)強硬姿勢は共和党支持者を喜ばせるものだと言えます。
 これらは崩れかけた共和党、特に保守派からの信頼を回復することで、自らへの弾劾機運を回避するため、共和党議員及び共和党員からの支持を繋ぎ止めようとしていると見るのが妥当です。
オバマケア改廃法案の撤回を受けて記者団に話すトランプ氏=3月24日、米ワシントン
オバマケア改廃法案の撤回を受けて記者団に話すトランプ氏
=3月24日、米ワシントン
 トランプ大統領と共和党連邦議員の関係は、トランプ大統領が政策的に共和党議員と同じ方向を志向していることは当然のこととして、何よりも2018年の中間選挙でトランプ大統領が共和党議員を勝たせてくれる存在か否かということにかかっています。各省長官などの任命によって発生した補欠選挙において、カンザス州やモンタナ州で行われた選挙結果は、長官を輩出するほどに共和党有利の州でありながら比較的苦しい選挙結果となりました。
 また、トランプ側近であるジェフ・セッションズ司法長官が辞意を漏らしたと報道されるなど、トランプ大統領を守ろうとするインセンティブを持つ人たちの士気が十分に回復していないことが示唆される状況となっています。
 共和党関係者はトランプ大統領を表面的には支持している状況ではあるものの、トランプ大統領が選挙が弱いことが明らかになりつつある現状に鑑み、本音レベルではペンス副大統領の大統領昇格を望む気持ちもあることは確かでしょう。
 トランプ大統領は極めて党内基盤が弱い大統領であり、共和党主流派とは当初から対立状態または是々非々、共和党保守派は敵の敵は味方という消極的支持、という状況でした。政権発足から約150日程度経とうとしていますが、トランプ大統領の曖昧な態度によって、共和党各派との関係は深まることはなく一層混迷を深めている現状と言えるでしょう。また、中間選挙は共和党にとっては民主党が上院で大勝した年の選挙区が対象になるために有利であるはずですが、上院だけでなく下院すら厳しい状況となりつつある今、万が一連邦議会での過半数割れが発生した場合、トランプ大統領の問題は任期中、蒸し返され続けることになるでしょう。
 トランプ大統領の命運は、共和党連邦議員及び共和党支持者からの支持にかかっている状況となっており、トランプ大統領は今後一層選挙戦を意識した政権運営を行うことが求められるでしょう。(早稲田大学招聘研究員・渡瀬裕哉「切捨御免!ワタセユウヤの一刀両断!」2017.06.09

「最強の捜査機関」その実態は

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