小林麻央さんが遺してくれたもの
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小林麻央さんが遺してくれたもの

フリーアナウンサーで乳がん闘病中だった小林麻央さんが34歳の若さで亡くなった。昨秋にブログを開設して以来、352回ものメッセージを発信し、多くの人々の心を動かした。麻央さんは私たちに何を伝え、何を遺してくれたのか。その意味を考えたい。

フリーアナウンサーで乳がん闘病中だった小林麻央さんが34歳の若さで亡くなった。昨秋にブログを開設して以来、352回ものメッセージを発信し、多くの人々の心を動かした。麻央さんは私たちに何を伝え、何を遺してくれたのか。その意味を考えたい。

彼女の言葉が心を動かしたワケ

医学的にどう分析する?

世界一「エセ医学」に寛容な国

「嘘も方便」が当たり前

「死ぬ死ぬ詐欺」激しい中傷も

5月29日、小林麻央さんが自身のブログに掲載した写真
 6月22日に亡くなった小林麻央さんに共感を得た人が多かったのは、よく知られたフリーアナウンサーだっただけではなく、ブログなどで自身の病状を明らかにし、闘病中の生活も積極的に伝えてきたためだ。同じ境遇で家族を亡くした経験がある人ならわかると思うが、病状が悪化し、急激に痩せていく自身の姿、そして支えてくれる夫や子供たちへの思いを隠すことなく公表するのは並大抵の精神力ではできない。
 ゆえに麻央さんのブログの読者は250万人以上とされ、英国の公共放送BBCも「人の心を動かす女性100人」の一人に麻央さんを選んで寄稿を依頼。昨年11月に「日本で最も人気のブログ」などと評して寄稿を掲載したことで、「死」を意識しながら前向きに生きる女性として世界に知られることになった。
 その一方で、ネットを活用した発信が裏目に出る例として注目されたのも事実だ。匿名でも書き込みができるネットの特性の悪用といえるが、麻央さんに対して「(闘病が)いつまで続くの?もうウンザリ」「心配してくれってか、うっとおしい」「死ぬ死ぬ詐欺だ」などのほか、「ブログは金儲けのため」といった心ない誹謗中傷が繰り返されてきたという。
 こうした書き込みはほんの一例にすぎないようだ。俳優の坂上忍さんはバラエティ番組「バイキング」(フジ系)で、「言いたくないほどひどかった。『表現の自由』と言ってもあまりにもひどすぎる」と語っており、どういった激しい中傷があったか想像に難くない。
 ブログやSNSが爆発的に普及したネット社会は、これまでにない情報伝達の媒体として有効なツールといえる。だが、麻央さんのケースが象徴するように、ネット社会は、多くの人々に感動や勇気をもたらすと同時に、深く傷つけるものでもあることが改めて浮き彫りになった。(iRONNA編集部)

「愛してる」と旅立った

麻央さんの苦悩に想う

「死から学ぶこと」

 がんによる死は簡単ではない。原因は一つでないことも多く、私たち病理医も死因の特定に悩むことがある。
 しかし、どうして死因を特定する必要があるのだろう。いくら調べても、患者さんは生き返らないではないか。このように、生きている人ではなく、死んだ人にお金や時間をかけて調べることに疑問を投げかけられることがある。
 「ようやるわ…」。解剖直前、ある医療者がさげすむように言った一言が忘れられない。「私は病理医に関わらないことを目標にしています」と言われたことも忘れられない。
 しかし、死を直視することはつらく悲しいことでもあるが、死から学べることは多い。死の原因を知り、それに対する対策を立てることで、未来の命を救うことができる。
 死が怖いのは、死を知らないからでもある。死の過程を知ることで、死をむやみに恐れなくなる。もちろん、それでも自分の存在が消えてしまう死というのは怖いのだが、不必要に恐れなくなる。
 メメント・モリとは、「死を忘れるな」というラテン語の言葉だという。本来の意味ではないのかもしれないが、死を知ることは充実した生をおくるために必要なことだと思っている。亡くなった人は、いま生きている私たちに充実した人生を歩むための方法を教えてくれる先生なのだ。(病理専門医・榎木英介「Yahoo!ニュース個人」 2017.06.24
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