「インスタ女子」がけしからん!
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「インスタ女子」がけしからん!

写真共有アプリ「インスタグラム」に狂う女子が激増しているという。「いいね!」欲しさに女子力アピールするだけならまだしも、撮影目的で注文した料理を残したり、ゴミ箱にポイ捨てする行為も横行しているらしい。世のおじさんたち、そんなインスタ女子の気持ちを理解できますか?

写真共有アプリ「インスタグラム」に狂う女子が激増しているという。「いいね!」欲しさに女子力アピールするだけならまだしも、撮影目的で注文した料理を残したり、ゴミ箱にポイ捨てする行為も横行しているらしい。世のおじさんたち、そんなインスタ女子の気持ちを理解できますか?

まさに「ビックリマンチョコ」

インスタを知らない人たちへ

「承認欲求」の無間地獄?

「盛った自分」を味わう中毒性

歪んだ「リア充」感アピール

 スマホ時代の今日。それは誰もが高解像度のデジタルカメラを持ち歩いていることと同義であり、いわば「1億総カメラマン時代」といっても過言ではない。もっとも身近な生活ツールとして、カメラが存在している。芸能人でもないのに、多くの若者たちが常に「撮影される」という感覚を持ち、実際に撮影されることにも慣れている。「自撮り」を含め、芸能人ばりに「写ること」へのプロ意識を持つ若者たち。誰もがカメラマンであり、被写体となっている今日、自分がどのように写真に写るのか、またどう見られているかという意識だけがひたすら肥大化している。冷静に考えればこれは異常な現象だ。
 インスタグラムを媒介にして急速な知名度を上げたタレント・GENKINGが、SNS上でセレブを演じるための写真を撮るためだけに、身の丈以上の浪費を繰り返したことで、結果的に1000万円を超える借金をつくったエピソードは有名だ。
 規模と桁こそ違え、同じような問題に直面する若者たちは少なくないように思う。事実、筆者は研究室の女子学生から「就職活動が忙しくて、インスタ用の写真をおしゃれなカフェに撮りにいけない」とか「バイトを減らしたから、最近お金がなくてインスタの写真が撮れない」という奇妙な愚痴を聞いたことがある。
 「おしゃピク」(おしゃれなアイテムを持参したピクニックを行い、それを「おしゃれな写真」に収めてインスタグラムなどのSNSに投稿)写真を撮影し、インスタグラムで公開し、見ている人たちから「いいね!」を押されることだけを目的にした奇妙なピクニック。そこにあるインスタ女子たちのゆがんだリア充感に、スマホ時代の今日の日本社会が抱える「病」を感じるのは筆者だけだろうか。リアルな日常を1枚の写真でリアルタイムに伝える便利で直感的なツールであるはずのインスタグラムの世界に、リアルを全く感じないのはツールとしても本末転倒だ。
 SNSでのリア充アピールに疲れ、消耗し、そこから離脱する人は少なくない。身の丈に合わない無理をしたり、本来の自分とはかけ離れたイメージを維持することは極めて困難だ。非日常的な「日常」の捏造(ねつぞう)にはお金がかかるからだ。
 人工的なリア充写真を見て、「私もあんな風になりたい!」と思って、同じようなリア充アピールをするために「おしゃピク」写真を撮影する。離脱するまで、そんな無限ループが続くのだ。もちろん、そこにリアルなリア充は存在しない。もしかしたら、羨(うらや)ましく思っている方が、「カリスマ化」している方よりも、実際には裕福で充実している環境であるかもしれないのだ。
 メディアが多様化している今日、さまざまなニーズに合わせ、さまざまなメディアを使い分けることができる便利な時代だ。しかし、その一方で、日本のような世界でも類をみない豊かな国家に住む若者たちが、充実を捏造(ねつぞう)しようとする生き焦るメンタリティには、ゲーム中毒どころではないスマホ時代の社会病理を感じる。(東洋大教授・藤本貴之「メディアゴン」2017.06.02

インスタ女子の定番といえばこれ

なぜ、そうまでして書き込むのか

「若者はけしからん!」をまだ繰り返すの?

 「インスタ女子」と呼ばれる人たちをご存じだろうか。世界で7億人が利用し、日本でも月間アクティブユーザーが1600万人に上る人気SNS「インスタグラム」を駆使する若い女性のことだ。ところが最近、その使い方をめぐって賛否が渦巻いているらしい。筆者自身、インスタグラムをこよなく愛する同世代の一人だが、そんなインスタ女子に何が起きているのか。
 インスタグラムとは簡単に言えば、写真を投稿し、それを見た人から評価として「いいね」を押してもらうSNSだ。ユーザーは海外セレブや芸能人、一般人までと幅広く、一般人でも多くのフォロワーを抱える「インスタグラマー」もいる。ただ、写真ありきのインスタは、どんな写真を投稿するかで「いいね」の数が決まるため、アップされる写真には「かわいくてキラキラしたもの」が目立つ。このため、インスタの投稿写真を撮影するためだけに行動する人も多く、さほど収入がないのに無理して入場料が高いナイトプールに行ったり、本当は欲しくない高いコスメやブランド物を買って撮影後すぐに売りに出したりするなど、華やかな自分を演出することに躍起となる女子たちが増えている。
 最近では、人気のアイスクリーム店に並んで購入したアイスの写真を撮影した後、ほとんど食べずにごみ箱に捨てた投稿が物議を醸した。「もったいない」「食べ物を粗末にするな」といった批判的な意見が相次ぎ、この投稿は炎上したが、それでもインスタにハマる女子たちの勢いは増す一方である。
話題となった名古屋のソフトクリーム店での投稿
(@ani__Rのツイートより)
話題となった名古屋のソフトクリーム店での投稿
 (@ani__Rのツイートより)
 インスタブームの背景にあるのは、女子力をアピールするユーザーの自己顕示欲の強さだけではない。彼女たちにサービスを提供する側にとっても、インスタ女子の投稿と拡散力が「無料の宣伝」となり、もはや無視できない存在になっているのである。聞くところによれば、女性ファッション誌はインスタ女子の台頭でどこも苦戦を強いられているらしい。
 ただ、だからと言って、すべてのサービス提供側が手放しで喜んでいるわけではない。都内にある人気カフェの店主は「インスタ映えするメニューは何ですか?」と聞かれることに戸惑いを感じているという。10年以上かけてパフェづくりを追求してきた店主は、別にインスタ映えを狙っているわけではないからだ。もちろんマナーよく料理を楽しむお客さんが大半だが、一部には隣席の知らない人の料理まで写真を撮る人や、机の上に大量の人形を並べて撮影を繰り返す人もいるという。写真を撮るのに必死で、せっかく丹精して作ったパフェが溶けてしまうのをみると、複雑な気持ちになるのは当然だろう。
 そもそも、このお店のメニューには写真がない。あえて写真を載せないことで、メニュー名を見て想像を膨らませたり、実際に料理が運ばれてきたときに感動してもらいたい、という店主の想いがあるからだ。それなのに、インスタグラムにメニュー名とともに写真を投稿されると、店主の工夫は意味をなさなくなる。「何を食べたいではなく、イメージする生活がしたいと思って来るお客さんが増えたと思う。その人たちにとっては、お店も『豊かな生活をしているように見せる』ためのツールなのだろう」。店主は困惑した表情でこう語った。
 今年7月に発表された10~20代の女性向けメディアLAURIER PRESSの調査によると、インスタグラムに投稿する内容の1位は「スイーツやカフェなどの食べ物系」。「フォトジェニックな食べ物とかスイーツはいいねが付きやすい」など、フォロワーの反応を気にしている意見もあるようだ。インスタグラムでは、「いいね」ボタンを押すことで、好意的な反応の表現できるようになっており、「いいね」が多いほど好意的な反響が大きいということになる。
 実際にインスタグラムをよく利用する20代女性は「『いいね』の数は気になる。自分が発信したものに対して、第三者から見てどの投稿がいいね!って思ってもらえるのか他人の評価が気になるから」と話す。店を選ぶ際も「人がSNSであげていたおしゃれなお店、もしくはフォロワーから『気になる!』と思われるようなお店」を基準にするという。「いいね」の数を気にしているからこそ、「同じ写真をほぼ同じタイミングで友達同士が投稿して、いいねの数に格差が出た時には闇を感じます」と本音を語ってくれた。
 一方、別の20代の女性は「今の若い子は『リア充』を無理やり作っている、みたいな風潮あんまり好きじゃないです。みんな必死になってインスタしているっていうより、楽しんでいる印象が強い。一部の極端な例をクローズアップした過剰反応じゃないかなと思う」と話す。
 インスタ女子に象徴される「若者文化」に対する批判は、今に始まったことではない。どのブームを振り返っても、一部の事象だけがクローズアップされ、ひと括りにされがちである。言い換えば、いつの時代も「若者はけしからん!」という人はいる。空前のインスタブームも、きっとその一例に過ぎない。(iRONNA編集部、中田真弥)
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