巨大隕石「地球最後の日」は回避できるか

9月1日、過去最大級の巨大隕石「フローレンス」が、地球からわずか700万キロの近傍を通過した。米航空宇宙局(NASA)によると、直径は4キロに及び、地球からこれほど近い距離を通過する小惑星としては観測史上最大だったという。「人類最大の危機」はどうすれば回避できるか。

衝突確率は航空機事故と同じ

  • 記事で深く知る

小惑星の軌道をそらす現実策

  • 記事で深く知る

人類の危機を回避できるか

  • 記事で深く知る

巨大カルデラ噴火よりも怖い?

 5月31日放送のNHKクローズアップ現代+「人類のピンチ!?天体衝突を回避せよ」は実に迫力があった。最新の研究によると地球への衝突が懸念される天体が1万6千もあり、天体衝突をSF世界の話だと思ってはいけないのだ。
 確かに天体衝突(なじみ深い言い方だと「隕石(いんせき)落下」)は不可避の現象だ。実際地球表面には数多くの衝突の跡「クレーター」が残っている。最大クラスでは、その直径はなんと300~400キロにも達する。1億年以上も生物界の頂点に君臨した恐竜を、6500万年前に絶滅へと追いやったのも天体衝突だった。直径10キロの隕石がメキシコのユカタン半島に落下したのだ。衝突で発生した多量のガスが成層圏でPM2・5に似た硫酸エアロゾルとなって「衝突の冬」と呼ばれる寒冷化を起こし、また酸性雨を降らせた。こんな環境の激変が食物連鎖を破壊し、プランクトン、植物、そして恐竜に至る「大量絶滅」を引き起こしたのだ。
Hughes(2003)、Chapman (2007)などのデータに基づく。
 では、このような破局的な天体衝突は、どれくらいの確率で起きるのだろうか? 図をごらんいただこう。横軸は衝突のエネルギー、縦軸は今後100年間の発生確率および平均的な発生間隔を示す。直径数十メートルの小天体はしばしば地球へ突入するが、多くは大気中で燃え尽きてしまう。ところが直径100メートルを超えるとおよそ1万年に1度は(100年発生確率1%で)地上へ落下し、直径1キロのクレーターを作る。さらに大きい1キロクラスの天体衝突は約1万年に1度起こり、直径10キロのクレーターの形成と、グローバルな寒冷化を起こす可能性がある。大量絶滅を引き起こすような巨大衝突は、1億年に1度程度の頻度だ。
 地球規模の寒冷化をもたらす天体衝突の100年発生確率は、約0・01%。一方で同程度の寒冷化は火山の大噴火によっても起きる。「火山の冬」と呼ばれる現象だ。地球のどこかでこのような大噴火が起きる100年確率は数十%にもおよび、天体衝突よりはるかに切迫度は高い。
 日本列島の面積は地球表面の1%にも満たないので、天体がこの列島を直撃する可能性はさらに小さくなる(図)。例えば、直径100メートルクラスの天体が日本列島を直撃して1キロのクレーターを作る100年確率は0・01%程度だ。
 このように、天体衝突の確率はそれほど高くはない。また巨大衝突でなければ被害は限定的である。ある見積もりによると、天体衝突の危険値(=想定死亡者数×発生確率)は全世界でおおよそ年間100人程度である。したがって、日本に限るとその危険値は小数点下の値となる。
 誤解なきように言っておくが、私は決して天体衝突を軽んじているのではない。「地球人」として、そして「宇宙立国」を標榜(ひょうぼう)する日本人として、天体衝突に備えることは当然だろう。(神戸大学海洋底探査センター教授・巽好幸「Yahoo!ニュース個人」2017.06.14

終末を防ぐことは可能か

4年前、何が起こったのか

  • 記事で深く知る

低確率でもわからない

  • 記事で深く知る

  • 記事で深く知る