トランプでも金正恩は止められない
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トランプでも金正恩は止められない

北朝鮮が9日の建国記念日に合わせ、新たな大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射する可能性が高まっている。トランプ米大統領は、北朝鮮に対する制裁圧力の強化を国際社会に呼び掛けるが、中露両国の同意を得るのは困難な情勢だ。国際社会はなぜ「狂気の独裁者」を止められないのか。

北朝鮮が9日の建国記念日に合わせ、新たな大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射する可能性が高まっている。トランプ米大統領は、北朝鮮に対する制裁圧力の強化を国際社会に呼び掛けるが、中露両国の同意を得るのは困難な情勢だ。国際社会はなぜ「狂気の独裁者」を止められないのか。

金正恩に出し抜かれた米国

最悪シナリオは「偶発的衝突」

安倍官邸も気づき始めた

まずは「外交チャンネル」構築を

オバマの「戦略的忍耐」の成果

 米国の大統領は1期4年、最長2期8年間だ。この8年間を長く感じるか、短いと思うかは人それぞれだろう。ロナルド・レーガン大統領(任期1981~89年)は8年間の任期を終える時、「どうして米国大統領の任期は8年しかないのかね」と側近に不満を吐露したと聞いたことがある。
 冷戦時代のレーガン大統領の政策を見てきた者としては、レーガン氏にもう少し時間を与えても良かったと思うかもしれないが、この人は絶対お断りだという大統領がいる。バラク・オバマ前大統領(任期2009~17年)だ。
 対北朝鮮政策でオバマ前大統領の8年間の無策が北の核開発を助けてきたことが判明してきた。オバマ氏は北が非核化の意思を表明しない限り、対話しないという対北政策を「戦略的忍耐」と名付け、8年間、ほぼ沈黙してきた。その結果、北は核開発を進めることができたことが今月3日の北の6回目の核実験で一層明白となった。北は弾道ミサイルに水爆を搭載できるまで核開発を進めてきているのだ。
 「忍耐」と言えば、その背後に高尚な戦略、ないしは哲学が控えていると受け取る楽天主義者がいるかもしれないが、オバマ氏の「忍耐」の場合、どうやらその文字のごとく、もっぱら黙ってきただけだ。もしオバマ氏が戦略的「忍耐」ではなく、関与政策を実施していたならば、金正恩氏(朝鮮労働党委員長)ものんびりと核開発に専心できなかっただろう。
 北は2006年に最初の核実験を成功。それから着実に核の小型化、核弾頭搭載可能の弾頭ミサイルの開発、プルトニウム爆弾だけではなくウラン原爆にも手を広げ、今回は水爆の実験も実施した。これらのことが全て事実とすれば、北は11年余りで、核計画を急速に進展させたことになる。その11年間のうち8年間はそっくりオバマ前政権下だった。北の核開発問題ではオバマ政権の責任が問われるという理由はそこにあるわけだ。
 もちろん、オバマ前大統領は国連安全保障理事会を通じて北に制裁を課してきたが、その政策は終始中途半端だった。オバマ政権は北が核開発を急速に進めている中、米独自の軍事的圧力の行使は控えてきた。金正恩氏は父親から「金王朝」を継承した後、計4回の核実験を実施した。そして北の過去6回の核実験のうち、4回はオバマ政権下だ。北側からオバマ政権は軽く見られていたことが推測できる。「彼なら口で批判するが、何もしない。軍事制裁など全く視野にないだろう」と受け取られてきたわけだ。
 オバマ政権の8年間は北がその核開発を急速に進歩させた期間と重なる(右図)。繰り返すが「核の小型化」、「核弾頭爆発実験」、「水爆実験」、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)用の水爆実験」といった核開発計画の重要ステップはオバマ氏が忍耐している最中、北側が着実に達成していった技術的成果だ。クリントン米政権時代の国防長官を務めたウィリアム・J・ペリー氏は今年初め、オバマ政権の対北政策「戦略的忍耐」について、「核・ミサイル開発はむしろ進み、状況は悪化した」と指摘している1人だ。
 いかなる軍事活動にもそれを指示した指導者の責任が問われる。北朝鮮の核問題では、オバマ氏は「忍耐」という名でその責任を回避してきた大統領だったといえる。(長谷川良「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2017.09.05

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トランプでも金正恩は止められない

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