信長の窮地を救った「銭まじない」

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信長の窮地を救った「銭まじない」

1556年、信長は父子対立で窮地に立たされた斎藤道三を援護すべく美濃に出陣した。「何事も即断即決」「神速」のイメージが強い信長だが、このときは途中で進軍をストップし、おもむろに「銭まじない」を始めたという。なんとも「らしくない」逸話だが、実は後の天下布武にも影響する重大イベントだったのである。

1556年、信長は父子対立で窮地に立たされた斎藤道三を援護すべく美濃に出陣した。「何事も即断即決」「神速」のイメージが強い信長だが、このときは途中で進軍をストップし、おもむろに「銭まじない」を始めたという。なんとも「らしくない」逸話だが、実は後の天下布武にも影響する重大イベントだったのである。

「織田信長の常識」を疑ってみる

 織田信長という歴史上の人物を知る上で第一級の資料と言われるのが、ポルトガル人宣教師、ルイス・フロイスの書簡『日本史』である。その書簡には信長にまつわる有名な記述がある。
 「傲慢で神をも恐れず、名誉を重んじることこの上なし。決断を内に秘め、軽々しく外に表すことがなく、戦術も巧みである。戦術を立てる際に部下の進言を聞き入れることは滅多にない」
 フロイスは実際に信長と何度も面会し、厚遇されている。フロイスが見た信長のイメージは、現在まで語り継がれる日本人の信長像に大きな影響を与えたことは言うまでもない。
 ところが、歴史研究家の橋場日月氏によれば、「これまでの信長の人物像を鵜呑みにするには、どうも引っ掛かるエピソードがいくつもある」という。今回、iRONNAがお届けするのは、信長にまつわる日本人の常識を疑い、あまたの歴史的資料などに目を凝らして、新しい信長像に迫る新連載です。橋場氏の深い洞察と大胆な仮説にどうぞご期待ください。(iRONNA編集部)

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橋場日月(はしば・あきら)
大阪府出身。歴史研究家・歴史作家。史料の山をさまざまな方角から見直し、新たな見方を提示するとともに有名無名の人物の生涯を活写する。主な著書に『地形で読み解く「真田三代」最強の秘密』(朝日新書)、『新説桶狭間合戦』(学研M文庫)など。
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