電通過労死で消えた「働きたい権利」
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電通過労死で消えた「働きたい権利」

「国難突破解散」と首相自ら銘打った今回の解散劇だが、働き方改革を柱とするアベノミクス「第三の矢」はいまだ道半ばである。電通過労死事件を機に残業規制の議論が進む一方、労働者の「働きたい権利」は主張しづらくなったという指摘もある。労働意欲と生産性向上のバランスを欠く一方的な議論でホントに大丈夫か?

「国難突破解散」と首相自ら銘打った今回の解散劇だが、働き方改革を柱とするアベノミクス「第三の矢」はいまだ道半ばである。電通過労死事件を機に残業規制の議論が進む一方、労働者の「働きたい権利」は主張しづらくなったという指摘もある。労働意欲と生産性向上のバランスを欠く一方的な議論でホントに大丈夫か?

経済効果はマイナスばかり

スマホも仕事を増やした要因

行く末はサービス残業大国

司法統計上1%未満のケース

規制より人材難の解決を

プレミアムフライデー。正午を過ぎると、従業員らが次々と
退勤した=2月24日午後、大阪市北区(前川純一郎撮影)
プレミアムフライデー。次々と退勤する従業員=2月24日、大阪市北区
 過重労働や長時間労働を是正しようと、「働き方改革」ということばが盛んに叫ばれている。ただ、そこで出てきたのが「プレミアムフライデー」とか「時差BIZ」というのは、何か違うんじゃないかな。お役人的な発想から生まれたものだからなのか、まったく世間に浸透している感じがしないよ。労働環境を見直そうというのはいいことなのに、もったいないことだ。
 医師も政府がまとめた働き方改革の実行計画に「最長で月100時間未満」などとする残業時間の上限規制が盛り込まれている。この規制については猶予期間が設けられているそうなんだけど、他の職業と同じように医師の残業時間を規制するというのは難しいんじゃないかな。
 なぜなら医師には正当な理由なしに患者さんの診療を拒めない「応召義務」というものがあるからだ。「医師とはいえ労働者なんだから、残業も規制するべきだ」という意見もあるけど、患者さんの要望に応じないわけにはいかない。単純に「時間だから終わります」とはできない商売なんだよ。緊急手術中に、「あ、時間だ。きょうはここまで」なんてことになったら大変でしょ。
 消防士や自衛隊、警察のみなさんにしたってそうだ。命に関わるような職業の人を杓子定規に「労働者」として、何でも規制しようというのは無理があるよ。それよりも人材難を解決することで労働環境の改善を図れるようにしてほしいね。
 それに、仮に残業時間を規制したところで問題が解決するとは限らない。むしろ残業時間を実際よりも少なく申告してうやむやにしてしまう、という風潮が広がってしまうかもしれないよ。(高須クリニック院長・高須克弥、zakzak 2017.09.12

「心身の健康顧みなかった」

電通事件は氷山の一角

サラリーマンを豊かにできるか

東京駅前の横断歩道を行き交うサラリーマンら(伴龍二撮影)
 長時間労働の是正は、労働者の生活の向上につながるのだろうか? 筆者は、(1)長時間労働の是正自体は必要であり推進すべきだが、(2)長時間労働是正のメリットは先に企業側に発生し、(3)少し時間を置いて労働者側に発生するのではないかと考えている。
 電通社員の自殺問題が大きく報道されて以来、長時間労働は、企業にとって大きな法的リスク要因ともなっており、働き方を、働かせ方を変えざるを得ないことは動かしようがない。
 経営側は残業時間を短縮できるような働かせ方を工夫するだろうし、社員側も長時間労働を会社への忠誠の証しとして自慢するような風潮から、仕事の能率を競うような方向に変化するだろう。
 この過程では、これまで社員が「だらだら残業」で稼ぐことができた残業代だが縮小することが考えられ、企業側では人件費抑制のメリットを取ることができそうだ。こうした能率の改善があるのでなければ、経営側に働き方改革を進めるインセンティブが起きにくい。
 一方、1人の最大労働時間が短縮されると、人手不足の圧力は、やがて一段と高まることになる。時間の経過とともに将来の賃金交渉環境は労働者側に有利に変化しよう。AIやロボットが労働力不足を十分補うのは、かなり先の話だろう。
 結局、労働者の豊かさにとっては、マクロ経済的な好環境を継続できるかどうかが最大の問題だ。(経済評論家・山崎元、zakzak 2017.02.09
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