リベラル潰しの功罪

希望の党を立ち上げた小池百合子東京都知事の戦略は浅はかだったのか。リベラル切りを宣言した「排除の論理」は結局、左派勢力の受け皿となる立憲民主党の台頭を許し、希望の党は図らずも失速した。小池氏主導の「リベラル潰し」に正義はあったのか。功罪を問う。

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「リベラルの看板」盗まれるな

「ネット党首討論」を終えた立憲民主党の枝野幸男代表(左)と共産党の志位和夫委員長=2017年10月、東京・六本木(川口良介撮影)
 「リベラル結集」と、立憲民主党や共産党、社民党が称したのが受けたのか、10・22衆院選で健闘している。だが、社会党の流れをくむ民進党左派は、決してリベラルではない。共産党まで含めてリベラル勢力というのは、世界的にも非常識で恥ずかしい。
 しかし、保守派にも責任がある。自民党や民進党右派の人々は、あるべき姿として「保守二党論」を唱えてきた。それは、希望の党や自民党は、中道やリベラルを排除しているように聞こえる。そして、いまや中道を名乗るのも公明党だけになり、バリバリの左翼である立憲民主党や共産党、社民党に「リベラルの看板」を盗られているのである。
 私は「保守二党論」でなく、「保守・中道二党論」と言うべきだと思う。本来、リベラルとは「保守と社会主義の中道」で、かつ「市場経済重視」「非宗教的」「身分差別反対」を意味する。英国の自由党(現・自民党)などの路線だ。米国では、保守派は「小さな政府」や「キリスト教尊重」を、リベラルは「社会福祉」「人権重視」「環境保護」「宗教の平等」を主張し、おおむね共和党と民主党に一致する。
 日本では、「市場経済重視」「対米協調」「戦後体制容認」といった路線をリベラルといって、自民党・宏池会(現・岸田派)に代表されていた。だが、新自由主義の台頭や、宮沢喜一政権崩壊後の政治状況で、自民党では米国・共和党の保守主義にシンパシーを感じる人が大勢となった。かといって、米国・民主党政権が現実に、日本の自民党がとっている政策より左寄りになったことなどない。
 一方、冷戦終結で、社会主義者が左翼を名乗りたがらなくなり、米国・民主党との部分的な主張の類似性を手がかりに、彼らがリベラルと僭称(せんしょう=勝手に称号を唱えること)するようになった。
 「希望の党は、自民党よりリベラルなのか?」という議論も無意味だ。小池百合子代表(都知事)は、自民党が保守に傾き、民進党が左に走る中で、センターが広く空いているので狙ったといっているが、小池氏が「自民党より左だ」とはいえない。
 むしろ、日本維新の会や希望の党が、自民党と対立軸にしようとしているのは「アンチ既得権益」であって、左右とか保守・リベラルといった対立軸にはなじまない。そのあたりを整理していけば、おのずから「健全な保守・中道二大政党」が成立していくはずだ。
 「保守リベラル」とか称する人もいるが、もしそういうものがあるなら「中道派」のことだ。保守とリベラル、ごちゃ混ぜの思想を指すのは論理的ではない。(徳島文理大学教授、評論家・八幡和郎 zakzak 2017.10.18

小選挙区が生んだ強い与党

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