「バカ量産」の教育無償化は必要か

安倍政権が選挙公約に掲げた教育無償化の議論がスタートした。高等教育に加え、幼児教育の無償化も議論の対象となったが、聞こえのよいバラマキ政策には賛否が渦巻く。向学心のある学生ならともかく、誰もがタダで大学まで行ける制度など本当に必要なのか。「バカ量産」につながりかねない制度の是非を問う。

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無償化の財源は国債で

 教育無償化の財源としては、実は国債がいい。財務省では、「基礎研究と教育の財源は国債」と言い伝えられてきた。
 そのロジックは実に簡明だ。基礎研究や教育のように、懐妊期間(成果が現れるまでの期間)が長く、大規模で広範囲に行う必要のある投資は、公的部門が主導すべきである。その場合、投資資金の財源は、将来に見返りがあることを考えると、税金ではなく国債が適切だ。「知識に投資することは、常に最大の利益をもたらす」というベンジャミン・フランクリンの名言もある。
 教育が将来の所得を増やすことを示す実証分析結果は数多い。高等教育は将来所得増、失業減などで、便益と費用の比率は2・4程度だ。これは、現在の公共事業採択基準を軽くクリアしている。国債発行で教育を賄い、教育効果の出る将来世代に返してもらうと考えればいいのだ。
 基礎研究や教育を国債発行で賄うという考え方を財務省は公式にはほとんど言わない。ただし、筆者の手元にある小村武・元大蔵事務次官の『予算と財政法』(五訂版)の99ページに興味深い記述がある。この本は、財政法の逐条解説であり、財務省主計局の法規バイブルとされ、事実上の財務省の公的見解といってもいい。
 そこには、投資の対象が、通常のインフラストラクチャーのような有形固定資産であれば国債で賄うのは当然のこととし、研究開発費を例として、基礎研究や教育のような無形固定資産の場合も、建設国債の対象経費としうると書かれているのだ。
 基礎研究や教育を投資と考え、国債発行で賄うというやり方は、財務省としても反論できないほど、まともなものだ。モノへの投資は有形固定資産として公共事業となっている。人への投資は、無形固定資産と考えられるが、見えない資産なので、国債発行対象経費になっていないだけである。
 残されたものは政治だけだ。憲法改正は不要という意見もあるが、国の根幹に位置づけるためにあったほうがいい。この真正面からの王道で教育無償化を実現するべきだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一 zakzak 2017.02.11) 

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