芸能人の「奴隷契約」がシャレにならない
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芸能人の「奴隷契約」がシャレにならない

ライブを中心に活動する「地下アイドル」と呼ばれるグループの元メンバーが、当時所属した芸能事務所に対し、契約の無効確認や未払い賃金の支払いを求め東京地裁に提訴した。昨年解散した元SMAPやタレントのローラなど、芸能人の移籍や独立をめぐるトラブルはなぜ後を絶たないのか。

ライブを中心に活動する「地下アイドル」と呼ばれるグループの元メンバーが、当時所属した芸能事務所に対し、契約の無効確認や未払い賃金の支払いを求め東京地裁に提訴した。昨年解散した元SMAPやタレントのローラなど、芸能人の移籍や独立をめぐるトラブルはなぜ後を絶たないのか。

芸能トラブル専門弁護士の見解は

突っ込みどころ満載

「表向きは合法だから」

芸能マスコミは誰の味方?

著書「創作あーちすと NON」の発売記念トークショーを行った女優、のん=2017年4月、東京都千代田区
著書「創作あーちすと NON」の発売記念トークショーを行った
女優、のん=2017年4月、東京都千代田区
 NHK朝の連続ドラマ「あまちゃん」でブレイクした能年玲奈さんをめぐる「引退騒動」、芸能マスコミのあり方についていろいろな問題を提起しているように思う。
 たぶん能年さんと事務所側とそれぞれ自分の主張はあるのだと思う。それは当事者同士で話しあって解決してくれればよいのだが、ややこしいのは、それを芸能マスコミが報じ、いわば代理戦争が展開されていることだ。それによって読者から見れば、どこまでが事実でどこまでがウラの取れた情報なのかわかりにくくなっている。おおまかに言えば『週刊文春』は能年さん側、他の芸能マスコミは概ね事務所の意向に沿った報道と考えて良いのだが、媒体によって書いてあることが正反対といってよいほど違うので、戸惑う読者も多いだろう。
 どちらが正しいかというより、立場が異なる双方が自分の見方を主張しているということだろう。背景としては、芸能界の新人の育て方という問題が横たわっているように見える。育てあげた新人が人気の出た後に辞めていくのを黙ってみていては芸能事務所は成立しない。かつては独立したタレントを業界全体で干し上げたといった話もあった。事務所としては、能年さんを国民的タレントに育てたのは自分たちだと思っている可能性があるが、能年さんにとって見れば全くそうではないのだろう。契約満了時期に能年さんがスンナリと独立できるかどうかは簡単ではないのかもしれない。
 事情はどうあれ、能年さんのようなタレントがその才能を発揮できないことになるのは残念だから、何とか双方の話しあいで解決してほしいと思う。ただ昨年に続く今回の騒動で気になるのは、芸能マスコミがほとんど事務所側の意向を伝えるのに終始してしまったことだ。今回の『週刊文春』の報道がなければ、一方的な報道が続き、6月末へ向けてさらに激しくなっていたことだろう。結果的に芸能マスコミは、事務所側の報道機関になっていたわけで、まさに芸能界の「ムラ」の構造に報道側も組み入れられている現実を、それは示したものだ。
 最後にひとつのエピソードを紹介しておこう。昨年の騒動の後、複数の週刊誌が、能年さんをプライベートな場で直撃している。そしてある週刊誌が騒動の真相を聞こうと直撃した時、能年さんはとっさに「事務所を通して下さい」と答えたという。タレントが突然、週刊誌の直撃を受けた時に条件反射のようにそう答えるのは通例だから、本人も突然の直撃に動転して、そう答えたのだろう。でも考えて見れば、その事務所と対立している説明を聞きたいというのだから、事務所を通すことはありえない。
 だから、このエピソードは考えてみれば可笑しいのだが、でも本質的でもある。事務所は本来、タレントを守るためにあるものだから、その事務所とタレントが対立した場合など想定されていない。そういう想定外の事態を、通例通り事務所側のみの情報で伝えてはいけないということも、報道する側は自覚すべきだろう。
 別にここで『週刊文春』の記事が一方的に正しいと言っているわけではない。事務所の側にも言い分はあると思う。問題なのは、芸能マスコミが事務所側の情報のみを一方的に報じてしまうという、その構造なのだと思う。(月刊『創』編集長・篠田博之「Yahoo!ニュース個人」、2016.06.06

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