なぜ日本人騎手はGⅠで勝てないのか
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なぜ日本人騎手はGⅠで勝てないのか

中央競馬の1年を締めくくるグランプリ、有馬記念が行われ、キタサンブラックが優勝した。このレースで引退するキタサンブラックは武豊が騎乗し有終の美を飾ったが、今年の競馬は「春のルメール」「秋のデムーロ」と言っても過言ではないほど、外国人騎手がGⅠを席巻。なぜ日本人騎手はGⅠで勝てないのか。

中央競馬の1年を締めくくるグランプリ、有馬記念が行われ、キタサンブラックが優勝した。このレースで引退するキタサンブラックは武豊が騎乗し有終の美を飾ったが、今年の競馬は「春のルメール」「秋のデムーロ」と言っても過言ではないほど、外国人騎手がGⅠを席巻。なぜ日本人騎手はGⅠで勝てないのか。

若手が育たない競馬界

「日本はフランスより自由」

日本人の楽しみ方はすばらしい

そしてキタサンは伝説になる

世界で勝つ条件

 かつて、日本の競馬ファンには、競馬レベルの「世界との差」を年に一度痛感するイベントがジャパンカップだった。
 月日が経って近年は、日本馬の優勝が続き、上位を独占することも珍しくない(今年もそうだ)。ホームコースの有利を措(お)くとしても、日本馬のレベルアップが著しい。日本生産馬は世界のトップレベルに追いついた。大きな理由は、バブルの時代以降の高価な海外種牡馬の輸入が成功したことだ。
 特に、社台グループが購入したかつての米国年度代表馬・サンデーサイレンスは後継種牡馬たちも含めて圧倒的な成功を収めた。同馬産駒の登場以降、日本の競馬はレースの内容が大きく変わった(最後の直線が6馬身分ぐらい速くなった)。
 もちろん、運の要素もあろうが、「馬の儲けは惜しみなく馬に」という社台グループの積極的投資が今日の日本馬のハイレベルをもたらした。
3冠馬ディープインパクトや、ステイゴールドなど
多くの名馬を輩出した大種牡馬、サンデーサイレンス
 ここ数年、複数の日本人が科学系のノーベル賞を受賞しているが、多くは1980年代前後のわが国の基礎研究に対する投資に支えられている。種牡馬も基礎研究も、大きく投資しなければ、大きな成功を望みにくい点が共通だ。
 一方、日本の馬は世界レベルに追いついたが、騎手の競争力は今ひとつだ。JRAの騎手免許を取得したミルコ・デムーロ騎手とクリストフ・ルメール騎手の技術と実績は素晴らしく、率直に言って日本人騎手、特にJRA純粋培養の大半の騎手はかなり見劣りするのが現状だ。競馬サークルで育ち、専ら仲間内で競走して土日だけ乗ればいいJRA騎手と、厳しい競争の下で世界で乗り歩く外国人騎手との競争環境の差が実力に表れているように思われる。
 日本の市場と競争環境がそこそこに心地良いものであったことが、日本の企業やビジネスパーソンの国際的な競争力の伸び悩みの一因になっているように思う。この状況はJRAの騎手を取り巻いてきた状況に似ているように思われる。
 一方、レベルアップしたわが国の馬に関しても課題がある。現在主流の座にあるサンデーサイレンス系の血を引く馬が増えすぎると、遠からず血の飽和による衰退が起こる可能性が大きい。新しい可能性(血)への継続的な投資は常に必要だ。そのためには、サンデーサイレンス系の血を世界に広げることが有効でもあり、同時に世界の競馬の進歩にとっても望ましい(半ば義務)だろう。
 広く交流し、厳しく競争することによって世界のレベルが底上げされる。競馬の世界では、そのことを今後も馬たちが教えてくれるにちがいない。もちろん、交流と競争、そして積極的な投資が必要なことは馬だけでなくビジネスパーソンも一緒である。(経済評論家・山崎元、zakzak 2016.12.01) 

来年は日本人ゼロ勝?

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