青年市長が絶望した「司法の闇」

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青年市長が絶望した「司法の闇」

全国最年少の28歳という若さで市長に当選し、その後事前収賄罪などで逮捕、起訴され有罪が確定した岐阜県美濃加茂市の前市長、藤井浩人氏がiRONNAに独占手記を寄せた。一貫して無罪を主張し、出直し市長選でも圧勝した異例づくしの経歴。青年市長はなぜ司法と闘い続けたのか。

全国最年少の28歳という若さで市長に当選し、その後事前収賄罪などで逮捕、起訴され有罪が確定した岐阜県美濃加茂市の前市長、藤井浩人氏がiRONNAに独占手記を寄せた。一貫して無罪を主張し、出直し市長選でも圧勝した異例づくしの経歴。青年市長はなぜ司法と闘い続けたのか。

政治家として再起を誓う

「虚偽供述」でつくられた冤罪

田中角栄もそうだった

危険な共犯者の自白

 一審で無罪、高裁で逆転有罪、最高裁が上告棄却で美濃加茂市の藤井浩人市長の上告を棄却しました。その結果、高裁の有罪判決(懲役1年6月、執行猶予3年)が確定することになります。この事件は、唯一共犯者とされる業者の証言によってのみ有罪が支えられる構造でした。共犯者とされる業者は有罪として実刑判決を受け、収監されています。
記者会見する岐阜県美濃加茂市長の藤井浩人被告(左)=2017年2月7日午後、東京・霞が関
記者会見する岐阜県美濃加茂市長の藤井浩人被告(左)
=2017年2月7日午後、東京・霞が関
 自ら有罪(実刑)となるのに虚偽の自白をするわけがない、裁判所は、これまでこのような発想だけで刑事裁判を運用してきました。被告人自身が捜査段階で自白している場合も同じです。公判廷において捜査段階の自白を翻(ひるがえ)すことも少なくありませんが、結局、捜査段階の自白は任意になされたというお決まりの認定により有罪判決が下ります。裁判官がこういった供述証拠にかなり依拠(依存)していることになります。これは裁判官が「自分が不利になることは言うはずがない」というドグマから抜け出せていないことになります。
 名古屋高裁は、「供述に不合理な点はない」としてその信用性を肯定したのですが、この発想ではすべてが有罪です。共犯者の自白とされるものは、そのほとんどが真実、虚偽はその一部であるという特徴が指摘されていますが、そうなると字面だけを読めば全体として「不合理な点はない」というのはむしろ当然のこととなってしまいます。共犯者の自白が危険とされる由縁です。これでは、共犯者の自白(証言)はある、しかし、それでも有罪認定して良いのかどうかという一番、重要な点がすっぽりと抜け落ちてしまうことになります。
 形式的な有罪証拠はそろっている、しかし、本当に有罪なんだろうか、被告人の主張にも筋が通っているのであれば、有罪とすべき根拠が揺らぐことになります。無罪の可能性が否定しきれなくなるからです。これこそが疑わしきは罰せずという刑事訴訟における大原則です。裁判所のような発想のままでは日本の刑事裁判でのえん罪はなくなりません。(弁護士 猪野亨のブログ 2017.12.13 一部抜粋)

国民の無関心が生み出した

「冤罪は起こりうる」と実感

先進国では7、8割

青年市長が絶望した「司法の闇」