われわれは上方から見るカメラ映像を元に、シュートの勢いとコース「だけ」を見て、「捕れそう!」と判断してしまうが、GKの目線では違う。そのコロコロのボールは、幾多の駆け引きと味方のミスが重なり、すでに大きなアドバンテージを獲得したシュートだったのだ。

 これだけの悪条件にもかかわらず、GKが驚異的な反応で止めていたら、まさしくスーパーセーブだ。その意味では、川島のプレーはスペシャルではなかったかもしれない。身長が195センチ以上あるGKならば、手が届いたかもしれない。だが、それは特別な話でしかない。

 少なくとも、この失点を「GKのミス」と断罪するのは、フェアな評価ではない。もし、このプレーで川島を責めるのなら、決定機を外したFW乾貴士や、同じく決定機を外して1得点に留まったFW大迫勇也、クリアミスした長友、ファウルを犯した長谷部も、同様に責められなければならない。

 人は叩きやすいものを叩く。サッカーではそれがGKにあたる。

 なぜ、筆者がこのシーンを取り上げたのか。それは、GKに対する「不当な炎上」が、日本のGKの成長を妨げる要因になっているからだ。

 川島永嗣。特にこのタイプのGKは、日本では評価されにくい。

 彼のスタイルは、ボールに対してアグレッシブに向かうことが信条だ。シュートだけでなく、クロスやスルーパスに対しても積極的にアクションを起こす。その結果、飛び出したプレーでミスが起きることは避けられず、「隙が多いGK」のイメージが刷り込まれる。

日本―コロンビア 前半、同点ゴールを許すGK川島
=サランスク(共同)
 しかし、実は世界的に、GKのトレンドは川島と同じ方向に進んでいる。いや、正確に言えば、GKの最高峰となるトレンドを、川島が必死に追いかけているのである。例えば、ドイツ代表GKマヌエル・ノイアーを筆頭に、より多くのシーンでアグレッシブにアクションを起こし、広い守備範囲でGKの存在感を高めている。セービングも含め、ボールを待つのではなく、向かっていくGK。それが一流の舞台では当たり前になっているのである。

 アグレッシブじゃないGKは、ミスが少ない安定したGKに見えるかもしれない。当然だろう。チャレンジの機会が少ないのだから。相手がフリーでクロスを受け、シュートを打ち、それがズバンと隅に決まったとする。GKとしてはノーチャンスか? …いや、果たしてそうだろうか。

 打たれる前に、飛び出してクロスをキャッチできる可能性はなかったのか。そのレベルをGKが目指せば、結果としてミスが増えるのは当然である。日本代表の親善試合で川島のミスが増えるのは、彼がチーム連係の中で、アグレッシブに行けるギリギリのラインを見定めようとしているからだ。