大規模震災時に被害をこうむるのは家屋だけではない。警察・消防署、病院も、マンション管理会社も被災する。だからこそ救援不在時に慌てない、住民の連帯と自主防災、3日間の備蓄品整備が重要だ。

 香川県高松市に本社を置くマンション管理会社大手の「あなぶきハウジングサービス」(以下、あなぶき)。グループの総管理戸数は11万戸超と西日本最大級を誇り、その数字は現在進行形で増加している。

 あなぶきが他の管理会社と大きく違うのは、マンションの管理員を教育する香川県認定職業訓練・体験型研修施設「あなぶきPMアカデミー」をもつこと。また、ほとんどの管理会社が社外委託する緊急時のコールセンターを、同施設内に24時間365日体制で開設していることだ。

 あなぶき興産が展開する分譲マンション事業「アルファ」ブランドでは、カセットボンベを動源とする発電機をはじめ、飲料水・非常食などの備蓄グッズを完備した防災倉庫や、オプションで据え付け可能な家庭用備蓄庫「A.N. D BOX」、災害積立金制度までついた防災型マンションが好評だという。

 消防署の協力を得て、あなぶきハウジングサービス主催の防災訓練も定期的に行われている。防災を熟知するPMアカデミー館長で、防災士の資格も有する藤原剛志さんはこう語る。

「マンションは鉄筋をコンクリートで覆った堅牢な建築物のため、大地震でも比較的被害を受けにくいと考えられています。しかし、2011年の東日本大震災において、仙台市内の約1400棟の分譲マンションはいずれも倒壊には至らなかったものの、100棟以上が全壊の罹災判定を受けるなど、建物や付帯設備に大きな被害が発生しました。

 梁がどんなに頑丈でも、耐震補強されていない壁や床は崩れます。排水管やガス管、貯水槽などが老朽して破損したら、ライフラインが復旧しても生活は成り立ちません。災害が起きる前に、住民みんなで自分のマンションの現状を把握する機会を持ち、必要ならば修繕も考慮する。そして防災、あるいは“減災”の訓練をしておかれること。また、個人とマンションの管理組合両方で防災用備蓄を整備する…。そんな自主防災のサポートを全力でさせていただくのが、私ども管理会社の使命と思っております」
※画像はイメージです(iStock)
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 自分が住むマンションの警報器がどこにあり、どう止めるか、あるいは防火扉の破り方を知っているだろうか? 貯水槽や排水管の内部を見たことがあるだろうか?

「あなぶきPMアカデミー」は、マンション管理員のための職業訓練カリキュラムを行う研修施設。受講者は、マンションの構造から防災のノウハウ、共用スペースの清掃のテクニックまで、管理員に必要な知識を1泊2日で学ぶ。

 あなぶき興産のマンション管理員は言わずもがなだが、研修生の約4割は他のマンションブランドからの派遣。また、あなぶきが“減災イベント”と呼ぶ災害時に備えた体験イベントは、マンション住民で組織する管理組合のかたがたと一緒に行う。海外の専門家の視察・研修も頻繁に行われる。実際に消火器を使ったり、防火扉を足で蹴り破ってみたりと、防災を直に体験できることも魅力だ。

「防災マンションや高齢者用住宅の展示もあるため、見学後、マンションのリフォームに踏み切る管理組合さんも結構いらっしゃいます」(藤原さん)。

 コールセンターの設備を確認するにいたって、初めて管理会社本来の役割を認識したと、驚く人も多いという。

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