筆者らが過去に行った実験でも、幅1・2メートル、高さ1・8メートルの本棚に本をいっぱいに詰め込むと総重量は180キロになった。このような本棚の下敷きになると甚大な被害が生じる。

 では、対策を考えたい。補強や固定は基本だが、すぐにでもできる対策もある。子供に関しては通学路沿いの塀を点検し、遠回りになっても安全な広い道を選ぶことや、大人同伴での通学が推奨される。

 高齢者に関しては、日常的な散歩道や通院経路の点検なども必要だが、早朝などの散歩中に地震が発生した際に周囲に目撃者がいないと発見が遅れる可能性もある。阪神・淡路大震災では倒壊家屋の下敷きとなった場合は家族や近隣住民が所在を把握していると、比較的早めに救助を要請できたが、倒れた塀の下敷きとなり、その塀の上に瓦礫などが重なって、著しく発見が遅れた例もあった。

 人気のない時間帯や街路はできるだけ避け、いざという時も速やかな救助に繋がるような心がけが必要である。

 ただ、ブロック塀以外にも注意が必要な物は多い。01年の芸予地震では、住宅の外壁とベランダの下敷きになり、それぞれ死者が発生している。07年の能登半島地震では石灯籠の下敷きになり死者が発生している。住宅の耐震化や家具固定への関心は高いが、附属物・工作物も時には命を奪うということを改めて認識する必要がある。

 ちなみに府民の「ブロック塀を点検し、倒壊を防止している」の実施率は3・8%(09年8月・大阪府)と低く、ブロック塀の倒壊リスクの認知と対策の実施が課題だ。また、敷地内外の見通しがきかないブロック塀は防犯上の観点からも見直す余地はある。
校門前の献花台で手を合わせる浜田剛史・高槻市長=2018年6月21日、大阪府高槻市の市立寿栄小学校
校門前の献花台で手を合わせる浜田剛史・高槻市長=2018年6月21日、大阪府高槻市の市立寿栄小学校
 今回の地震は、大阪では観測史上初の震度6弱を記録した。尊い命が奪われ、多くの住民が傷を負い、都市型災害の防災上の課題が露呈した。地震発生から時間が経っておらず、これから明らかになる課題もあると思うが、災害経験が少ないとされる府民の防災意識の低さも課題である。

 23年前の阪神・淡路大震災を記憶している府民も多いはずだが、「家具転倒の防止」実施率は15・2%(17年7月・大阪府)で、全国平均の40・6%(17年9月・内閣府)を大きく下回っている。

 ちなみに東京都は57・6%(17年3月・東京都)だ。その他の防災対策の実施率も大阪は、全国平均を下回っているものが多い。発生が懸念される上町断層帯地震あるいは南海トラフ巨大地震による被害を低減するために、高密度にヒトとモノが集積する都市空間の災害リスクを府民が認識し、対策を始めることが望まれる。