河治良幸(サッカージャーナリスト)

 優勝候補のフランスが南米のペルーを相手に、難しい戦いを強いられながらも、19歳の新鋭FWムバッペが挙げたW杯代表最年少ゴールを守りきり、オーストリア戦に次いで連勝。勝ち点6としてグループリーグ突破を確定させた。

 前半34分、中盤でボールを奪ったMFポグバを起点に長身FWジルーが仕掛け、ディフェンスにスライディングされながらもボールを折り返すと、そこにムバッペが飛び込んで合わせた。

 早い時間帯にリードを奪ったとはいえ、ボール保持率が43%とペルーを大きく下回ったフランスの試合展開に、デシャン監督も「なかなかボールを持てなかった」と認めざるを得なかった。それでも、DFバランとDFウンティティのセンターバック2人とGKロリスが慌てることなくペルーの攻撃に対処できていたのは、バランスの取れた組織に加え、中盤である選手のディフェンスが非常に効果的だったためだ。

 エンゴロ・カンテ。現在はイングランドのチェルシーに所属しているが、2015-2016シーズンには岡崎慎司とともにレスター・シティで奇跡的なプレミアリーグ優勝の立役者となった。そこからチェルシーで戦術眼を磨き、世界トップクラスのMFの一人と認められる選手だ。そのカンテにとっても初のW杯となるが、全く臆することなく持ち味を発揮して、エンジンがかかり切らないフランスを幅広く支えている。

 そのカンテは「4-4-2」のフォーメーションで、ボランチを大型MFのポグバとともに務める。主にカバーリングを担当しながら、機を見て前での守備にも参加する。天才肌のポグバが持ち場を離れて周囲に絡めば、中盤の底を1人で守りながら危険の芽を摘んでいくという役割だ。
ペルー戦で競り合うフランスのカンテ(右)=エカテリンブルク(タス=共同)
ペルー戦で競り合うフランスのカンテ(右)=エカテリンブルク(タス=共同)
 攻撃に回れば、シンプルにボールをさばくだけでなく、前に持ち出して相手のプレッシャーを吸収して、前を向いたサイドの選手に正確なパスを通すように、カンテが単なる守備的MFではないことは明らかである。実際、この日のフランスが作り出した、そう多くはないチャンスの大半に、カンテが起点や中継点として絡んでいる。

 そうでありながらも、カンテが際立つのは、やはり守備での研ぎ澄まされたポジショニングと、ボール保持者へ的確にチェックしていくディフェンスだ。