小澤一郎(サッカージャーナリスト)
 
 試合前の会見で西野朗監督が「肉体的な強さや速さだけでなく、非常にチームがオーガナイズされている」と話した通り、初戦でポーランドを撃破した今大会のセネガルは、規律や戦術がしっかりと落とし込まれた好チームだ。

 そのセネガルとの戦いは初戦のコロンビア以上に苦しい劣勢が予想されたが、この日の日本は11対11という数的同数の90分を勇敢かつ攻撃的に戦うことで、勝ち点1という確かな結果と、さらなる自信を得ることに成功した。

 コロンビア戦と同じスタメンをリピートした日本に対して、セネガルは明らかに日本の中盤センターを警戒した「4−1−4−1」のシステムを採用。日本がボール保持時にキーマンとなる長谷部誠、柴崎岳、香川真司に対して、マンツーマン対応がしやすい配置を敷いてきた。

 2−2のドローという結果だったが、西野監督や日本の選手から「勝ちきりたかった」、「勝てる内容だった」というコメント、感想が次々と出てきた。セネガルが常にスコアで先行する展開だったとはいえ、90分トータルでは内容面で日本が上回っていたといえる試合となった。

 その最大の要因はセネガルを混乱に陥れた日本の「多様性あるビルドアップ」にある。日本対策をしっかりと練ってきたセネガルのシセ監督は、長谷部が2人のセンターバック(CB)の間に降りて3枚ビルドアップの形を作った時、インサイドハーフのバドゥ・エンディアイェを前線に押し出しFWエムバイェ・ニアンと2枚で前線のファーストプレスを形成する守備を準備してきた。

 おそらく、セネガルのスタメン(4−1−4−1を予想できる人選)を見た日本は、長谷部が2CB間に降りる一つの形だけでは通用しないことを悟っていたはず。だからこそ、長谷部と柴崎の役割を入れ替えたり、トップ下から香川がDFラインに降りてくる異なる形を序盤から繰り出したりして、セネガルの守備、特に中盤の選手を混乱に陥れた。
日本対セネガル戦でゴールを決める乾貴士=2018年6月24日、ロシア・エカテリンブルク(撮影・中井誠)
日本対セネガル戦でゴールを決める乾貴士=2018年6月24日、ロシア・エカテリンブルク(撮影・中井誠)
 それと同時に酒井宏樹と長友佑都の両サイドバック(SB)が高い位置を取り、サイドハーフの乾貴士と原口元気が中央寄りにポジションを取ることで、セネガルの守備を前線の2人とそれ以外のフィールド8人に分断した。結果、日本はノーストレスで「ボール保持→前進」という攻撃の2段階を実行することに成功したのだ。