ディフェンスは、どこでプレスをかけ、どこでボールを奪うのか、という狙いどころについての意識を全員が共有しており不安視されていたセカンドボールの攻防でも負けてはいなかった。アフリカのチーム特有の個々の身体能力の凄さに、日本は、グループや連携という“和の力”で対峙した。ワールドカップという舞台で、日本らしさを見事に表現した意義は大きいだろう。

 ただセネガルのチームコンディションはよくなかった。そのスピードと畳み掛けるような攻撃力に目が眩んだのは最初の15分までだった。中4日の間のリカバリーに問題があったのだろうが彼らは日本を舐めてかかっていたのかもしれない。

 ワールドカップの2試合で4得点。これまでが嘘のように得点力がアップした理由のひとつが柴崎の存在にある。アイデアにあふれた縦パスを軸にした彼のゲームメイク力だ。落ち着き、ピッチ全体を俯瞰で見て、プランを練ることができる。最初の同点を演出したのも彼のディフェンスの裏を狙ったロングボール。
 
 日本代表の合宿地のカザンで彼を取材したとき、「セネガル戦は僕の出来が勝敗を分ける」と断言していた。それは、スペインでプレーしてきた彼の自負のようなものであり、ピッチ上での覚悟だと感じた。それが勇気のいる縦パスを生みだす背景なのだろう。
前半、セネガルの選手と競り合う大迫勇也=2018年6月、ロシア・エカテリンブルク(甘利慈撮影)
前半、セネガルの選手と競り合う大迫勇也=2018年6月、ロシア・エカテリンブルク(甘利慈撮影)
 だが、勝てる試合に勝てなかった理由は、最後の詰めのところでの精度不足がある。乾の一撃は、ゴールポストに嫌われ、大迫もゴール前での決定的なチャンスを逃している。まだ決定力不足が解消できたとは言い難い。彼らが、真のストライカーと呼ばれるためには、あそこを決めきる精度が求められる。

 グループHのもう1試合、ポーランド対コロンビアは、日本に金星を与えたコロンビアが3-0で圧勝した。このグループでFIFAランキング最上位にあったポーランドの敗退が決まった。日本が28日に戦う第3戦の相手は、そのポーランドである。もうポーランドにはモチベーションがなくなり抜け殻になったチームだと考えるのは間違っている。ここは4年に一度のワールドカップなのだ。

 おそらくポーランドはメンバーを変えてくるだろうが、激戦区のヨーロッパを勝ち抜いてきたチームのプライドを持って必ず1勝を取りにくる。日本は引き分けでも決勝トーナメントへ進出できるが楽観論は捨ててかかった方がいい。