小澤一郎(サッカージャーナリスト)

 誰も予想できなかった結末、試合となった。前回ブラジル大会の王者ドイツがアディショナルタイムに2点を奪われ、0-2で韓国に敗れ、史上初となるグループリーグ敗退が決まった。

 確かに2010年南アフリカ大会優勝のスペイン、2006年ドイツ大会優勝のイタリアと、過去2大会連続でW杯王者がグループリーグ敗退を喫しており、連覇どころかディフェンディングチャンピオンがグループリーグを突破することすら「鬼門」となっていたのが近年のW杯だった。

 ドイツは、初戦でメキシコ戦に敗れたとはいえ、第2戦のスウェーデン戦ではアディショナルタイムでの決勝弾で2-1と逆転勝利を収めていた。「さすがに敗退はないだろう」という希望的観測が広がっていた矢先の出来事だけに、世界中に衝撃が走った。

 ましてや、対戦相手の韓国はすでに2敗でグループリーグ敗退が決まっていたチームだ。そうした状況の相手に勝てば、決勝トーナメント進出が見えてくるドイツ。実際、試合終盤も、同時開催の試合でスウェーデンがメキシコに着々と得点を重ねたことで「1-0で勝てば自力で決勝トーナメント進出」となっていた状況での自滅である。事態は深刻だ。

 ドイツの敗退を分析する前に、アジア勢として大金星を挙げた韓国をまずは讃えたい。強豪ぞろいのグループとはいえ、連敗であっさりとグループリーグ敗退となりながらも、申台竜(シン・テヨン)監督率いるチームはエースのFW孫興民(ソン・フンミン)を中心に勝利を目指して、貪欲かつ真摯(しんし)に戦った。

 このドイツ戦は3戦で1番ファウル数の少ない16とはなったが、3戦での累計ファウル数は「63」。イエローカードの枚数も「10」と、まだグループリーグ終了とはなっていないが暫定でどちらの数も出場32カ国でワーストワンという不名誉な数字(記録)をたたき出している。
ドイツ戦の前半、激しく競り合う韓国の鄭又栄(上)=カザン(共同)
ドイツ戦の前半、激しく競り合う韓国の鄭又栄(上)=2018年6月27日、カザン(共同)
 それゆえに、相手チームや韓国国内からも「ラフプレーが多い」という批判が大会中に出ていた。確かに、このドイツ戦においても球際での厳しさを各選手が求めるあまり、序盤からアフター気味のファウルとイエローカードが出ていた。

 ただし、気持ちで球際の勝負に挑んでいくスタイルは、韓国サッカーが持つデメリットでありメリットでもある。少なくとも、このドイツ戦に臨んだ韓国選手のメンタルは、過剰に熱くなり過ぎることなく冷静にファイトできていた。W杯のみならず、世界のサッカー史に間違いなく1ページを刻むことになった「ドイツの史上初W杯グループリーグ敗退」の相手が韓国であったことは、同じアジア勢として誇りに思う。