前半は日本のペースにも思われたが、後半開始にアクシデントが起こる。前線で鋭い動き出しを見せていた岡崎が後半開始早々ピッチに座り込んだのだ。

 ここで2試合スタメンだったFW大迫勇也に代わるが、日本は徐々に間延びが目立つようになり、ポーランドのシンプルで力強いロングボールやクロス、セカンドボールに後手の対応を強いられるようになる。そして後半14分、山口の接触で与えたフリーキックから、DFクルザワが左足で放ったボールを長身DFのベドナレクに右足で合わされる。それまで安定したセーブを見せていた川島も止められなかった。

 疲労感がさらに強くなっていく日本。後半20分から宇佐美に代わって入ったMF乾貴士がカットインからシュートを放つが、ゴール右外に外れた。逆に日本のペースダウンを待っていたかのようにカウンターの鋭さを増すポーランドは後半29分、自陣でボールをカットしたMFクリホビアクから縦パスをMFジエリンスキが受けて右サイドに展開すると、右ワイドからMFグロシツキがクロス。そこにレバンドフスキが勢いよく飛び込んで合わせた。完璧にやられた形だったが、ボールは大きくクロスバーを越えた。

 そして後半19分、いつ失点してもおかしくない状況の中で、コロンビアのDFジェリー・ミナがセネガルから得点したという情報が入り、会場が騒然とする。

 もし、そのまま日本が0-1で敗れても、他会場の結果がそのままであれば、セネガルと勝ち点、得失点が並び、今大会から適用されたフェアプレーポイント(イエローカード、レッドカードの数でポイントが増え、少ない方が有利となる)により日本が決勝トーナメント進出を決める。ここで西野監督は大きな賭けに出たのである。
日本対ポーランド後半攻め上がる、長谷部誠=2018年6月28日、ロシア・ボルゴグラード(撮影・中井誠)
日本対ポーランド後半攻め上がる、長谷部誠=2018年6月28日、ロシア・ボルゴグラード(撮影・中井誠)
 武藤に代えて、MF長谷部誠を投入した。指揮官の意を汲んだキャプテンはピッチの選手たちに状況と方針を伝え、自陣でのボール回しに入ると最初はプレッシャーをかけてきたポーランドもやがて追わなくなった。会場からは大ブーイングが起き、試合終了を待たずに立ち去る観客が増える中で0-1のまま試合を終えると、コロンビア対セネガルの結果を聞いた選手たちは安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 「ゲームの敗戦を考えれば、これは(次の)ステージに上がれたというところだけですかね、救いは」
 
 西野監督はそう語ったが、確かに次のステージへの道はつながった。

 相手はイングランドを破り、G組で堂々の首位通過を果たしたFIFAランク3位のベルギーだ。61位の日本がこの舞台で挑むには強大な相手だが、すでに日本代表に失うものはない。総力戦で史上初のベスト8進出にチャレンジする。