2018年07月02日 13:39 公開

開催中のサッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会で韓国が強豪ドイツを下したことでメキシコが決勝トーナメントに進出した際、米国のスペイン語放送局テレムンド(NBC系列、本拠地・マイアミ)のアナウンー2人が人種差別的なしぐさを放送中にしたと、謹慎処分を受けた。

6月27日の1次リーグ最終戦で韓国が2-0で前回優勝のドイツを下した。初戦でメキシコ相手にも0-1で敗れていたドイツは、1938年以来初めて、決勝トーナメント進出を逃した。

テレムンドの番組では、メキシコの決勝トーナメント進出を祝うアナウンサーや出演者が、東洋人の目を真似するしぐさとして目尻を斜め上に引っ張り上げて見せた。

複数のメキシコ・サポーターも、ツイッターなどに同じしぐさの写真を投稿していた。韓国に感謝するためのポーズだったとみられる。

ソーシャルメディアではこれに対して、人種差別的だと批判する声が相次ぎ、多くのメキシコ人が謝っている。

ツイッター利用者のミゲル・ヘルナンデスさんは、テレムンドに宛てたツイートで、「左側にいるこいつ、誰か知らないが、放送中に人種差別をしたので、即刻解雇すべきだ。誰かがラテン系に対して人種差別的なことを言ったり、そういうしぐさをしたら、自分たちは一気に怒って反発するはず。これも一緒だ。#人種差別反対」と書いた。

https://twitter.com/Techivist/status/1012028237415776256


ジミー・サンチェスさんはテレムンドにあてて、「放送中に司会者に人種差別的なしぐさをさせないでください」とツイートした。

https://twitter.com/JimmyJam99/status/1012017427054333953


韓国は1次リーグで敗退したが、メキシコ人の多くは韓国がドイツを下したおかげで、自国チームが2位通過できたと喜んだ。首都メキシコシティでは数百人が韓国大使館前に集まり、大使館職員や総領事と祝いあった。

ただし、メキシコのサポーターの一部が、つり目にする仕草で感謝の気持ちを伝えたため、韓国サポーターたちは「#racialdiscrimination(人種差別)」のハッシュタグを使い、そのしぐさは東洋人への侮蔑的表現だと指摘するなど、不満をあらわにした。

ツイッターでは、「(メキシコ人は)私たちが大好きだと、私たちは兄弟だと言っておきながら、これはなんなのか……。これは人種差別的なしぐさだと知っててやってると聞いたけど」と書く人もいた。

韓国人は「人種差別をするような兄弟はいらない」と書く人もいた

一方で、ミロさんは「メキシコ人のみんな、お願いだ、韓国チームに感謝の気持ちを伝えたいなら、相手に敬意を示してくれ。こんな真似の写真を投稿するな。これは人種差別的だと言われてるんだから。このような態度について謝ります。メキシコ人の全てがこうではないので。#韓国ありがとう #尊敬 #祝」とツイートした。

https://twitter.com/Marshal014/status/1012324302744678401

フロリダ州マイアミを拠点とするテレムンドは、米国内のメキシコ系を含むヒスパニック系住民に向けてスペイン語で放送する。

ツイッターでは大勢が、米国内で差別対象となるヒスパニック系住民を対象にした放送局なのだから、他の少数者にももっと配慮すべきだと指摘していた。

これに対して、しぐさそのものは不謹慎だが、メキシコ人の多くは差別的だと知らずにやったことだと理解を示す人もいた。

「@patoworld」さんは韓国語で、「みんな差別的だと知らないでやっていたんだ。にっこり笑って、どういう意味か教えてあげればいい。悪意がないなら、いちいち怒らなくてもいい」と書いた。

批判を受けて、つり目写真を投稿していたメキシコ人の多くが、投稿を削除した。

テレムンドは謝罪

米NBCに所属するテレムンドは、問題となったつり目しぐさをした2人のアナウンサー、ジェイムズ・タッハンとジャニス・ベンコスメ両氏について「非常に遺憾」だというコメントを発表した

「このような不適切行動は、我々の価値観や基準にもとるもので、深刻に受け止めている」とテレムンドは述べ、アナウンサー2人を「無期限の謹慎処分」にしたと明らかにした。

タッハン氏はツイッターで謝罪し、「アジア人コミュニティーに対して不適切で思いやりの足りないしぐさをした」、「不快に思った全ての人に謝りたい」と書いた。

同性愛嫌悪と人種差別

ワールドカップ会場ではこれまでにも、メキシコ・サポーターたちが同性愛者を侮辱する表現を、集団で叫び続けるなどの騒ぎがあり、国際サッカー連盟(FIFA)は事実関係の調査に乗り出している。調査結果次第では、何らかの処分もあり得るという。

メキシコと同じ中南米のアルゼンチンからは、サッカー界の伝説的選手だったディエゴ・マラドーナ氏が、大会会場でアジア人のサポーターに人種差別的しぐさをしたといわれた。その様子を示す写真も動画もないが、マラドーナ氏は後にフェイスブックで謝罪し、「アルゼンチンのTシャツを着たアジア人の男の子がいたので、遠くから、アジアの人たちまで自分たちを応援してくれるのは、なんて素敵なんだと伝えようとしただけ。それだけだよ、みんな、本当にまったく」と書いた。


<解説> 「不快と怒り」――ミンジ・リー、BBCニュース・コリア(ソウル)

目を斜めに引っ張り上げるつり目の仕草は、韓国人にとってはおなじみのものだ。テレムンドの件は、よくある話の最新版だ。テレムンドは速やかに反応したが、韓国人の間では全般的に、同じようなことが何度となく繰り返されることへの不快感と怒りが混ざり合っている。そして、食い止めようにもなす術がないことに、無力感を感じている。

誰かが人種差別的なしぐさをして、地元で批判の声が上がる。この繰り返しだ。繰り返していく過程で、どのしぐさが差別的でどれがそうではないのか、人は学んでいくのだろうか。

メキシコと、中南米全般で、一部の人はこういうことは間違いだと認めて謝ったようだ。その一方で今回のことを機に、一部の韓国人も自分の言動を振り返っている。

そのうちの1人はツイッターで、「(メキシコ人の)しぐさが人種差別だと言うのはOK。でもそこに留まらず、(メキシコ人に向かって)『米国にも見下されてるのに』などと言い出したりしたら、自分も人種差別をする側になったということ」と書いた。


(英語記事 Mexico and South Korea World Cup celebrations soured by racist gestures