昔から失言は誰でもしてきたし、それによって報いを受けてきた。インターネットやSNSの発達に伴って、失言どころか、気に入らない主張に与したというだけで、その発言主を徹底的に糾弾してよいと考えて行動する人たちが目立ってきた。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、通報扇動家たちの存在と、それへの対処について考えた。

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「ネットで非常識/人でなし発言をした者は勤務先・通学先に一斉通報を扇動!」というネットの伝統芸がまたもや出てきて呆れている。具体名は挙げないが、「高度プロフェッショナル制度(高プロ)賛成」「過労死する人も自己責任の面もある」的なことをツイートした某社社員が炎上した。

 会員制物販サービスを提供している会社なのだが、これらの発言によってネットで発生するのが退会扇動、運営会社への抗議呼びかけ、解雇要求、不買運動である。

 この意見の是非はさておき、とある個人がネットで発言したことにより不快な気持ちになったり、怒りを覚えたからといってその組織を攻撃することこそ正義の行為、的考え方はいい加減やめないか。

 不買運動を呼びかけるような対象というものは、世間に対して有益なサービス・商品を提供しているわけだから、一人の関係者による“不適切発言”があったからといっていちいちその組織を追い込むよう呼びかけるのは公共の利点を考えると誤りである。
※画像はイメージです(iStock)
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 問題のある人間が勤務する(した)会社に対して「なんであんな奴を雇ったんだ!」とクレームが殺到する時代ではあるが、人事からすれば「そんなの見抜けるかよ! ヤバい奴だと面接段階で分かる機械をお前が作ってくれたら買ってやるから営業妨害やめろ! もう、朝から電話が鳴りやまずに仕事にならねぇんだよ!」や「有能だから雇ってるんだ。人の会社の経営に口出しするんじゃねぇ」と言いたくなるだろう。