経済全体で「お金」は、政府が財政政策という形で、日本銀行が金融政策という形で、われわれに与えてくれる。ところが、この財政政策と金融政策がうまくいかないと、経済不況は長期化し、雇用面で問題を生み出してしまう。

 実際に、ロスジェネ世代の誕生と長期停滞は切り離せない関係にあった。日本の雇用社会は大きく三つの構成要素をもっている。正規従業員からなる層、非正規従業員からなる層、そして求職意欲喪失者の層である。

 求職意欲喪失者は、働こうと思って職を探していても見つからないために雇用市場から退出した人たちを指している。一方で、この三層のうち、最も雇用社会で交渉力が相対的に強いのが、すでに企業で正規の職についている人たちの層である。ただ、長期停滞が続くと、正規層もリストラなどに遭遇する確率が飛躍的に増加する。

 だが「就職氷河期」という名称通り、経営者との交渉力の劣る新卒者など若年層の雇用が最もわりを食うことになる。あるいは職を得ても不安定な非正規雇用層や、求職意欲喪失者層にやむなく入った人たちも実に多かったろう。

 非正規雇用の増加とそれに伴う経済格差拡大の「象徴」としてロスジェネ世代が取り上げられることを、今日でもしばしば見かける。40代の給与減少の報道もその関連で行われたのかもしれない。

 だが、10年前に比べると、ロスジェネ世代の雇用状況はかなり改善している。失業率の低下はすでに説明した通りだ。ここでは正規雇用者数と非正規雇用者数の変化をみてみよう。

 まず、筆者が『雇用大崩壊』を出版した2009年、ロスジェネ世代の雇用状況をみると、男性の正規雇用は599万人、非正規は90万人だった。女性の正規は303万人、非正規は219万人であった。
写真はイメージです(iStock)
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 ロスジェネ世代は、今やだいたい35歳から44歳になっている。この世代を2018年4月と5月の平均値で考えると、男性の正規は649万人で、09年に比べて50万人増加し、非正規は24万人減少して66万人になっている。一方、女性の正規は290万人で、09年に比べて13万人減少し、非正規は88万人増加して306万人となっている。