日本をその状況に引きずり込んだのは、パワープレーだった。後半、ベルギーはMFマルアン・フェライニを投入し、コーナーキックを起点に空中戦から2点を挙げ、同点に追いついた。

 日本は単純に高さが足りないと言ってしまえば、それまでだが、あまりにもゴールに近い位置で何度もパワープレーを受けすぎた。日本がやられるとしたらこの形以外になかったが、それにしても、その形を作らせすぎた。

 この素晴らしいパフォーマンスを見せた日本代表は、「高さ」をキーワードに改革を始めるわけにはいかない。全てが瓦解(がかい)してしまう。日本の良さを生かした上で、なおかつベルギーのパワープレーを防ぐためには-。ペナルティーエリアの外で勝負するしかない。押し込まれないように、ディフェンスラインをいかに高く保つか。

 もっと体力があれば、走ってボールにプレッシャーをかけ、ベルギーの前進を止められたかもしれない。しかし、この過密日程の中で、ファーストチームしか出来上がっていない正味2カ月の西野ジャパンでは、これが限界だった。

 また、主力のパターンが一つしかないため、一部の選手に疲労が集中する。DF酒井宏樹が足をつったり、MF柴崎岳が「ちょっと身体が重かった」とポーランド戦に続いて語るなど、インスタント・チームの難点が出ていた。

日本―ベルギー 後半、同点ゴールを
決めるベルギーのフェライニ(中央)=ロストフナドヌー(共同)
 もっと戦術が複数パターンあれば、フェライニの投入に対し、DFの槙野智章や植田直通を入れて、対抗力を高める采配もあり得た。だが、親善試合からここまで、パワープレーにさらされた展開はなく、西野ジャパンとしての経験値が足りない。

 試合の流れを変える交代カードも、バリエーションがなかった。やはり、インスタント・チームの弊害が出ている。

 あるいは技術があれば、ボールをさらに保持できたかもしれない。ポゼッション率(支配率)はベルギーが56%で、日本は44%にとどまった。これでは押し込まれるのも無理はない。