2018年07月05日 14:30 公開

ヒラリー・アンダーソン BBC「パノラマ」

ソーシャルメディア各社は収益をさらに上げようと意図的にユーザーを中毒状態にしようとしている――。BBCの調査報道番組「パノラマ」が取材した米シリコンバレー関係者の証言で明らかになった。

「彼らは行動科学的なコカインを画面にばらまいているようなもので、何度も見たくなるようになるのはそのせいだ」。米モジラやジョウボーンで勤務した経験があるエイザ・ラスキン氏はこう話す。

「スマートフォンの画面の裏側には、はまりやすさを極限まで高めようとする技術者が文字通り1000人いる」

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自分自身も有力な技術者のラスキン氏は、2006年に「無限スクロール」機能を開発した。現在では多くのアプリで使われ、非常に習慣性が高いと言われる機能だ。ラスキン氏は当時、コンピューターのユーザー・インタフェースに関するコンサルタント会社、ヒューマナイズドに務めていた。

無限スクロールは、ユーザーがクリックをせずに画面を下へスクロールすると次々と新たなコンテンツが表示される機能。「衝動の早さに脳がついていけないようにすれば、スクロールをずっと続けてしまう」とラスキン氏は語る。

ラスキン氏は、技術革新がユーザーたちに必要以上にスマートフォンの画面を見つめ続けるよう仕向けたと指摘。ユーザーを中毒状態にしようと思って開発に取り組んだのではないが、今は罪悪感があるという。

しかし、多くのエンジニアは雇用主の大企業のビジネスモデルによって、アプリに病みつきになるような機能を創り出すよう求められているとラスキン氏は指摘する。

「新たな投資を獲得し、自社の株価を上げるため、人々が自社アプリで過ごす時間を増やすことが必要だ。だから、それだけそれに力を注げば、人々が病みつきになる新たな方法を創り出そうとするようになる」

時間のロス

フェイスブックの社員だったサンディ・パラキラス氏は2012年に同社を退社した後、フェイスブックを使うのをやめようとしたと話す。「ソーシャルメディアはスロットマシーンとかなり似ている」とパラキラス氏は話す。「文字通り、禁煙しようとするのと同じ感覚だった」。

フェイスブックで勤務した1年5カ月間、同僚たちも同様に中毒性の可能性を口にしていたという。

「プロダクトに習慣性や中毒性があるという事実が社内で認識されていたのは確か」と同氏は語る。

「ユーザーに愛着感を持ってもらい、ユーザーの生活の中から時間をできる限り獲得し、その上でユーザーから得ている関心を広告主に売るというのが、ビジネスモデルだ」

フェイスブックはBBCの取材に対し、自社のサービスは「人々が友人たちや家族、関心のあるものとのつながりを強められる」よう設計されているとし、「何か中毒性を持たせようとする要素は、どの過程においても存在しない」と述べた。

「いいね」の影響力

ユーザーたちがソーシャルメディアに最もひきつけられることの一つが、サムズアップやハートのサイン、リツイートの形で表現される「いいね」だ。

フェイスブックの「いいね!」ボタンの共同発明者、リア・パールマン氏は、フェイスブックにはまった理由に、「いいね!」の数に自尊心が依存するようになった点があると話す。

「承認欲求が強くなったときにフェイスブックを開いて見るようになった」とパールマン氏は語った。「さみしい気分だったら『スマートフォンを見てみよう』と、不安な気分だったら『スマホを見てみよう』という感じだった」。

パールマン氏はフェイスブックを退社した後、フェイスブックの使用をやめるのを試みたという。

「以前と同じようなものを投稿しても、『いいね!』の数が前よりずっと少なくなったことに気がついた。本当のところ周囲の反応に病みつきのようになっていたと、突然思った」

影響を受けやすいティーン

複数の研究で、うつや孤独感をはじめ多くの精神的な問題とソーシャルメディアの過剰な使用との関係が指摘されている。

英国では、ティーンがスマホを使う時間は週平均約18時間で、その大半がソーシャルメディアだ。

パールマン氏は、ソーシャルメディアがトラブルの元になっていると思う若者は使用をやめることを検討すべきだと語る。

「まず言いたいのは、一部のティーンたちが率先してやり方を変えれば、他の人が後に続く助けになるということ」

フェイスブックの初代社長、ショーン・パーカー氏は昨年、同社が最初からユーザーの時間をできるだけ多く獲得することを目指していたと明らかにした。

パーカー氏は、同社が「人間の心理の弱点につけ込んでいる」と語った。「投資家たちははっきり認識していたし、我々はそれでもやった」。

しかし、パールマン氏は「いいね!」ボタンに中毒性を持たせる意図はなかったと語る。さらに、ソーシャルメディアは多の人に多くの恩恵をもたらしていると付け加えた。

当初からフェイスブックに人々を病みつきにさせようという意図があったというパーカー氏の主張についてBBCの取材を受けた同社幹部、アイメ・アーチボング氏は、現在調査を進めていると語った。

「第三者的立場の人たちと一緒に、我々のプラットフォームが習慣性のある行動を促しているのか、それともインターネットの広範囲でそうなのか調べている。人々に害を及ぼすと思われる要素があるのか理解しようとしている。それによって問題を取り除き、人々が安全でいられるようにするための投資ができるようにする」

米メディアのテッククランチは先月、フェイスブックが、同社アプリで過去7日間にどの程度時間を過ごしたのかを表示し、1日ごとの使用時間を制限する機能の開発に取り組んでいると報じた。

パノラマの番組では、色彩や音、予想外の報奨といった方法で衝動的行動を促すことについても検証している。

ツイッター社はBBCの取材に対し、コメントを控えるとした。

メッセージアプリの「スナップチャット」を運営するスナップは、クリエイティブな方法でのスナップチャットの頻繁な使用を後押しすると述べたが、見た目に細工を施すことで頻繁に使用させようとはしていないとし、意味なく使用する時間を増やさせたいとは考えていないと説明した。

(英語記事 Social media apps are 'deliberately' addictive to users