「時差は1時間。交通ルールは日本は自動車が左側通行。水道水は飲むことができ、トイレットペーパーは便器にそのまま流せます」

 しばらくすると、バスは鉄条網で囲われた嘉手納基地の前を通過した。

「ここは東アジア最大の空軍基地で、北京の故宮76個分の広さがあります」

 ガイドがそう告げると、車内からは驚きのため息が漏れた。

「この道路は両脇が米軍基地に囲まれています。沖縄は島じゅう基地だらけで、かわいそうなんです」

 言い方はどこか冷淡で、少し見下したようにも聞こえる。

「釣魚島も見えますかー」

 那覇の中心から出発したバスは、1時間ほどで最初の目的地「万座毛」に到着した。断崖絶壁に広がる草原の上から、真っ青な海を望むことのできる景勝地だ。歩いていると中国語と韓国語しか聞こえてこず、日本人観光客の姿はゼロ。これで良いのだろうか、と思っていたら「10時35分出発です」との“警告”がグループチャットに届き、急いでバスに戻った。再びガイドの解説が始まった。
沖縄県の観光スポット、万座毛(iStock)
沖縄県の観光スポット、万座毛(iStock)
「東京から沖縄は非常に離れていますが、台湾からは600km。与那国島から台湾はわずか160kmで、晴れた日には台湾が見えるんですよ」

 すると、前方に座っていた中年男性がすかさず質問した。